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追憶の彼方には戻らない 1

注意

 用語や設定は適当なので流して下さい~^^;

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 高校に入学して一ヶ月。GW明けの朝、テーブルには母親が用意してくれた弁当が置かれ、テレビはニュースが流れる中、紺野 唯(こんの ゆい)はもそもそと一人で朝ごはんを口に運んでいた。

 テレビのニュースは物騒なニュースばかり。殺人事件だったり放火だったり。でもどれも自分には縁のない事で義務のようにご飯を口に運びそして食べ終わると立ち上がった。
 学校に行くのも憂鬱だけど、だからといって家にいるのも憂鬱なので仕方なく鞄を持ち学校に向かった。

 最寄の電車の駅までは徒歩で10分位。電車に10分揺られて乗り換えてさらに10分、そして歩いて5分でやっと学校だ。乗り換えの都合で40分以上はかかる。

 唯にとって最も憂鬱は混んだ電車の中だ。でも電車に乗って学校に行かなければならないので仕方ない。仕方ないけど…気が狂いそうだと思う。
 このまま三年間通うことができるだろうか?
 不安に思いつつも駅で電車を待つ。
 すいてて誰ともぶつからないのだったら別に電車でもいいんだけど…。

 ホームに入ってきた電車に乗り込んだ。
 どうしたって朝の電車は通勤や通学で込み合ってしまう。それでも唯は少しでも混雑を避けたくて早めに家を出ているのだ。
 男子高校生なのになかなか育たない体は混んだ電車の中で混雑した人の中に埋没してしまう。

 そうすると自分に接触している人達の声が頭の中に響いてくる。
 〝疲れた〟
 〝こいつ邪魔だな〟
 〝仕事めんどくせぇ〟
 耳と頭を押さえたい衝動にかられるけれどそんな事したって聞こえる声がなくなるわけじゃない。

 どうして自分だけこんな変なのだろうか…。
 この変な能力を持っているおかげで、小さい頃はあちこち引越しばかりだった。
 幼い頃はこんな変なのが自分だけだとは思っていなくて、人が声に出された言葉と考えている事が違っているのが不思議で仕方なかった。触れなければ聞こえないけれど、そんな事幼い頃は勿論気にもせず思ったとおりの事を、聞こえたとおりの事に返事したりしていた。

 …結果、両親から聞こえたのは〝恐ろしい〟だった。
 それで初めて自分が普通と違うんだと分かった。
 両親から〝恐ろしい〟レッテルを貼られてからは触れないように気をつけた。そして両親は自分達が思った事を唯に悟られたのが分かった。

 あれはいくつの時だったのだろう?
 まだ小学生か…。

 なぜそんなに転校しなきゃないのか分かっていなかった。でも両親にそう思われた事と友達にキモチワルイと言われた事などが重なって自分だけが変なのだと気づいた。誰も人が思ってる事を分かる人はいないんだ。それが普通で、思っている事と違う事を言う人が分かる自分が異常だったのだと気づいた。

 それでも小学校の頃はそのギャップについ口に出してしまう事が多かった。何故心の中で思ってる事を言わないのかと友達に問いただした事もあった。
 自分の方がおかしいんだと気づいた後では一応慎重に考えるようになった。親友と言えるような仲いい友達も出来たけど、その秘密を告白すれば気味悪がられやがて離れていく。

 今思えば当然だと思う。
 そして中学校に入学の時にまた引越し、それから唯は友達も作らないようにした。
 誰も分かってくれないだろうし、本当の事を告げたら誰でも唯の事は避けるだろう。
 …両親でさえそうなんだから。

 誰も友達も何もいらない。
 今までに向けられたまるで化け物を見るような目や奇異の視線、陰口、好奇の目、利用しようとした人、色々な人がいた。
 だから誰もいらない。こんな普通の人と違う自分は一人でいるしかないんだ。

 まだ高校に入ったばかりで自分ではどうしようもないけれど、大学からは誰も知らない土地に行って一人暮らしをしよう。そうしたら両親だってきっと安心するはず。
 家の中がぎくしゃくしているのは全部唯の所為だ。
 こんな変なキモチワルイ自分がいなくなれば…。

 混雑している電車で体が触れる人の思っている事が全部聞こえてくる。それが気持ち悪くて仕方ない。それでも唯は顔を俯け、青くなりながらも耐えた。
 どこにも誰にも唯が安心できる場所、頼られる人なんていなかった。
 別にいい。今までだってずっとそうだったんだからこれからもずっと耐えればいいだけだ。

 唯は我慢したまま電車に揺られていた。

※昨日はたくさんのコメントありがとうございます~m(__)m
 それとtobihazeさんからもお祝いで凪ちゃんいただきました!
 ありがとうございます(T-T)
08012230.png
 サムネイルになってますのでクリックで大きくなります~^^
 
 今日からの新しい話もまたよろしくお願いいたします^^

私信:蝶丸さんへ
 了解です^^

たくさんのポチいつもありがとうございますm(__)m
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