夏休みお泊り会編 2 和臣(KAZUOMI) 「なぁなぁ!やっぱ肝試しじゃない!?」
皆でなんか面白い事ないかな?と相談していた時だった。
よりにもよってそんな事言い出したのは翔太だ。
………ホントにバカか?
「え~?どこで?」
柏木があまり乗り気じゃなさそうに面倒そうに言う。
「外は怖いから建物の中で!ほら広いし!部屋数多いし!」
「お前、怖いから肝試しなんだろうが」
柏木が呆れたように言う。まったくその通りだ。
でもそんなバカな事をいいだした翔太にはちょっとお灸が必要だ。
「いいんじゃないか?ルートを決めておいて、それぞれがなんかトラップを明るい内に仕込む。夜になったら電気はここの部屋だけにしてあとは全部消し蝋燭の火でルートを行って戻ってくる」
「当然二人ペア?」
「だろう。じゃ組み合わせはくじにしようか」
「えっっっ!!!和臣!何言ってるの!?」
「え~!俺だって如とじゃなかったらヤダ。会長とペアになったら最悪じゃん」
…そんなのこっちだって願い下げだ。
ぎゅっと翔太が腕に抱きついてきて震え、顔がムリムリムリムリ!と必死に訴えているのにちょっと満足した。
「…じゃ、くじはなし。じゃあ何か仕込みの買い物に行こうか。トラップは各組一つ。危険なものはなしだ」
携帯を取り出して車の手配をかけた。
「車来るまでルートを考えよう。スタートとゴールはここ。電気つけるのもこの部屋だけ。ここからキッチンに行く。東の端にある階段を上ってこの部屋、ここで通過点でちゃんと通った証しに何か目印を置いておく事にしてそれを取って廊下を西に行く。西の突き当たりは鏡が貼ってあるしいいかもな。そこから西の階段を下りてここの部屋。ここは絵画が飾られている広い部屋だ。そしてここにも通過点のなにか目印。で、またここに戻ってくる。どうだ?」
和臣が歩きながら廊下部屋を確認して皆で移動して説明する。
「うわぁ~!面白そう!」
五十嵐が顔を輝かせた。
「まぁ、余興としてはいいかもね」
柏木も軽く頷き、あとの者も乗り気ではなくとも頷く。
ちょうど外からクラクションが聞こえて車が到着したようだ。
「会長、買い物ってどこに?」
六平が車に乗り込みながら聞いて来たのに和臣はさて?と頭を傾げた。
「どこがいいかな?」
「ああん?100均でいい100均で!な?八月朔日?」
柏木が八月朔日に振ると八月朔日が頷いている。
「100均だったらなんでも揃ってるし」
「………100均ってなんだ?」
「…………………100均知らない人~?」
柏木の問いに手を上げたのは和臣、翔太、五十嵐、七海だ。
「あ?六平さん知ってるの?」
「ウチは結構普通だぞ?」
「そおおぉぉぉ?いいけど、三浦って全然普通じゃないよな。すっかり会長と全部一緒じゃん!」
「だ、だ、だって!ずっと和臣とばっかいるんだもん!」
「ま、いいや。あ、会長?100均ってのは100円で店のほとんどの物が買えるの。消費税はつくけど」
「…100円?…100?」
「そ!100円。じゃ行こう!初100均!会長達にはどうしたって合わねぇ~~~!」
柏木が笑うと二宮も八月朔日も笑っている。
どんな所だ?
「俺も聞いた話だけど…ここには開かずの間ってのがあるらしい。どこが?なんて確かめた事もないけど。あとはここはよく父の会社関係で人を呼んだりする事があるのだが子供を見た、というのはよく聞く」
「えっっ!!!」
移動の車は全員が乗られるワンボックスカーを頼んで、その車の中で和臣が話をふると翔太が真っ青になっている。
「会長…怖がらせようとして言ってる…んでしょ?」
五十嵐も顔を青くしている。
「和臣?それは姑息じゃないのか?」
二宮も心なしか表情が硬い。
「いいや?嘘じゃない。ただ俺は一度もお目にかかったことはないけど」
六平と柏木はにやにやしている。七海と八月朔日は表情変わらずだ。
「コレ、全部100円で買えるの?」
翔太が柏木に確認している。
「そ。ゆきちゃんなんかいいのありそう?」
柏木はさっさと二宮のほうに行ってしまった。
和臣もごちゃごちゃとした店を眺める。蝋燭も売ってるし、確かになんでも揃いそうだ。
「和臣、何見てるの?」
「ああ、目印なにがいいかなと思って。……翔太コレよくないか?」
ウサギ耳のついた頭につける飾りを見せると翔太が怒る。
「和臣がつけるならいいけど!?」
「俺が?つけるわけないだろう。翔太がつけるんだ。よしこれにしよう」
「しんじられない!」
「何故?絶対可愛い」
「………」
翔太はちんくしゃと言われたのがまだ残っているのか可愛いと言ったら黙ってしまった。
買い物を済ませ帰ってからペアで行動してトラップ仕掛け。それぞれが仕込むところも内緒。あとはルートの部屋を出入り禁止で皆で夜を待った。
テーマ : 自作BL小説
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