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会長様は俺様閣下 2

2   翔太(SHOUTA)


 私立秀邦学院高等学校。
 成績優秀者が集まる全国でもトップクラスの高校。
 その現生徒会を束ねるのは一条グループの御曹司一条  和臣(いちじょう かずおみ)。
 カリスマ性は1年生で会長に選ばれた位だ。
 容姿端麗、眉目秀麗。
 存在感、威厳、どれもすでに高校生離れしており、教師からの信も篤い。
 頭脳も全国トップ。
 すでに博士号まで持っているという噂まである位だった。
 
 その会長を支えるのが二宮 如(にのみや ゆき)。怜悧な美貌の副会長として名を馳せているのは本人は知らない。
 冷静沈着、冷徹無比という言葉がぴったりと当てはまる印象だった。
 漆黒のさらさらの黒髪に眼鏡。
 眼鏡が冷たい印象をさらに際立たせていた。
 それでもなお美人と表立ってではなく、裏での人気は会長よりも上だろうと言われるくらいだ。
 その生徒会の役員が校門に立って登校して来る生徒の身だしなみのチェックをしていた。


 翔太は秀邦学院になど入りたくなかった。
 というより元々頭も財政の面でも入るのは無理な話だった。
 それなのに入らせられたのは和臣のせい。
 和臣がむりやり翔太を秀邦に入れたのだ。
 はぁ、と溜息を漏らしながら歩いていると、登校する生徒の中にひどく目立つ頭を見つけた。
 身長の高い飛び出た頭。それが茶髪だ。
 入試の時も目立ってた。新入生説明会の時も。昨日の入学式も。
 背は高いし、茶髪だしおまけにモデルみたいにちょーかっこいい。
 和臣が純和風のかっこよさなら柏木 敦は洋風のかっこよさだ。
 名前はもう昨日の入学式で確認済み。
 ああいう風だったらよかったのにと翔太は羨ましくなる。

 その同じクラスの柏木が居並ぶ生徒会の人に捕まっていた。
 あの髪の色ならそうだろう。
 でもすぐに解放されてる。
 和臣が何か話しかけてるのに柏木は目の前に立って平然と和臣に対応してるのに驚いた。
 和臣の威圧感はハンパないのに平然としてる。
 面白い!
 翔太は走って柏木に近づいた。
 「ねぇ、君…会長の目の前に立ってるのになんで平気なの?」
 とん、と腕を叩いて話しかけた。
 「俺、同じクラスの三浦 翔太。君、柏木 敦くんだろ?」
 隣に立つとでかい!
 頭は飛び出してると思ったけど和臣と同じ位の身長か。
 「平気?」
 「だって…緊張しない…?」
 「…別に緊張、までは…しねぇけど。威圧感はあるけどな」
 「だよね!」
 そうそう!思わず翔太が笑った。
 そのまま一緒に1年のクラスまで歩いた。
 周りの視線を感じる。
 和臣から秀邦の事は聞いていたし翔太は可愛いから気をつけろなんてわけわかんない言葉を和臣から貰ってた。
 男なのに可愛いって表現はどうしたっておかしいし、そもそも自分は可愛いはずなんかない。
 その点この柏木はかっこいい、が見事にあてはまるんだからもう羨ましくて仕方ない。
 柏木は秀邦の事は何も知らないみたいで和臣に聞いたことをちょっと説明してやる。
 そして話題が生徒会の面々になって、和臣の隣に立つ副会長の話になった。
 「二宮副会長美人さんだよね…」
 はぁ、と翔太はうっとりしたように溜息を吐き出した。
 きっと和臣の隣に立つならあの副会長のような人が相応しいんだろう。
 自分みたいなちんくしゃで、落ち着きなくって、頭の出来が悪くて…。
 そんなやつが和臣の隣なんてありえない。
 どれもこれも自分は劣等感の塊だ。
 そんなの分かってるけど。
 和臣も誉めてくれるのは可愛いだけだ。
 いつもそれだけ。それだってごくたまにで、きっと翔太が子供みたいだからだ。
 あとはどう思っているのか。
 きっと退屈しないおもちゃだ。
 いつも和臣に言われるのはお前は予想がつかない、だ。
 そしていつも溜息。
 なんでそんな呆れたように溜息ばっかりつくのかな?
 自分は別にそんなに奇抜な事をしているとは思わないのに和臣にしたら予測不可能らしい。
 きっとだから面白くて置かれてるだけなんだろうけど。
 そう、きっと生きたおもちゃなんだ。
 何でも出来て頭よくてお父さんの仕事まで手伝ってるような和臣なんだから自分なんてただのおもちゃ。
 分かってるけど。
 きゅっと翔太は唇を噛んだ。
 翔太はいつでも和臣の事ばかり考えてるのに。
 

 

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