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書記クンは猫かぶり 11

11 蓮(REN)

 ああ、驚いた!
 思わず好きって…あの場でそのまま七海さんも好きですと言ってしまいそうになった。
 あんなごちゃごちゃしたとこでそれはないだろう!
 でもあの時の七海さんの顔…。
 見た事ない位に真っ赤になってて可愛かった。
 …………自惚れじゃないだろうか…?
 違うよな?

 どうしよう、と蓮はつい、いてもたってもいられなくなって走り出した。
 デパートの階段を駆け下り、外に出てもまだ気持ちは落ち着かず駅に向かってずっと走った。
 だって、家にも行っていいって…。学校でも話しかけてもいいって…。
 ぴたりと立ち止まって自分の手を見た。
 この手は七海さんの髪も触ったんだ。
 「……っし!」

 思わずガッツポーズしてしまうと周りにいた通行人がどうした?という目で蓮を見てきたのに慌ててその場からそそくさと立ち去った。
 早く明日にならないかな。
 明日が楽しみで楽しみで仕方がない。
 あの『飛翔』が七海さんの作品だったなんて!しかも自分を見てだなんて!
 もう舞い上がってしまいそうだ。

 
 高めのテンションは翌日になっても持続していた。
 夢じゃないだろうか、と何度も思い直したけど、夢じゃないはず。
 「うっす」
 「おはよう……どうしたの?」
 「え?何が?」
 教室に入って五十嵐に挨拶すれば怪訝な顔をされた。
 「何そんなにいい事があったの?」
 「え!?」

 そんなに分かりやすいだろうか?
 思わず自分の頬っぺたを押さえた。
 どうしよう?五十嵐に言う?いや、自分の中にしまっておきたい。
 それに『飛翔』の事は秘密だって。…いや、あれが俺の事を見て、というのが秘密って事か?…どっちにしたってやっぱり自分の中にしまっておきたい。
 「内緒」
 「…ふぅん…。別にいいけど」

 でも、七海さんと会わないかな、と待ってる日に限って移動教室もないし、六平さんも来ない。
 時間が過ぎていくのに段々とがっくりしていく。
 そのまま一日が終わって部活の時間だ。
 …なんだよ…。折角学校で会えると思ったのに…。
 半分ふてくされながら蓮は部活に向かった。
 部室で着替えてアップする。

 「八月朔日!調子はどうよ?」
 「絶好調…だったんだけどなぁ~」
 同じく高跳びの種目の奴等と喋りながらだ。
 こういう所は秀邦は大らかだと思う。もしスポーツに強い所にいっていたら人を蹴落としてまで、という奴もいたかもしれないが、お坊ちゃま気質なのだろう、そういった卑劣な事は蓮の見る限りではなかった。
 「あ…七海さんだ」
 「……え?」
 校庭を走っていると七海さんが高跳びのバーの近くに立っていた。

 「あ!俺ちょっと!」
 だぁっと八月朔日は七海さん目がけて走っていった。
 俺の所に来てくれた…でいいのか?
 違ってないか?
 間違ってたら恥ずかしい奴だが止まれない。

 「七海さんっ!」
 「…八月朔日」
 蓮を見て七海さんがちょっと困ったような顔した。けれど間違ってはいないらしい。
 「七海さん、ここ陽射し強いからこっち」
 校庭の木陰も何もない所だったので七海さんの腕を引っ張って木陰に連れて行く。
 もう7月で、さらに夏休みが近い。そしてインターハイが近いんだ。

 七海さんは色が白いし書道家なんてやってる位じゃあまり外も出ないだろう。真っ黒に日焼けしている八月朔日とは大違いに肌が白い。
 「……コレ」
 七海さんがスポーツドリンクを差し出してきた。
 「あ……ありがとうございます!」
 「熱中症なったら…大変、だから…」
 「はい…気をつけます」

 うわぁ~!全然顔も見られないと思っていたらわざわざ七海さんから来てくれるなんて!
 さすがに1年ごときが2年生のクラスに顔を出して呼びつけるなんて事が出来なくて蓮はイライラしながらも大人しくしていたのだが、そしたら七海さんから…なんて。
 「嬉しいです!」
 これは大事に取っておこうか?
 七海さんからなんて勿体無さ過ぎる!
 「ちゃんと水分とれ…よ」
 「…はい」
 どうしよう、何話したらいいんだろうか?

 「…………じゃ」
 「え!?」
 もう行っちゃうの!?と八月朔日が思わず止めるような声を出すと七海さんが苦笑した。
 「…部活中だろ?待ってる」
 七海さんが八月朔日の後ろに視線を向けたので八月朔日も後ろを振り向いたら一緒に走っていた奴等が止まって窺う様に七海さんと話す蓮を見ていたのが分かった。
 「う……」
 「………生徒会室から見てる…」
 小さく七海さんが俯きながら言ったんだけど、その七海さんの耳が仄かに赤くなっているのにぐわっと衝動があがってきた。

 ダメダメ!
 「……がんばります」
 「ああ。じゃ…」
 七海さんはそう言って静かに行ってしまう。
 後ろから抱きしめたい!
 いやいや!
 八月朔日は頭をぶんぶんと横に振った。
 
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続きに拍手コメお返事です^^

 
S様
 そうですね~!8は特別枠です~
 「告れ、告れ」いわれるのは間違いないでしょうね~
 でもクラス離れてるから(残念 笑)
 やっぱり?八っつぁん言いたい?(笑)
 ありがとうございます~^^

msm様
 女見てました~^^;
 でも普通にもう出てきません~^^
 終了でした(笑)
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 抑えちゃおうとしますが、
 抑えられません~(笑)
 どっちも分かってるのに~…
 って感じです^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 一所懸命保とうとしてるのですが、
 うまくいかんです^^;
 髪はきっとにらまれます…(笑)
 距離一気に縮まり…
 でもなかなか…^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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