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書記クンは猫かぶり 19

19 蓮(REN)

 「八月朔日…ウチ来ないか…?」
 「はい?」
 「だって、お父さんと二人って言ってただろ?それじゃなにかとひどいだろう?腕も濡らしちゃいけないとか、傷ふさがるまで過度な運動もだめって…」
 「あのね。大丈夫ですって」
 「包帯替えるのだってできないだろ!」
 七海さんがまた蓮のシャツを掴む。触っていないと不安だと言う様に。
 そしてその手がちょっと震えているのが分かって蓮は何も言えなくなった。

 「八月朔日くんのお父さん、是非。泉を庇っての怪我なのですから…」
 「いやしかし…」
 そこに七海さんのお父さんまでそんな事を言い出した。
 「八月朔日くんがいなかったら…どうなっていたか…」
 「そうだ!今日はたまたま八月朔日の練習が終わるのが早かったから。…もしあれが俺一人だったら…」
 「いえ、たまたまでホントよかったですけど」

 「だって!八月朔日はインターハイもあるのに!」
 「…ただの怪我ですからインターハイまで治るでしょ。骨折とかだったらヤバイですけど」
 「でも練習しばらくできない…」
 自分のせいだ、って七海さんが思っているのが分かった。
 「七海さんのせいじゃないです。自分を過信していたのが悪かったので、自業自得です」
 「全くだ!」
 オヤジが当然だと頷くのに少しは息子の心配しろよな、とがくりとくる。

 「とにかく、怪我が治るまで八月朔日くんは家でお預かりいたします。お父様は警察官だそうで…お忙しいでしょう…?」
 「……いや、まぁ…それは」
 親達の会話にどうやら七海さんち行きは濃厚らしい。
 「学校までの送迎も勿論つけます」
 いえいえ、と蓮は頭を横に振る。

 「おい、学校までの送迎って?」
 「…秀邦、桁違うから、自家用車で運転手つきで学校来る奴もけっこういるんだ」
 オヤジがこそりと聞いて来たのに答えると目を丸くする。
 「ほら、政治家の息子とか多いし」
 「…ああ…そうだよな…なるほど…さすが秀邦…」 
 一般庶民には考えられない世界だと一般人の父親と頷く。
 
 そのまま七海家に押し切られ蓮は七海家の世話になる事になった。
 いいけど…。
 家がデカイ!
 見た事ない位に!
 書道家だからか和風の重厚な家だ。
 蓮の家なんかちっさいマンションなのに。

 通された座敷は蓮の住んでいるマンションのリビングダイニング合わせてもまだ足りない位だろう。
 う~ん…やっぱり秀邦…違う…。
 こんな所で納得してしまう。
 そしてなんかかえって肩身が狭い気がしてくる。
 「八月朔日くん…本当に申し訳なかった…ありがとう」
 七海さんのお父さんが丁寧に正座で頭を下げてきたのに蓮は慌てた。

 「や、やめてくださいっ!本当に!自分が未熟だったから怪我してしまったのに…かえってお世話になんて申し訳ありません」
 「そんな事ない!八月朔日がいなかったら…」
 七海さんが顔を俯ける。
 「泉もこう言っているんだ。遠慮しないで」
 いえ…七海さんに怪我なくて、いてくれればもうなんでもいいです…なんて言えないけど…。

 そう!……なんておいしいシチュなんだ!
 七海さんと一緒に親公認でいられるんだから。
 あれ…そういえば…もしかして…『飛翔』見られるんじゃ…?
 きょろりと落ち着きなくなった蓮に七海さんがどうした?という顔で見てきた。
 「えと…あの…『飛翔』あります…?」
 「……………ある」

 「ああ!!!日曜日に来てた子か!泉の書いた『飛翔』の前から動かなかった子だ」
 「…あ、はい…」
 七海さんのお父さんにも見られていたのか、とかぁっと蓮は顔が赤くなる。
 そこに七海さんのお母さんがご飯を運んできてくれた。
 「お口に合うか分からないけれど」
 「いえ!そんな…ご飯が出てくるってだけで俺にとってはありがたいです…」
 正直な事を言ってしまうとお母さんに笑われた。
 七海さんのお母さんは七海さんと似ていてとても綺麗だ。

 「お父様と二人暮らし?いつもご飯はどうなさっているの?」
 「適当に俺が作ってます」
 さすが上品な家だなぁと思いつつ蓮がにこやかに答える。
 「まぁ!…泉も少し見習ったら?イマドキの男の子はそうじゃないと!泉は全然何にもする気も何もないんだから…」
 七海さんがする気なない、と言わんばかりに肩を竦ませるのに蓮もついくすっと笑った。

 「八月朔日くんのお布団はどうする?泉の部屋で一緒?お部屋別にする?」
 「一緒でいい」
 七海さんが普通に答えていたのにどきりとしてしまう。
 部屋一緒!?まじで?…でも、それはちょっとやばい気が…。
 「お風呂も、腕濡らしちゃいけないのでしょう?泉と一緒に…」
 「い、いえっ!だい、いじょうぶ、ですっ!」
 お母さん!なんてこと言うんですか!そんなのやばすぎです!
 「大丈夫じゃないと思うけれど…」
 七海さんが顔を伏せ、くすっと余裕の笑みを浮かべていた。
 なんで?
 ……そんな意味深な…と、八月朔日はついどきどきが大きくなってきてしまう。
 
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続きに拍手コメお返事です。
遅くなりました(><)すみません…m(__)m

 
nck様
 すみません(><)かなり遅くなりました…
 はい、泰明覚えるのに6年かかりました(笑)
 覚える気なしだったので!
 六平を覚えていれば十分でした(^m^)
 そうなんです~!プライドは高いでしょう~(多分 笑)
 ありがとうございます~^^

AHN様
 ツイッターでつながってるとそうですよね~^^
 お時間のある時でいいですよ~(><)
 私も最近ばたばたと立て込んでて…^^;
 ゆっくり落ち着いてたいのですけどね(--;)
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 猫かぶりと着ぐるみですか?何の着ぐるみだろ(^m^)
 拍手はお気になさらないで下さい~(><)
 なんかまだたまに不具合ある時あるみたいで^^;
 わざわざの報告もありがとうございます~^^
 嬉しいです////

名無し様
 8くんちゃんと守りました(^m^)
 勿論攻め男くんはお姫様守らないといけませんからね♪
 ありがとうございます~^^

msm様
 防犯ブザー!
 高校生も持ち歩くのですか???
 小学生だけかと…^^;
 小学生は鳴らして遊びますね~(笑)
 勿論!攻め男くんは姫様守るのがお仕事なので(^m^)
 ありがとうございます~^^

S様
 すみません…遅くなりました(><)
 会長は神みたいなもんかと…いや、もちょっと怖いな、魔王様?(笑)
 7は変な方行きません~(笑)
 運動は嫌いなんでした~(^m^)
 ありがとうございます~!

kin様
 何気に8くん場慣れしてます~^^
 7くんは可愛い、がすごくきになってます(密かに 笑)
 別荘話も(笑)わちゃわちゃ話してるの好きなので
 ついコントが多くなってしまいます(笑)
 でも気に入っていただけてるみたいで嬉しいです^^
 ありがとうございます~^^

r-mm様
 腕の傷、大丈夫です^^
 大丈夫なうえにちゃっかりお泊りgetでした(笑)
 私が書くのに危ない事はほとんどないです(多分…^^;)
 嬉しいお言葉もありがとうございます~^^

 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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