27 蓮(REN) なんか朝っぱらから疲れたぞ…と思いながら教室に入ればお前七海さんとどうなっているんだ、と囲まれた。
ほとんどが小学校から秀邦の持ち上がり組で、生徒会の面々は特別感があるらしい。
その中でぽっと高校から入ってきた自分が仲良くしてれば確かに注目されるのは当たり前だ。
…しかし、誰もが包帯の巻かれた腕より七海さんの方が気になるらしいのに呆れてしまう。
しかもどうなってると問われても蓮に答えようはない。
だって今現在の時点ではどうもなってない…はず。
……なのに七海さんがあんな事言うから。
質問攻めを無視して席に着けば五十嵐が寄ってきた。
「腕…聞いたけど…大丈夫?」
「ああ。傷塞がるまでは部活もできないけどな」
五十嵐には前に七海さんを好きだとは言ってあるので隠す必要もない。
「昨日の帰りにでしょう?一緒に帰ればよかったな…って線別だから意味ないか…」
「いや…どうなっていたかなんて分からないから」
「それで?なんで七海さんと朝一緒?」
「………七海さんとご両親が家にって…。俺んちオヤジが警察で帰ってこないのも多いし、母親もいないから」
「そうなの…?」
「そ。しかし…俺特待で秀邦来てるけど、家の格が全然違うのにいいのかね?」
「そんなの関係ないでしょ。俺んちも家は一条グループの社長だけど…ろくでもないんだ…俺は父親が秘書に手を出して生まれた望まれてもない子だし……俺に優しいの…泰明だけだよ?」
「そう…なのか…?」
五十嵐も色々あるんだ…?
「家がって…だから関係ない。それに八月朔日は俺にとって初めての友達だし」
ずっと秀邦にいたはずなのに蓮がはじめての友達って…と蓮は五十嵐をじっとみた。
よしよしと思わず頭を撫でる。
「俺も秀邦で初めての友達が五十嵐だ」
へへと顔を合わせて笑った。
五十嵐も可愛いとは思うけど、七海さんに対してとは全然違う。五十嵐に衝動が湧く事はないけど、七海さんに対してはもう自分が暴走してしまいそうになるんだ。
「で?七海さんにちゃんと言ったの?」
こそりとさらに五十嵐が顔を近づけて聞いて来た。
「いや、言えてない。ちょっと色々あってインターハイを終えてからにしようかと」
「なんで!?」
「自分の中の区切り…かな」
「ええ?…七海さんは待ってるんじゃないの?八月朔日はそれでいいかもしれないけど…待ってるほうって不安で切ないよ?」
「…え?」
五十嵐の説得ある言葉につい八月朔日もそうなのか、とじっと見てしまう。
「………というか、なんで七海さんが…待ってるって…」
分かってるんだ?こいつは?
「分かるよ」
ふふと五十嵐が笑った。
「思うんだけど…」
ふと、この状況もかなりおかしいと思う。
「男同士でこんな話ってどうなんだ?」
普通は彼女とか女の話だろう。
「仕方ないでしょ。俺は男だって泰明がいいし、八月朔日だって七海さんがいいんでしょ?」
「そうだけど…」
女とえっちもした事もないけど…。ん…?
えっち…?
七海さんと?
ちょっと待て、と蓮は顔を赤くした。
キスとか、えっちとか…?
昨日の浴衣姿の七海さんを思い出して落ち着きがなくなってくる。
キスも!昨日七海さんから…。夢じゃないよな?…いや、夢?…じゃない、はず。
「どしたの?」
落ち着かなくなった八月朔日に五十嵐が不思議そうにした。
「い、いや…なんでも…」
こいつも…六平さんとしてる、のか…?
思わず中学校の時に見た衝撃的な映像を思い出す。
まだなんとなく女とするとかがどこか不思議で実感がなかった時期だった。
部活の仲間で一人の奴の家に集まった。
そいつにはちょっと年の離れた兄と姉がいてヤラシイAVが見られるというんで皆で行ったのだ。
女とのAVに食いつき、あげくにお姉さんの部屋から男同士のやつも出してきたんだ。
お姉さんがどうしてそんなの…って…思ってたけど…。
ただ、だからどうするか、ってのは分かってる。
そん時は男同士なんてキモ!としか思わなかったけど…。
いや、今だって七海さん以外にはそんな事キモ!としか思わないけれど…。
七海さんを抱く…?
あの浴衣の袂の白い肌を思い出せば生唾をのみ込んでしまう。
見たAVに自分と七海さんを重ねて想像してしまえばそれだけで勃ってしまいそうになってくる。
やべ、…あんまり考えないようにしないと…。
…そんな事思ってしまえば思うほどいけない想像になってしまうだから始末に負えない。
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みらいさんから七海いただきました~!
ありがとうございます~!
普通にかっこいい!そして綺麗!……(^m^)
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