はのんのBL部屋

30 蓮(REN)

　七海さんは一体何を考えてどう思ってるんだろう…？
　好きって言ったのに逃げられて…。
　どうしたって凹んでしまう。
　そのくせ蓮が載っているから雑誌が欲しいとか！
　一緒にいたくないのか？とか！
　七海さんには振り回されっぱなしだ。

　……でもそれでもいいんだ。
　今だって大事そうに雑誌を抱えてる七海さんにどうしてもデレてしまう。
　もう…ほんとヤバイ。
　一緒にいたら止まらなくなりそうだ。
　昼休みの時も七海さんが蓮を振り解いていなければキスしそうになってた。
　学校でもアレで、これから七海さんの家で部屋で二人とかになったらどうすりゃいいんだよ。
　そんな事思いつつも車は七海さんの家に着いてしまう。

　「ありがとうございました」
　「いいえ」
　早坂さんという人は柔和な感じでにこにこと笑顔の絶えない人でとても感じがよかった。
　「明日も帰りは私が行くと思いますので」
　「すみません。…電車でいいのに…」
　「いいえ。泉華先生に何事かあったら大変ですからね」
　「あ、そうですね！そこはそうしてもらった方がいいです！」

　蓮もそこは力強く頷く。七海さんが車だったら安心だ。
　どうやら七海さんを庇ったという事で七海家には好意的に迎えられているらしいのは嬉しいがむず痒い。
　どうしたって七海さんによからぬ思いを寄せてるんだから。
　兄弟もいないみたいだし、コレばれたらたたき出されるはず。
　う～～ん…と思わず呻りたくなるけど、好きなんだから仕方ない。
　
　傷は消毒してもらって包帯を変えてもらって傷口も化膿もしないで綺麗だと言われたのにほっとした。
　抉られていたりしたら悲惨な事になっていたらしいけど、とりあえず綺麗に切れていただけなのがよかったらしい。
　そういや犯人捕まったと言ってたけどそのうち呼ばれるかな、と七海さんを見た。

　その七海さんはじっと蓮の綺麗に巻かれた包帯の腕を見ていた。
　そして顔を歪める。
　気にしなくていいのに。
　あんまり七海さんは話をしないけど色々思って考えているのだろう。

　だから今日の昼も聞かなかった！なんて言うんだ。
　インターハイ終わってから、今度はちゃんと言ったら頷いてくれるのだろうか？
　もしまた拒否られたらもう蓮は復活できないとは思うけど。
　今日の告白はさすがにおざなりだったかと反省する。
　ちゃんと言えと五十嵐に言われて、ちょっとした事も気になったのだろう七海さんにそうした方がいいのかと思った自分は間違ったらしい。

　やっぱりちゃんと自分で納得して気持ちを出したほうがいいんだ。
　よし、とインターハイに向けて頑張ろうと気持ちを切り替える。
　切り替えるけど、こうして七海さんが隣にいたんじゃやっぱり七海さんに気がいってしまうけど。
　傷の抜糸までの一週間だけ。
　その後はインターハイに集中しよう。
　そうじゃなきゃ、あの『飛翔』を書きたいと思ったという七海さんの気持ちも踏みにじることになってしまう。
　それじゃ本末転倒だ。
　


　そう思っても…こんな状況ではどうしたって七海さんに意識が全部向かってしまう。
　だって！風呂まで一緒って！！！
　確かに腕使えないからだけど！
　男同士だから普通は気にしないんだろうけど！
　無理でしょっ！
　にっこりと七海さんのお母さんにお風呂一緒いってらっしゃいって言われて男同士なのにそれを断るのもおかしくて！

　どうにかして！って感じだ。
　それでなくとも今日はずっと七海さんとのいけない妄想ばっかを授業中にしてたのに！
　目の前に七海さんの裸なんて…。
　「八月朔日？」
　腰にタオル巻いてるけどいやいや…それ取っちゃってとか思いたくなる。
　「身体洗ってやる。腕上げといて」
　風呂場も広くて野朗二人でも余裕だけど。
　風呂の椅子に腰かけてとにかく七海さんの言われる通りに腕を上げた。

　目の前に七海さんの白い身体。
　絶対ヤバイでしょ。
　勃たない自信なんかありませんけど。
　いえ、間違いなく勃ってしまう。
　そして七海さんの手が蓮の身体を触っていくんだから。
　「あ、あのっ！自分で！」
　「……無理に決まってるだろ。絶対濡れる」
　「あ～…」
　…そうですけど。だっていたたまれない…。
　なるべく七海さんの身体を見ないように、と思ったって見たいと思っちゃうし！
　誰か助けて欲しい…。


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続きに拍手コメお返事です^^

　
　

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