2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書記クンは猫かぶり 34

34 泉(IZUMI)

 明日からはもう八月朔日はいない?
 今日だって帰ると言うのを無理に連れ帰った。連れ帰りさえすれば八月朔日を気に入った親が止めてくれると思ったが案の定止めてくれて、八月朔日は今日も一緒だ。
 一緒にいたくないと言っていたのに、八月朔日はずっと毎日キスした。
 それに触って、触れて。

 ……あの時の八月朔日の告白を黙って聞いておけばよかったんだ。
 カタい八月朔日は今はキス以上は考えていないらしい。
 ……いや、男同士で…分かってる…んだろうか…?
 する気が初めからないとか?
 そうじゃないはず、と信じたいが…。
 毎日一緒にいてキスはして、それだけって…。

 しかし自分が男にされたいのか、という所ではまだ微妙な気もする。それじゃ八月朔日に突っ込みたいか、といえばそれはなさそうだ。
 となればやっぱり抱かれるほうだろう。
 そこもまぁ、相手が八月朔日限定ならばたいした問題とは思わないんだからいいけど、肝心の八月朔日は自分に突っ込みたいと思うのか…?
 風呂で自分の身体を洗いながら見てう~ん、と唸りたくなる。

 …抱きたいとは思わないよな。
 女の身体を思い出す。
 柔らかい胸に…と自分で自分の胸を触ってもペタンコだ。
 ………そりゃ抱きたいなんて思うはずないよな…と泉は頭を抱えた。

 それでも、毎日オアズケ状態で健全な男子高校生としてはもう抑える事が出来ないとこまで来ていた。
 それでも八月朔日の包帯が目に入れば自分の所為で八月朔日に傷がついたんだという事に抑えが働いた。
 でもその傷を見て八月朔日は嬉しそうに笑うんだ。
 泉を守った証だと…。
 飛びついてキスを浴びせたい気分だったけどまさかそんな事も出来ない。

 泉はずっと大人の中で育ってきて自分を曝け出すのが難しい。
 それでも八月朔日に対しては出せているほうだ。
 言いたい事の10分の一も言えてないとは思うけれど。
 キツイ事言っても八月朔日は気にした風でもないのが自分では気にはなっているが、それを八月朔日は聞きもしない。

 学校での態度と違うのは重々自分でも分かっているし、八月朔日だって分かっていると思うのに、未だに言われた事はなくて八月朔日はいたって普通だ。
 器がでかいのか?
 六平も泉の素は知ってはいるけど、六平は呆れてるだけ。
 学校ではそんなに面倒なので話もしないし大人しくしているが、存外自分は大人しいほうではないと思う。

 八月朔日は展示会場での泉の姿も見ていたはずで、愛想よく応対するところだって八月朔日は見ていたはず。
 あれを見たら学校とは違いすぎだろうと普通は思うはず…、と自分でも思う。
 泉的には愛想よくてもよくなくても、結局他人の名前も顔も覚える気があまりないので心情的にはどちらも同じなのだが…。

 八月朔日がどう思っているのかは分からないけど…。
 とにかく八月朔日はそのままの泉を受け入れてくれているんだ。
 包帯もなくなり、傷痕はまだ赤いけれど部活も許しがでた…。
 ざっと泉は風呂を上がった。
 髪を拭き、かきあげる。
 八月朔日の浴衣の腰紐を結んでやる時、八月朔日は必ず泉の髪を触ってきた。
 触れたい、とは八月朔日も思ってくれているはず。
 キスも何回もしてくるし。
 そこに自分で納得させた。

 風呂を上がって自分の部屋に戻れば八月朔日は飽きもせずに『飛翔』に見入っていた。
 それがいつも照れくさいし恥ずかしい。
 そこに自分の八月朔日に対する気持ちが入ってて、それを八月朔日が読み取っているような気分になってくるから。
 書いた時はここまで強い思いはなかったと思う。
 また八月朔日の跳ぶ姿を見たら書きたいという衝動は上がってくるのだろうか?

 「………また見てたのか?」
 「ええ!家帰ったらいつでも見るなんて出来なくなるから」
 ウチにいればいい…、なんてまさか言えない。
 「…時間がある時ならいつでも来ていい」
 「はい」
 にこぉと八月朔日が満面の笑みを浮かべた。
 「俺、ホント…あん時書道展にふらっと入ってみてよかった…」
 「…よくあんなとこに入ったな?書になんか全然興味もないのに」

 「だって……五十嵐に…七海さんが書家だって聞いて…それで書道展ってどんななのかなって…思って」
 「……そう」
 「全然分かんなくて。いえ、上手いな~っては思いますよ!でも何書いてあるのか分かんないやつとか…それがあの『飛翔』が目に飛び込んできて…動けなくなった」
 そろりと泉は八月朔日に近づき、隣に座った。
 「まさかあれが七海さん書いたなんて…俺…あの展示場で七海さんいた時、自分に都合のいい夢みてるのかと思いましたもん」
 「夢じゃない…」
 「ええ…」
 八月朔日の手が泉の髪を触り、そして頬に触れた。
 
-------------------
続きに拍手コメお返事です^^

  
nck様
 すみません(><)
 直しました~!…って日にち経ってしまいましたが…^^;
 ありがとうございます~m(__)m

MR様
 お風呂ねぇ…書こう!と思ってるわけじゃないんだけど^^;
 勝手に入るから…(--;)
 それで我慢してるんだからね^^;
 ありがとうございます~(遅くなりましたが…スミマセン…)

AHN様
 お時間ある時で~(><)
 お絵描きしてると時間かかりますしね^^
 あっという間に時間が過ぎちゃいますから^^;
 ありがとうございます~^^

msm様
 AAAAAでした(笑)
 AAAAAばっかりですが^^;
 もちょっとお待ち下さい~
 ありがとうございます~^^

HM様
 お忙しいですから~
 お時間ある時でいいですよ(><)
 わざわざありがとうございます~^^

okw様
 返信不要とありましたが…^^;
 読み返しもありがとうございます~^^
 多分会長サマは誤字脱字多いと思いますが…(--;)
 あんまり見直ししてなかったんだよね^^;
 でもありがとうございます~^^

S様
 やはり、ドのつくMですか?(笑)
 ……ですよね~(^m^)
 笑っていただけてよかったです^^
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク