はのんのBL部屋

　ぐだぐだと久世さんのベッドに入って色々考えていたうちにいつの間にか碧は眠っていたらしい。
　はっと目覚めたらすでに次の日の朝だった。
　仄かに朝日が閉められたカーテンから差し込んできていて、隣には久世さんが眠っていた。
　昨日いっぱい寝たからか碧はすっきりと目覚めて、ほんのちょっと久世さんの寝顔を見てからそっとベッドを抜け出した。

　うん…久しぶりにゆっくり寝て過ごしたからか体調はよくなってるし、気分もいい感じだ。
　昨日は出来なかった洗濯物を畳んでいく。
　…どんだけ溜め込んでいたのか。
　どうやら久世さんは料理も何でも出来なくはないくせにしないだけ、らしい。
　どんだけ服あるんだよ、と思いつつ全部畳んでいく。
　散らばっていたのは普段着のものがほとんどで、ワイシャツなんかはちゃんとクリーニングに出しているらしく洗濯物の中にはない。

　なんかそれがおかしくてつい碧は笑ってしまう。
　だったら溜め込まないで洗濯もすればあんな状態にならないのに。
　でも進んではしようという気はないらしい。
　まぁ確かにいつでも出来ると思えばしないか。
　碧は狭いアパートで干す場所もなかったから溜め込まないようにして気をつけていただけかもしれない。
　乾燥機もついて干すところもあるならつい後回しにしてしまう事も確かに考えられる。

　洗濯物を綺麗に畳み終えると今度は朝ごはんの用意だ。
　昨日は久世さんに用意してもらったから、今日からはちゃんと！
　ご飯が食べたいなぁ、と一人だったらパンを齧るだけ、というのが多いのだが、ちょっと和食の朝食を目指してみる。
　仕事も休みだから出来る事だと思うけど。
　味噌汁のいい匂いに自分でも満足してしまう。
　久世さんが喜んでくれればいいんだけど…。

　「おはよう…」
　「あ！お、はよう…ゴザイマス…」
　「大丈夫なのか？」
　「はい。もう…昨日はスミマセンでした…」
　「気にしなくていいって。……いい匂いだな…」
　くんと久世さんが鼻をならしながらキッチンに向かってきた。
　「あの…パンの方よかった…？」
　「いや、どっちでも。こだわりなんてないし………洗濯物…」
　「畳み終わってるから片付けてください。……俺する？」
　なんかそのまま放置されそうな気もして思わず言うと久世さんが複雑な表情を浮べていた。

　「……なんか俺ダメ人間？」
　「そんなっ」
　ぷっと思わず碧は笑った。
　「久世さん…出来るのにしないだけでしょ」
　「……まぁ…」
　「俺していいならしますけど？なんといっても俺がいていいなぁ、と思ってもらわなくちゃいけないし」
　「いいなぁ、と思っているけど？」　
　「えっ！？」

　何が！？どこが！？
　ずっと迷惑しかかけていないのに！
　思わず大きな抗議するような声が出ると久世さんはくすっと笑った。
　「帰ってきても一人で当然無言だったのが、碧くんいればこうして話して笑えるだけでも十分だ。おまけに碧くんは可愛い事言うしね」
　…お月様の事か。

　そこはもういいから、と碧はかっと顔が熱くなる。
　でもそう言われるのはちょっと嬉しい。
　確かに碧も仕事から帰ってくれば一人で、テレビ見ながら一人で突っ込むとか、独り言が多かった気もする。
　久世さんといるのは嫌じゃないし、…むしろ気になって仕方ない位だ。
　きっと優しいこの人と一緒にいられる女性は幸せだろう。
　なんでも本当は出来るくせにしないとことか…世話を焼きたくなる。女の人もきっと母性本能擽られるだろう。

　……久世さんはダメだって。
　可愛いも、久世さんはタダ単に子供に対するような意味合いで言っているんだ。
　親鳥、なんて言っている位なんだから。
　口調もそう。
　碧もなんとなく頼っている感じがするのでお互い様か？
　だってどうしたって3つしか違わないなんて思えなくて…。
　考えてみれば今まで抱かれた男二人も無意識ながらも年上だった。
　いや、男だけじゃなくて女の人もか…。
　いいなぁと思うのはいつもお姉さんばっかりだ。
　…自分は年上好きか？
　今頃気付いて碧は苦笑した。

　「ん？」
　「あ、いえ…なんでもないです…」
　年は3つしか離れてないけどかなり年上に見えて、カッコよくて、包容力もあって…。
　女の人じゃないけど…久世さんもろタイプじゃん。
　でもダメ。好きになっちゃいけない人だ。
　碧は自分に言い聞かせた。
　
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続きに拍手コメお返事です^^

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