2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

月からの甘い誘惑 28

 一人で毎日グルグルしながらも日にちは確実に過ぎていく。
 仕事から帰ってきてからもPCを貸してもらってサイトを舐めるようにいくら見て回ってもサイトや物件が急に増えるわけでもなく、いくら見ても碧の条件に合う物件はなかった。
 やっぱ家賃値上げしか考えられない。

 「はぁ………」
 「ない?」
 PCを閉じた碧に久世さんがテレビを見ながら苦笑して聞いて来たのに碧は頷いた。
 「慌てなくていいって」
 そうは言われても…。
 久世さんの電話が鳴って久世さんは電話に出て、碧はソファに座って小さく膝を抱えた。
 ずっとパジャマ代わりは久世さんのスウェットを借りたまま。
 ずりずりとずり下がりそうなものを着ていた。

 「はい。…いえ大丈夫ですよ」 
 電話はあの女性からだろうか?
 「ええ……そうですね…はぁ、……はい。ではそのように。ええ。時間などはまた連絡致します。…はい、おやすみなさい」
 久世さんは表情を変えないまま事務的に電話を済ませた。
 「碧……土曜日って仕事?」
 「うん。仕事……この間の女性(ひと)?デート?いいよ!勿論!俺の事なんか気にしないでっ」
 「行きは送っていってやれるが…夕食に誘われたから…」
 「いいってば!…というか!俺も土曜の夜予定あったんだっ!」
 「え?」

 「社長がウチの服くれるって言うから。火事見舞いで。それでその後飲みに付き合えって言われてたから!給料日の後だし大丈夫!……久世さん、ホント俺の事なんて気にしないで?」
 「…………そう、か…?」
 「………うん」
 本当は碧が気にしてるんだ。
 久世さんがデート…。
 やだな…と思ってしまう。
 「鍵持ってるな?」
 「あ、うん…はい」

 月曜日に鍵を渡されてからそのまま持っていなさいと言われて久世さんちの合鍵を一応持ってはいた。
 ただ朝も帰りも久世さんと一緒なので使った事はなかったけれど。
 「土曜日に飲みに行くって?社長と?他にも?」
 「うん。あ、他の人はわかんないけど…。ウチの社長まだ若いんだよ。30歳位?モデル出身で自分でブランド立ち上げたんだって。すげぇよな…」
 分かんないと一応言ったけど、多分碧だけだとは思う。でもそれをわざわざ久世さんに言う必要はない。

 「へぇ…それはすごいな」
 「でしょ?」
 いいけど!なんで芹澤さんの自慢になってんだ!?
 「モデルしてたって位なら格好いいんだろうな…」
 「まぁ、背も高いし……久世さんだってモデル張りにカッコいいけど?…あ……」
 つい思ってた事をぺろりと言ってしまって碧はやけに落ち着かなくなった。
 「俺ぇ?ないだろ」

 「なくないっ!……この間もっ…お昼、ランチ食べた時周りのお姉さん達皆久世さんの事見てたもんっ」
 「そうかぁ?」
 つうか!それを確認して見てる自分を暴露してるようなもんじゃないか!
 「碧を見てたんじゃないのか?ほら、なんとかっていうアイドルのグループの一人に似てるし」
 「…あ、最近それよく言われる。…けど、違うよ?俺じゃない。俺言われるのは可愛いだもん!カッコイイはナイっ!」
 「……確かに可愛い、けど」

 何か変っ!
 カッコイイだの可愛いだのって!
 かっと顔から体まで熱くなってきて碧は思わず頬を押さえた。
 「とにかく!久世さんはかっこいいってば!……俺もう寝るっ!」
 「それはどうも…。ああ、おやすみ」
 久世さんは平然と笑いながらそう返してきて、碧はぱたぱたと寝室に逃げ込んだ。

 なんか変な感じだ…。
 顔熱いし。
 一人で色々動揺して変だろ。
 別に久世さんなんか碧の事なんて可哀相な子位にしか思ってないのに。
 久世さんのベッドの端に丸まってはぁ、と溜息を吐き出した。

 土曜日…久世さんはデートか…。
 ちゃんと帰ってくるのかな…?
 やだな…。
 やだとか、そんな事碧が思う事じゃないのに…。
 このままいけばあの人が婚約者になるんだろうきっと。
 そして結婚…。
 ここに…住む…?

 やだ…とぎゅっと胸が苦しくなった。
 だから!そんなん思うの間違っているんだってば!
 …って頭では分かってるけど、仕方ない。
 そう思っちゃうんだから…。
 土曜日は社長にどこかに連れて行ってもらっていっぱいいっぱい飲んでしまおうか?
 でもそうすると過去の過ちが…。
 今はさすがにそんなのどうしたって無理だ。
 ああ…そっか。
 やっぱ好きなんだ。
 前は寝られるなら誰でもいいかなと思ってたけど、今は無理そうだ。
 したい、とは思うけどそう思うのは一人とだけだった。

--------------------
続きに拍手コメお返事です^^ 


msm様
 なかなか素直に甘えられません^^;
 いやもしかしたら甘えてる方かもしれないかな…^^
 距離がなかなか…(^m^)
 悶々がもちょっと続きます~(笑)
 ありがとうございます^^

AHN様
 サイトの方までありがとうございます~(><)
 そうなんですよ!結局PCが一番楽なんです(笑)
 私のスマホなんてホント携帯の役目と
 ツイッターだけみたいな感じです(笑)
 ありがとうございます~^^

MR様
 大変失礼いたしましたm(__)m
 あのホント無理しなくていいので…すみません…
 全部抜けてるのは私の方です(><)
 完璧な人間はいないですね。
 人によって感じ方も違いますでしょうからね~
 ありがとうございます(><)

S様
 途中で覚醒するのってまだまだですか?(笑)
 さすがです^^;
 私はそんなに酔っ払った事ないからなぁ~…
 分かりません~^^;
 Sさんも気をつけてくださいね(笑)
 ありがとうございます~^^
  

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク