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月からの甘い誘惑 30

 「シーナ!あれだぁれ?」
 珍しく早く来た店長に後ろから声をかけられ、見られたんだ、とちょっと残念な感じがしてしまう。
 なんとなく久世さんの事は碧だけの内緒の事にしておきたかった。
 「今お世話になってる人。今日仕事休みだから送ってもらった」
 「……彼氏か?」
 「ちげぇです!!!」

 「あっそ?なんかいい雰囲気っぽかったからそうかなと思ったら…」
 「あのね!俺今家なしヤローですから!」
 「あ、そうだったな!見つかんねぇの?」
 「……ない」
 「今までが安すぎだって!そんなとこない!」
 断言されて思わずむっとしてしまう。
 「だったら給料上げてほしいんですけど!」

 「それは俺じゃなくて社長に直接どうぞ~。あ?社長来るの今日だろ?お前どっか食べに連れて行ってもらえるんだろ?い~な~」
 「…多分」
 店長と店の準備をしながら喋る。
 どうやら連絡は入ってたらしく、キャンセルはなしみたいだ。
 服貰えるのはいいけどやっぱちょっと複雑だ。
 「お前火事にあったばっかだしな!いいもの食わしてもらえ」
 「…うん」
 穿った考えなんか店長はないみたいで、純粋に碧が火事に合ったからだと思っているらしい。
 …それでいい。



 宣言どおりに閉店1時間前に社長様ご来店。
 相変わらずモデルのようにすらりとした肢体でそれに社長なんてやっているからかオーラもある。
 店にいたお客様も芹沢さんに見惚れるのはよくわかる。
 しかし同じスーツをびしっと着るのでも久世さんとは全然雰囲気が違うなぁと思ってしまう。

 なぜかどうしても芹沢さんは胡散臭い感じだ。
 元がモデルだからなのか?でもそれ言ったら久世さんだってモデル張りなんだけど、やっぱり久世さんは真面目そうなエリートに見える。
 その久世さんは今頃きっとあの人と会ってデート中なんだ…。
 時計を見て思わず溜息が出てしまった。
 帰ってこなかったらどうしよう…?
 いや、子供じゃないんだから別に碧には関係のない事なはず…。
 でもデートだけでもイヤだなと思うのに帰ってこなかったらきっと眠れそうにないかもしれない。
 飲みたい気分だが過去の事を考えれば絶対飲まないほうがいいに決まってる。

 「シーナ」
 店長に呼ばれて碧はバックヤードに下がった。
 「上がっていいよ。社長が車で待っているそうだ。ウチの服も持って来てくれたらしい」
 「わ!マジ助かる!」
 「だよな~…全部燃えちゃったらな…。よかったな。まぁ、お前は売り子でも他店入れてもトップにいるだろうしな。社長も随分気に入ってるようだ」
 「…そう?」
 「ああ。給料アップもねだってみたら?」
 「…それ店長自分も!…って意味も入ってるでしょう?」
 「当然」
 「……言えそうなら言ってみる」
 「おう!頼むぞ」
 そんな感じで店長に快く送り出されてちょっと閉店より早いけれど先に上がる。
 

 「スミマセン。お待たせしました」
 車で横になっていた芹沢さんの車の助手席のドアを開けながら挨拶した。
 「いや。ああ、服は後ろ」
 外国産の車の広い後部座席に袋が二つぱんぱんに入って置かれていた。
 「ありがとうございます」
 「…どういたしまして」
 芹沢さんは何も言わずに車を発進させた。
 行き先がどこなんて言われもしない。

 でも着いたのがホテルだったのに碧は眉を顰めると、その碧の顔に気付いて社長が鬱蒼と笑った。
 「部屋もとってあるが純粋に食事をと思っただけだぞ?」
 …絶対嘘だ、とは思うけど碧が自分を保てれば大丈夫なはずだ。
 しかし、ホテルで食事…。
 「……俺の格好大丈夫ですかぁ?」
 「失礼な!私の所のブランドの物をそんな残念扱いにするな。…………個室だから大丈夫だ」

 なんだ、自分だって分かってんじゃん!と思わず碧は笑ってしまった。
 「今度ちょっとした所に着ていけるっていうデザインの服でも発表したら~?」
 「…そうだな。考えてみよう」
 芹沢さんが真面目に頷くのでまた笑ってしまう。
 見た目も派手で軟派でしかも何考えているのか本心は見えない人だけれど、仕事は案外真面目だ。
 それは会社が急成長を見せているのでも分かる事だ。

 「今はあとはもう少し大人向けのブランド展開も視野に入れている。シーナが今のとこでキツイ年齢になったらそっちに行けばいいだろう」
 「へぇ!それはいいや!さすがに今でもちょっと…とは思うけど」
 「今は全然平気だろ。何しろ見た目がティーンズだ」
 断言されるのが面白くなくてむっとしてしまう。
 …本当の事だし自分でも分かってる事だから言われても仕方ないけど。
 
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続きに拍手コメお返事です^^

 
S様
 惚気てました(笑)
 鉢合わせ?さて?wwww
 あら?身持ち堅いのですか~(^m^)
 お靴が片方外って………(--;)
 それが日常茶飯事って…
 ないわ~(私は 笑)
 お気をつけくださいね~wwww
 ありがとうございます~^^

U様
 ありがとうございます~^^
 私あほ~な事ばかりしてますけど^^;
 楽しいのでま、いっか!みたいなwwww
 チャラいの~!(笑)
 中身もチャラな子が書けなくて~^^;
 唯一敦位か?チャラそうなの…(笑)
 社長はかっこよく…あ、でもチャラ系だ…^^;
 ありがとうございます~^^

MY様
 一番ありがとうございます~^^
 一番じゃなくても勿論ありがたいですし、嬉しいです////
 早くくっついて…^^;
 でももう~認めようよ?って感じですけどねwwww
 こちらこそ毎日朝早くからのようで…(><)
 ありがとうございます~^^ 

テーマ : 自作BL小説
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