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月からの甘い誘惑 47

 ゆっくりだった久世さんの律動が段々と大きくなって来る。
 「碧…大丈夫か…?」
 久世さんの息も荒くなってきていた。
 「んっ!…平気っ…!んぁっ」
 ずんと奥を突かれて碧の背中が仰け反る。

 どうしよう!
 気持ちよすぎるかも…。

 今まで感じなかった満ち足りた気持ちが気持ちを煽っているのかもしれない。
 好きな人とえっちするのってこんなに気持ちいいもんなのかな…?
 身体も心も満たされている感じだ。
 だってさっきまで出て行かなきゃ、と思ってたのに…。
 久世さんに触られるのも嫌だと思われていたんだと思ってたのに…。

 「く、ぜ…さん……ん、は……」
 身体を大きく揺さぶられ、肉欲がぶつかる音が聞こえる。
 「や、っああっ」
 碧が感じているのは勃ちあがっているもので分かってしまう。
 それに久世さんが手を副えてきたのでさらに声が出てしまった。
 「いい…碧も感じてる…んだろ…?……いい……?」
 「ん!……もっと…ほし……ああっ!」
 ぐんと碧の中にいる久世さんの質感が増した。
 「…っとに!」
 「ああッ!」

 さらに久世さんが碧の腰を手で抱え込み打ちつけるように穿ってくると碧は顎を仰け反らせながらその快感を追った。
 「碧……」
 「んぁっ…や…っ……イっちゃう……っ」
 「いい!…碧…」
 湿った水音と獣のような荒い息が入り混じり、そして激しい抽送に碧は身体を震わせ久世さんの手に白濁を放った。
 そして久世さんもまたぐっと碧の中のいっそう奥を衝くと息をつめどくどくと欲を吐き出しているのが分かった。

 嬉しい!
 久世さんが男の自分の中でイったんだ。
 愛おしくなって久世さんに向かって荒い息のまま腕を差し出すと久世さんが身体を重ねて抱きしめてくれた。
 互いの息が荒々しい。それでもまたキスを交わした。
 何度も何度も久世さんがキスしてくれる。
 「……ぁっ……」
 碧はびくっと身体を揺らした。
 キスしているうちに久世さんが碧の中でまた大きくなっていってるのを感じた。

 「……碧…いい…?」
 久世さんが窺うように碧を見ているのに勿論碧はこくりと頷いた。
 「……中が滑りやすくなってるな…ひくひくしてるし……すごくいい…」
 またゆっくりと律動を久世さんが始めながらそんな事を言い出した。
 「や…そんな……」

 そういう事は言わなくていいから!と碧は頭を持ち上げて久世さんにキスを仕掛ける。
 唇を舌を絡めながら段々と久世さんの抽送がすぐ激しいものに変わっていく。
 敏感になっている互いの身体はあっとう間にまた欲望を吐き出し、そしてキスを交わせばまた感じてくる。
 どんだけ溜まっていたのか。
 …久世さんもだったのかな…?
 そしてお互いの欲望がぶつかるまま何度も果てた。


 ぐちゃぐちゃになった身体とベッドが妙に生々しい。
 何回も欲に溺れて貪った跡がそこかしこに残されていた。
 碧の身体にも点々と久世さんの痕が残っている。
 そして何度も欲望のままに突き進んだ碧の身体は疲れ果てて、気を失いたい位になっていた。
 「碧…大丈夫か?」
 久世さんが碧の頬を心配そうにそっと撫でる。
 「ん……多分…?」
 「身体流したほういいよな…ぐちゃぐちゃだ…」
 「え!…あ、…いい、よ…」

 欲で周りが見えなかった時はいいかもしれないけど、冷静になって久世さんがなんで男の碧なんかと、と思われたら嫌だ。
 自分で起き上がろうとしたけど…やっぱり身体はくたくただ。
 「ほら…いいから」
 久世さんが碧を軽々と抱き上げるのにいいのかな、と思いつつそっと久世さんの首に腕を巻きつけ顔を久世さんの肩口に埋めた。
 手を払われる事もない。

 どうしよう…やっぱ好きだ。
 正気に返ってもヤダって…なんない…のかな…?
 「明日碧は仕事休みだろう?」
 「……うん…」
 久世さんの声が耳に近い。
 「じゃあ明日はゆっくり寝てていいから」
 「………ホントに……俺…いて、いい……の?」
 「ああ。いて欲しいんだ」

 いて欲しい…の?
 思わず顔を上げて久世さんの顔を見つめると久世さんも碧をじっと見ていた。
 キス、したいな…。
 思わず思ってしまうと久世さんが顔を近づけてきてそっと唇を合わせてくれる。
 啄ばむように何度も。
 またキスだけでも感じてしまいそうになってくる。
 キスも久世さんはヤじゃないのかな…。
 正気に戻った途端に投げ出されるかと思ったけど大丈夫そうだ…。
 風呂場で久世さんか碧の身体を流しながらまたキスする。
 碧の手はずっと久世さんの首にかかったままだった。
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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