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2013 Christmas Live 1

Happy Merry Christmas!
少しでもお楽しみいただければ幸いです~m(__)m

こちらは 「翼を広げて、羽ばたいて」
     「焔を灯して、焦がされて」
     「波はゆらめき、さざめいて」
のSSになっております。お読みになっていない方にはちょっと
分からないかな…と^^;
できれば3作お読みになってからお進み下さい~。
すでにお読みの方はそのままどうぞ~^^/

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 「…尚だ」
 「え?」
 千尋先輩が呟いて携帯を耳に当てた。
 「もしもし……ああ、変わりない……」

 尚先輩はちょこちょことメールや電話を入れてくる。頻繁って程ではないけど…マメだな…と密かに笑ってしまう。
 そして千尋先輩は自分から連絡なんて用事もないのにするか、と言いつつちゃんと電話に出るんだから…やっぱり特別なんだよな、って思ってしまう。

 「は?おい!待てコラ!…切りやがった!」
 チッと舌打ちして千尋先輩が電話を見ていた。
 「どうしたの?」
 「……クリスマスにこっちに来るからホテル取っておけだと。ツインかダブル」
 「…ああ、遥冬さんと一緒なんだ~」
 「ハルト?」
 「言ったでしょ!尚先輩と付き合ってるの!」
 「………モノ好きだな」
 「…………………」
 じとっと千尋先輩を見てしまう。

 「チョー綺麗なんだよ?」
 「あ、そう」
 千尋先輩は全然興味なしな感じでまた電話をかけはじめた。
 「もしもし?クリスマスイブの日にホテルをツインかダブルで取ってくれ。…俺じゃない。ダチが来るんだ。ホテルのランクは低くていい……ああ、支払いは俺でいい」

 え?千尋先輩が払うの?なんで?と岳斗はきょとんとして千尋先輩の膝の中で背中を千尋先輩によりかかりながら斜め上を見上げた。
 千尋先輩のカッコイイ顔が目の前にあって、相変わらずかっこいいなぁと思ってると千尋先輩が電話をしながら手を伸ばして岳斗の頬を撫でてきた。
 電話はマネージャーさんかな…?
 千尋先輩の手の上から岳斗は自分の手を重ね、そして頬を千尋先輩の手にこすり付けた。
 ベースを弾く大事な手だ…。
 「じゃ、取れたら連絡いれてくれ。ああ……悪いな」

 今日は久しぶりの一緒の休みで千尋先輩補充の日だ。千尋先輩は作曲とかに入るとウチにいる事が多いけど岳斗は仕事が忙しい。すれ違いって事はないけど、毎日重労働でへろへろになることが多くて帰ってきてすぐ爆睡も多いんだ。なので今日は思い切りべたべたくっ付いてる日。
 「なんで千尋先輩が払うの?」
 「…ヤツには借りがいっぱいある」
 「そう?」

 「………………いや、デカい貸しもあったな」
 千尋先輩がそっと岳斗の唇を親指でなぞった。
 「……まぁ、いい」
 千尋先輩が遠くを思い出すような目で優しく岳斗を見ていた。
 「千尋先輩…」
 岳斗は身体の向きをもぞりと変えて向かい合わせになると千尋先輩の首に腕を回して抱きついた。
 するとすぐに千尋先輩の腕も岳斗の身体を抱きしめ、岳斗の唇を啄ばんでくる。 

 戯れるように軽く合わせるだけだったキスがすぐに段々と熱を孕んだものに変わっていく。
 「尚先輩と会えるの?」
 はぁ、と熱くなった息を吐き出しながら聞くと千尋先輩が無表情になった。
 「…………会いたいのか?」
 「そりゃ!遥冬さんとも!」
 「…………」
 むっとさらに面白くない、といわんばかりに千尋先輩が口元を下げる。

 「千尋先輩もずっと尚先輩と会ってないでしょ?」
 「別に会いたいとも思わねぇ」
 「…嘘ばっかり」
 ぷっと笑ってしまう。
 「……千尋先輩も千波さんも全然実家に帰らないよね…」
 「行って何するんだ?別に用事もない」
 「もう!そんな事ばっかり言って!」

 「……岳斗は帰りたい…と思うのか?」
 「思わないよ?…千尋先輩がいるところがいい…離れるのヤダもん」
 離れてた一年は途轍もなく長かった。あの時期を思い出しただけでも苦しくなってしまう位。
 ぎゅっと千尋先輩に抱きつけば千尋先輩の腕がちゃんと抱き返してくれる。

 「でも尚先輩とは会いたいなぁ~」
 「……………」
 千尋先輩が嫌そうに眉間に深く皺を刻んでいく。
 「あ、タカ先輩も一緒に!そうしたらLinx3人だよ?」
 岳斗の中でやっぱりLinxは特別だ。今の千尋先輩のバンド、エール・ダンジュも勿論いいけど岳斗はLinxの千尋先輩見て夢中になっちゃったんだから。そして解散の瞬間まで見ている岳斗にとってはLinxはやっぱりずっとずっと大切に残っている。

 …それはきっと岳斗だけじゃない。岳斗以上に千尋先輩や尚先輩、タカ先輩の中にも残ってるはず。
 会いたくないはずないと思うのになんで嫌そうなの?
 「……尚とくっ付くなよ」
 「へ?」
 むっとしたまま千尋先輩がぼそっと言った。

 「…………あの…俺、別に尚先輩好きじゃないし。尚先輩には遥冬さんいるし」
 それでも面白くないと千尋先輩が岳斗をじっと睨んでいるのに岳斗は笑って千尋先輩に抱きついてキスした。
 「千尋先輩…好き」
 芸能人でバンドも人気もあって曲提供したり、ベースで呼ばれたりと凄い人なのになんでこんな事岳斗に言うんだろ?
 自分なんかちっぽけな存在でしかないはずなのに。
 いつも千尋先輩はそうやって岳斗を喜ばせてくれるんだ。
  
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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