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2013 Christmas Live 4

 千尋先輩が深尾さん達の方に行ってなんかエール・ダンジュの曲の話を始めたらしい。
 いつでも千尋先輩の中は音楽でいっぱいだ。いくつも曲が湧いてくるっていうのが岳斗には不思議で仕方ない。

 「なぁ…岳斗…」
 「ん?なぁに?」
 ちびちびとお酒を口にしている岳斗に尚先輩が複雑そうな顔で話しかけてきた。
 「お前に酒って合わねぇぞ?な、そう思わねぇ?遥冬?」
 「似合うか似合わないかじゃないだろ」
 「そうだけど」
 「俺だってハタチ越えてます~!」

 むっと岳斗が口を尖らせるとタカ先輩と千波さんにまでくすくす笑われた。
 「尚先輩だって!なんか全然かわってないし!大人になってなーい!それに比べてタカ先輩は千波さんといるせいか大人な感じ~」
 「…………やっぱ、孝明ってそうなの?」
 
 「何が?」
 タカ先輩は飄々と受け流してる。
 「え?ほら…でも千尋のお兄さんなんだろ?……いいのか?」
 「よくないけど。………仕方ない…。初めはまさか千尋のお兄さんだなんて知らなかったんだ!」
 「え?知らねぇで?……後から分かった?…そりゃ最悪」
 「まったくだ」
 千波さんが苦笑を漏らした。

 「僕はあんまり千尋と仲いいってわけじゃなかったけど…千尋は一体…」 
 くすくすと千波さんが笑っている。
 「我が儘」
 「狭量」
 「唯我独尊」
 「嫉妬深い」
 「束縛魔」
 タカ先輩と尚先輩が交互に言葉を出していって後何ある?とか言ってる。
 その悪口の羅列に遥冬さんは顔を伏せて笑いをかみ殺してた。 
 「ひで~~~~!千尋先輩に言ってやる~!」

 「でも音楽は超一流」
 「ああ」
 尚先輩とタカ先輩が顔を合わせて苦笑。
 「しっかしさ~~!まさか孝明までこんな事になってるとは…」
 「そういうお前だってそんな相手いるなんて知らなかった。まだ岳斗なのかと思ってた」
 「岳斗はちげぇって!遥冬さん?違うから!ね!…孝明!テメ!わざわざ余計な事言うんじゃねぇよっ」
 「バカにした仕返しだ」
 「してねぇよ!」

 またじゃれあいだ。
 「何してんだ?もうすぐ始まるぞ」
 千尋先輩が戻ってきて声をかけた途端に客席の電気が落ちた。
 そして演奏がはじまる。
 今インディーズで一番人気というバンドらしい。

 「岳斗…どうだ?」
 千尋先輩が岳斗の耳元に口を寄せて聞いて来た。音が大きいので声を大きくしないと聞こえない。
 「……う、ん…うまいけど…」
 なんかイマイチな感じ。
 久しぶりのライブの音と雰囲気で楽しいけど!

 やっぱり違うって感じ。
 次々とバンドが入れ替わってステージを終えた。
 岳斗的にはどれも上手いけれどなんか同じような感じに聴こえてしまった。どうしてかなぁ…と頭をかしげて千尋先輩をみれば納得してしまう。きっと千尋先輩のバンドとかばっか聴いてるから耳が肥えちゃったんだ!

 「へぇ~…わりとまぁまぁだな」
 「インディーズでも売れてるバンドだ」
 Linx三人はギターがどうの、ボーカルがと音楽の話に夢中になっている。
 「千波さん、どう?遥冬さんは50’Sと全然違うでしょ?」
 「ああ…違うもんだね」
 「……音…すごいね…耳が…」
 「でも、体に響いてくるでしょ?」
 「ああ、テレビとかで見るのと全然違う。生の音ってこんななんだ?」
 千波さんが感心したように言うのにもう!っと岳斗はがっくりしてしまう。弟のバンドはもっと桁違いにすごいのに!

 「千尋先輩のバンドだったら!もっとすごいよ!全然違うんだから!」
 「そうなの?」
 ああん!もどかしい!
 どう違うんだろう?と首をかしげる千波さんに悶えたくなる!

 「千尋~!ちょっと!」
 深尾さんに呼ばれて千尋先輩が席を立った。工藤さんも入ってるからまたバンドの話かな?
 千尋先輩が戻ってきて尚先輩とタカ先輩になんか耳打ちすると二人も立って深尾さん達の方に行ってしまう。

 「どうかしたのかな?」
 遥冬さんが尚先輩の後ろ姿を追っているのが分かった。
 「さぁ?」
 「そういえば、孝明って…ここで歌ってるって言ったよね…」
 「そうだよ!千波さんそれも聞いた事ないんでしょ?」
 「……ないね。孝明出る時って普通の日が多いし…それだとミューが…」
 「そっか…」

 「ミュー?」
 「千波さんちに猫いるんだよ!チョー可愛いの!大きくなったよね?千波さん写メないの?」
 「あるよ。見る?」
 千波さんの携帯に遥冬さんと岳斗と三人で頭をくっ付けるようにして写メに夢中になる。
 「うわ!かわいい!」
 「でしょでしょ!ちっさい時に抱っこしたけど!こんなだった!」

 岳斗が両手で形作る。
 「そんなに小さいの!?」
 「生まれたてを拾ったから。今はもう大きくなったけどね」
 三人でミューちゃんの話をしていたら客席のライトが落ちた。
 「え?もう次のステージ?入れ替えまでまだ時間あるはず…」
 照明が落ちたので三人で席に座ったけど、Linx組がいない。どこいったの?
 
 

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