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2013 Christmas Live 9

 ライブハウスの裏口から出て千尋先輩はすぐにタクシーを捕まえて乗ると岳斗はタクシーの中でそっと千尋先輩の手を握った。
 千尋先輩も黙ってぎゅっと握り返してくれて…。

 抱きつきたいけど、我慢…。
 色々いっぱい言いたいけど我慢…。

 いっつもいっつも…千尋先輩は驚かせてくれる。ドキドキさせてくれる。
 ベースが違ったって千尋先輩の音はすぐ分かる。弾いてるのが千尋先輩だったら全然音が違うから。
 思い出してまた目が潤んできそうだ…。
 だってまさか今日千尋先輩の弾くとこ見られるなんて思ってもなかったし、それだけじゃなくてLinxでLinxの曲だなんて思ってもなかった。

 千尋先輩が好きで好きで追いかけていた時の曲…。あの解散ライブの後初めて千尋先輩と…。
 色々な事も思い出されてきて…恥かしいやら懐かしいやら…ごちゃごちゃに想いが混じり、目が潤んでくるけど涙が零れないように岳斗は口を引き結んでぐっと歯を噛んだ。

 尚先輩やタカ先輩が…千尋先輩の為に…なんてきっと千尋先輩も今日知ったんだ。あの尚先輩とタカ先輩の答えに千尋先輩は顔を歪めたんだ。
 解散だ、と言った時、千尋先輩は何も言わなかったけれど落ち込んでいたのは分かる。
 きっとどうして…と思っていたに違いない。

 尚先輩とタカ先輩が…凄い…と思う。当時だってあんなに人気もあって…今日の演奏だってインディーズでCD出しているバンドよりもずっとずっとよかった。それなのにそれを選ばないで千尋先輩の為にって…。

 岳斗なんか何にも出来ないくせに千尋先輩から離れられないのに…。
 千尋先輩のために、なんて何一つ出来てないのに一緒にいるのに…。
 それなのにそんな岳斗の為に千尋先輩はいっつも考えてくれている。いつでも…。
 今日だって…。岳斗が仕事抜きで見たいな…なんて言ったから、それを叶えてくれたんだ。

 どうしてかなぁ…?
 岳斗が出来るのは千尋先輩を好きでいる事しか出来てないのに…。
 ぎゅっと千尋先輩と繋ぐ手に力を入れるとくす、と千尋先輩が目を細めて笑った。
 …やっぱ…かっけぇ……!
 ほんと未だに一緒にいるのが夢みたいだ。いつか覚めてしまうんじゃないのかなと思うけどまだ目は覚めないで夢の時間が続いている。

 早く!部屋に帰りたい!早く!もっと飛ばして!…とタクシーを急かしたくなる。
 そんな事思っている間にタクシーはマンションに到着。千尋先輩に身体を押されて先にタクシーを降りて千尋先輩を待って、千尋先輩がタクシーを降りてくると岳斗の手をまた繋いでマンションの中へ。
 エレベーターの中でも無言。
 ずっと…。でももう気持ちが溢れそうだ。

 もうちょっとで着くから。部屋に入ったら抑えなくていいから…。
 もどかしそうに千尋先輩がドアの鍵を開け部屋の中に入って電気をつけ、ドアが閉まった瞬間に岳斗は千尋先輩の首に飛びついた。
 千尋先輩もすぐに岳斗を抱きしめてくれてそしてすぐキス。
 「ちひ、ろ…せんぱ…」
 千尋先輩も待ちきれなかったといわんばかりにすぐに岳斗の唇ををねじ開けて舌を差し込んでくる。
 「ん…っく……ぅ…」
 もうキスだけで身体が熱くなってきてしまう。

 「ひゃあうっ!」
 「ああ、わりぃ…」
 ぷぷっと千尋先輩が笑った。…というのも外から帰ってきたばかりの千尋先輩の冷たい手が岳斗の服をたくし上げて肌に触れたのにひやっとして声が出たんだ。
 「いいよ…手…温めて?ん、んぅ…」
 冷たい手が肌を触るのにぷるぷるしてしまう。
 その様子に千尋先輩がくっくっと笑ってそしてわざと手を動かすんだから…。

 仕返し!
 岳斗も手を千尋先輩の首から離して服をかきわけ脇腹に触れてやる。
 「…ぅ……」
 千尋先輩が顔を顰めてぶるっとしたのにぷっと笑った。
 「この…」
 「ん、ぁっ…」
 さらにキスしながら千尋先輩の手があちこち動くけど肌に触れたからかもう冷たくない。
 あとはもう待ってるのは官能だけだ。

 「…ん、…はぁ……」
 「岳斗…」
 千尋先輩の手が岳斗のベルトを外してもう下に触れてくる。
 「…我慢できない…いいか…?」
 ええ!?ベッドまではあとちょっとなのに?ここまだ玄関なのに!?
 「あ、ああっ!」
 もう千尋先輩の手が岳斗の後ろを探っていた。
 部屋は暖房をタイマーにしていたのか玄関まで暖かくなっていて寒くはないけど…。

 「後ろ向いて…」
 手をドアについてジーパンを下げられて下半身だけ出されるなんてこっぱずかしい格好させられるとかちゃかちゃと千尋先輩が自分のベルト外してる音が聞こえる、すぐに後ろに押し当てられた。
 もう何度も数え切れない位千尋先輩を受け入れてるそこは待っているかのように千尋先輩を呑み込んでしまう。
 「岳斗……」
 「あ、…ぁ…」
 こんなに…千尋先輩がベッドまで待てない位欲しいって思ってくれているなんて…。
 それだけで感じてしまってもう恥かしいも何も考えられなくなってしまう。
 「ちひろ…せんぱ…い…っ…」
 マンションは最上階で他に部屋もないから誰に聞かれるわけでもないし…とか…ちょっと考えてしまったのは内緒だ。
 
  

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