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月からの甘い誘惑 57

 「芹沢君も所は芸能プロダクションも始めるのかい?」
 次々とあちこちの社長から声がかかっている。
 それがどんな関係かなんてとんと碧に分かるはずはない。
 この集まっている人の中で社長といってもかなり芹沢さんは若いけどそれでもいっぱい声がかかっているみたいだ。

 「まさか、コレはうちの社員ですよ。今度新ブランドを立ち上げようと思いましてその試作で着せて連れて来てみたんです。今まではカジュアルものばかりでしたが」
 「ほう…」
 「出来たらうちにも連絡を。撮影で使える機会があれば是非!芹沢君のブランドは今若者に人気だから話題になるだろう」
 ……すごいな、と碧はへぇと心の中で感心してしまう。
 「君、アイドル目指すつもりは…」
 「やめてください!これでも優秀な販売員なのですから」
 碧にまで声がかかると芹沢さんが笑って断っているのにほっとしてしまう。

 なんかこえぇな…と碧は他人事のように感じてしまう。
 年取ったおっさん達の目が怖い。
 金って言う字が目に浮かんでいそうな気がしてならなくて。
 とてもじゃないがこんな中に平然といられる社長に碧にはこんな世界はやっぱ無理!とか思ってしまう。
 久世さんはどんな事思いながらこの場にいるんだろう?
 嫌だ、みたいな事言ってたけど。

 普通は嫌だよな、と心の中で納得してしまう。
 こんな普通じゃない所に来たのが初めてだった碧はもう二度と来なくていいかも、とさえ思ってげんなりして来る。
 社長襲名の挨拶やら祝辞やらと進みグラスをもらって乾杯とか。
 なんかわざとらしい演出に早く帰りたいとばかり思ってしまう。
 こんなんだったら久世さんと久世さんちでゆっくりなんでもないテレビ見てる方がずっと楽しい。
 まぁ、碧は久世さん好きなんだから、そりゃあおっさんの相手してるよっか久世さん眺めてた方がいいわけだから当然だけど。

 きょろりと碧は首を巡らせて背の高い久世さんの姿を探した。
 あ、いたいたと久世さんを見つければ思わず顔がにまっと笑ってしまう。
 そして久世さんもちょっと顔をきょろりと巡らせているのに碧の事を探してくれてるといいな、と思いながら見ていたらぴたりと久世さんの顔が碧の方を向いた。

 碧は背が高くはないけれど、髪が金色に近い茶髪だし、この中にいたら目立つはずで久世さんも探しやすいとは思う。
 でもこうして遠く、顔がやっと判別出来る位の距離でも視線が合ってるって事が分かってしまうとやっぱり嬉しい。
 そんなのがもうこの会場に入ってから何度もあった。
 ちょこちょこ碧は久世さんを探して、久世さんも碧を探しているっていう事でしょ?
 早く終わらないかな~と思ってしまう。
 嬉しくて久世さんに抱きつきたいかも、という位気持ちが高揚してきてしまう。

 そんなの迷惑だろって思うけど、だって何度も何度も視線が、顔が合うんだもん。
 こんなに気にしてもらっているのが分かって、そこが分かっただけでここにきてよかったかも、と思う。
 そうじゃなかったら気付かなかった。
 だっていつも久世さんは隣にいたから、こうして離れて初めてこんなに見てくれてたんだってのが分かったから。
 嬉しいな…と素直に思ってしまう。

 抱く抱かないってそれも気にはなるけれど、その前に好きという気持ちの方が大きいんだ。
 戸惑っているといった久世さんだけれど、好きと言ってくれていたのも本当かも、と思えてきてしまう。
 ただ好きだけで碧はいいんだけれど、久世さんはそうはいかないのも分かってる。
 まだ碧が女だったら結婚とかも出来ただろうから、もしかしたらどうにかなったかもしれないけど、どうしたって男なわけで…。元々久世さんだって男が好きなわけでもないわけで。それを考えればこの先どうのっていうのはまったく見えるはずはない。

 今はよくてもあとから嫌われる事だってあるかもしれないし…。
 まぁ、それは男女にもいえる事だけど、どうしたって先があるはずないのは分かっている。
 多分久世さんと一緒にいるのが多分久世さんのとこの銀行の頭取と支店長で、その頭取の娘さんが由紀乃さん。
 あの人となら安易に先の想像がつく。
 結婚して子供出来て出世して、普通の幸せな家族になれるだろう。

 そんなの考えなくたって分かる…。
 分かる……けど…、嫌だなと思ってしまって苦しくなる。
 でも久世さんの事考えたらやっぱり身を引いた方がいいのかな…。
 今だったら別に一度寝ただけだし、誰かがそれを知っているわけでもない。久世さんの先を考えれば碧が出て行けばいい事…。…分かっているけど。
 久世さんに邪魔にされるとか、嫌がられてるなら嫌われたくなくてそうするだろう。でも今は久世さんが碧を気にしてくれているのが分かるのにそれを捨ててまで出て行くなんて出来そうにない…。
 「……エゴだ…」
 小さく思わず呟いた。
 
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おきわさんから碧クンいただきました~
クリックでどうぞ~↓↓↓
        haku*nibi 
ありがとうございます~m(__)m

続きに拍手コメお返事あります^^
mm3様
 エロ大王様はエロ社長といる碧くんに
 イライラです~(笑)
 お昼の分が久世視点です^^
 タラシは碧限定で~(^m^)
 遊んではいたけど、碧は恋愛偏差値低いのですね~(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 シャチョサ~ンはね…
 黙っときます~(^m^)
 お昼の部で~^^/
 ありがとうございます~^^

okw様
 スーツ姿目立ちそうですね~
 年寄り連中の中にいれば余計目立つでしょう~^^
 雲行きは~…(笑)黙っておきます~
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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