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月からの甘い誘惑 65

 ぺたぺたと久世さんに好きに触れられるのが嬉しくて、つい手をムダに動かしてしまう。
 「……少しじっとしてろ」
 久世さんが碧を包むように抱きしめてきたのに大人しく久世さんの腕の中に入る。
 ヤバイ位幸せかも…と今度は照れてくる。

 「碧。………で?………なんでお前のとこの社長はお前のホクロを知ってる?」
 「げ……」
 今ソレを聞くんですか?
 むっと碧が口を噤むと久世さんが碧の顎に手をかけて上を向かせた。
 目の前には久世さんのちょっとキツイ端整な顔。
 やっぱ硬派、って感じでカッコイイ。
 芹沢さんは見るからに軟派だ。

 「…碧」
 また久世さんの声が低くなる。
 「………言わない」
 「言いなさい」
 「………久世さんに嫌われたくないって言った」
 「嫌わないと言った」
 「そんなんわかんないでしょ!?…だって…俺、自分でもダメダメだと思うもん!」
 「そんな事はない」

 久世さんが断言するのになんでそんな事が言えるの?と思わず恨めしそうに見てしまう。
 「知らない方がかえって気になって仕方ないんだ…。碧…。無理にでも聞き出す。………こんな嫉妬出しまくりの俺みたいな野朗なんかそれこそ碧に嫌われるだろうな…」
 「ない!」
 「じゃあ言って?」
 むうっと碧が口を尖らせるとそこに軽く久世さんがキスした。

 「寝た事あるんだな?」
 それは最早確認だけだ。
 嫌われたくない…。
 ぎゅっと縋るように久世さんの胸元を掴んだ。もし、また前みたいに手を払われたら…と思ったけど久世さんは反対に碧の手を握り締めた。

 「久世さん…?」
 「嫌いになんかならない。反対に碧を閉じ込めたくなってるのに。あの社長のとこなんかにお前を出したくない。一緒の会社なんか辞めちまえといいたいとこだ」
 「………社長は好きでもなんでもないよ?…あの……俺……酔っ払いすぎると……ダメみたい…今の会社入る前…だからもう3年位前かな…」

 碧が観念して小さい声で話し始めた。
 久世さんに握り締めてもらっている手にぎゅっと力を入れた。久世さんの大きい手も大丈夫というように握り返してくれるのに安心する。

 「…飲みすぎで覚えてないんだけど…どこかの店で声かけられて一緒に飲んでたのは覚えてる。でもそのあと…気付いたらホテルのベッドで……」
 こくんと碧は息を呑み込んで顔を久世さんの胸に伏せた。
 「…酔い冷めてきた頃には…やられてて……そん時はそれで終わりで、名前もなんも知らなかったんだけど…。そのあと就職して…入ったらそこの社長で…」

 「……その一回だけ?」
 「ぅ……」
 久世さんの低い静かな声にうん、と言っとけばいいのに嘘がつけなくて思わず碧が言葉に詰まってしまう。
 「碧…」
 「正体なくしたの…もいっかい…」
 小さく消えるように暴露する。

 「………それも社長?」
 「違う!……知らない人…あの…それだけ…です」
 それだけ、って言っても十分ダメダメだと思う。
 はぁと大きく久世さんが溜息を吐き出したのに碧はびくんと身体を竦ませた。
 「社長とは一回だけ?」
 「それだけ!……あとは…この間…。今までも何度か飲みにとか誘われたけど…断ってたし…この間は服くれるって言われてつい…」
 言い訳がましく言っている自分がみっともない。 

 「碧のとこの社長……お前が好きなんだろう?」
 はぁ、と久世さんが自分を落ち着かせるように大きな溜息を吐き出した。
 「…………モデルしてたっていう位見目もいい。社長で金も地位もある。…それなのに……碧は俺でいいのか?」
 「社長が俺を?…ないよ?ゲーム感覚って言ってたもん。でももし違くても…俺…久世さん、がいい。……人…好き、なったの初めて…」
 「ゲーム?違うと思うが…。まぁいい。本当に碧は俺でいい?」

 「久世さんしか…やだ…。この間…社長に触られた時…気持ち悪かったんだ…。ずっと…気持ち悪くて…洗っても洗っても気持ち悪くて…」
 ぐっと久世さんが腕に力を込めて抱きしめてくれる。
 「久世さん……こそ…俺、ヤダ…くない?……」
 そっと窺うように顔を上げて久世さんを見たらじっと久世さんが碧を見つめていた。

 「碧を嫌だはないな。……お前んとこの社長に対してなら殴り飛ばしたくなるけど」
 「……久世さん…強そう」
 身長は社長と同じ位だけど、久世さんの方がずっと身体つきも筋肉質で強そうだ。
 「まぁまぁ腕っ節は自信あるぞ?……いいけど、碧。酔っ払うとそんな事になるのか?」
 久世さんが胡乱げに碧を見た。

 「よ、よ、よくわかんないっ!でもその、2回だけ!あとは気をつけて…そうならないようにしてた、から……だからこの間もちゃんと逃げてきたしっ」
 「………キスマークつけられてるのはちゃんとじゃない」
 「…………はい…」
 「社長と出かけるのはナシだ!いいな?」
 「で、で、も…仕事だったら…」
 「ナシだ!いいな?」
 「………はい」 
 碧は久世さんに離されなかった事で安堵の笑みを漏らし、自分の馬鹿さ加減に恥ずかしいと思いながらも嬉しくて久世さんの胸に顔を埋めた。
 
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あけましておめでとうございます~m(__)m
本年もどうぞよろしくお願いいたします^^
皆様にとってステキな一年となりますように~♪♪♪

次は通常通り11時頃upです~^^; 
 

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