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熱視線 終幕~フィナーレ~最終話

 ぼうっとして明羅はリビングのソファに座っていた。
 「明羅く~ん?いつまでぼうっとしてるのかな?」
 すでにコンサートを終わって1週間もたってる。
 「お仕事溜まってるんじゃないの?」
 「あっ!…そうだね」
 怜さんをじっと見る。
 「コンサートよかったねぇ」
 「はいはい、ご満足そうでよかったよ。いいけど、あと3ヶ月したらまた7月だよ?」
 「………」
 明羅ははっとした。
 「また、コンサート?」
 「そう。7月は俺は外せないから」
 「……うん」
 もう一緒にいるようになって1年になる、って事?
 去年の7月にうだうだして帰らないでいたら怜さんにお持ち帰りされてそれから…。
 「1年になるね」
 「…ん」
 怜に言われて明羅が小さく頷くと怜が明羅の隣に座った。
 明羅の周囲は劇的に変わっていた。こんな風になるなんて思ってもみなかった。
 そっと怜に身体を預けた。
 怜が明羅の唇を啄ばむ。
 もう数え切れないほどキスしてる。
 今は不安はない。
 でもまたきっと不安は出てくるだろう。
 「…俺、また一人でぐるぐるなっても怜さん嫌じゃない?」
 「嫌じゃないから、お願いだから俺に言ってくれ」
 くすと明羅が笑った。
 「ちょ、れ、怜さん?」
 怜の手が明羅の服の中に入ってくる。
 「ん?」
 「ん、じゃなくて…」
 「いいだろ?」
 怜の舌が明羅の首筋を舐め、キスを落としていく。
 「学校ないからつけてもいいのが嬉しいよね。しかし楽団の奴何人か明羅に目つけやがって」
 「え?」
 「挨拶行った時、気付かなかった?」
 「何に?」
 「……ま、いいよ。明羅はそのままで」
 「?」
 「ほんと可愛いね。たまに女王様になるのが楽しいけど」
 くつくつ笑いながら明羅の服を剥いでいく。
 「怜、さん…」
 もう怜に触れられれば明羅の身体は蕩けてしまう。
 「も、ダメかも…」
 「何が?」
 「だって…」
 明羅はぎゅっと怜にしがみついた。
 「怜さんっ」
 声が上擦ってしまう。
 「日中からだめだよね~…でもいっか。大仕事終わったばっかり、という事で」
 怜の唇が明羅に重なった。



 「コレ、何?」
 リビングの片隅に雑誌が何冊か重なってたのを見つけた。
 「あ、生方が朝早くに雑誌に乗った分届けてくれたんだった」
 音楽雑誌だ。
 朝は明羅はいつもなかなか起きられないのだ。
 ぱらっと中を見ると、怜と父との対談が載っている物があった。
 対談の時家には行ってたけど一緒に場にいたわけではなかったので何を話していたのかは知らなかった。
 読み進んでいって明羅はえ???と首を捻った。
 「怜さん、……これ…」


 明羅は7歳の時から怜のコンサートに行って、は合ってる。
 お母さんが怜さんをレッスンしたのも合ってる。
 その関係でずっと明羅は怜を兄のように慕ってた…?って何?
 懇意にして、両親が忙しくてその分怜が親身になって…?
 そして才能に気付いて自分の機材を貸しているとも。これは半分嘘で半分本当だ。
 怜が雑誌を覗き込んでぶっと笑いを漏らした。
 「お前のお父さんのでっちあげ。俺とお前が一緒にいてもおかしくないように話を作ってくれたんだろ」
 「………あ」
 「俺は話合わせるのまぁ、大変だったよ」
 くすくすと苦笑している。
 「……なんか恥かしい、んだけど」
 「今更でしょ」
 「ん……。怜さん、一緒にいていい?」
 「いてくれないと困るって言ってるだろ。…離してやらないし?」
 「うん、離さないでね」
 明羅は怜にだけ効く武器である笑顔を向け、首を傾げた。
 
 

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