2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

月からの甘い誘惑 69

 そのまま久世さんもあまり話さずそして一日が終わってしまった。
 それなのにベッドでは久世さんが碧を優しく抱きしめてくれたのに泣きたくなってきた。
 大丈夫と言う様に背中を撫でてくれて。
 それだけで泣きたくなってきたんだ。なんでか涙腺が弱っている気がしてならない。ちょっとの事が気になってぐっときてしまう。

 多分火事の時から子供のように大泣きして、それを久世さんが優しく受け止めてくれたからかもしれない。もう何度も泣いてるから泣き癖でもついてるんだろうか…?
 幼く見られるのはいつものことで、それが面白くなかったはずなのに、久世さんだったらなんとも思わない。久世さんが碧を子ども扱いにしているわけではないと分かるから…?

 とにかく盲目的に久世さんにだったら何されてもいいのかもしれない。
 とにかく嫌われたり嫌がられるのだけが怖くて仕方ない。

 好きだ、って言ってくれたけど、どこが…?
 バカで、怒らせるような事ばっか言って、酔っ払って正体なくすくらいで、自分の事ばっか考えて…。
 自分にはどこにも好かれる要素なんてないと思う。
 …だから不安なんだろうか?
 住むとこもなくして、久世さんの好意に甘えて、女でもないのに恋人?
 ……いいのかな…?

 自分はいいけど、久世さんが、だ。
 いいわけないよな…。
 ないけど、離れるなんて考えられない。
 だから自分のエゴだ、と思ってしまう。
 久世さんの腕が碧を捕まえてくれているのに、その久世さんの胸元をぎゅっと掴んだ。

 「……どうした?」
 「…ううん……」
 小さく碧が首を振ると久世さんが碧の頭にキスを落とした。
 「寝ろ。今日疲れただろ」
 疲れたけど、それは甘い疲れだ。だって久世さんが与えてくれた事だから。…いいのに。
 でも何も言えなくて碧は小さく頷く事しかしなかった。
 「おやすみなさい」
 「おやすみ」

 挨拶だって一人でいた時なんて仕事の時だけだった。
 どれもが…小さい事でも甘く感じてしまう。
 キスしたいな…と思ったけど、何となく自分から出来なくて碧はちょっと残念に思いながら目を閉じた。
 久世さんの腕の中は安心できる。
 これ以上もっともっとなんて自分は何様だ。
 十分すぎるだろ。
 瞼が重くなってきて意識も沈んでいく。
 やっぱり疲れてはいたらしい。…当然といえば当然だけど。


 なんかただ好き!ってだけじゃないのがツライ。
 きっともしこれが高校の時だったらただ好き、だけだったんだろうな、とは思う。
 仕事して社会に出ている以上やっぱり考えてしまう。
 特に久世さんなんか銀行員なんてお堅い職業だから余計に。
 銀行に行って久世さんがいるのが嬉しい。
 両替に並んで久世さんと目を合わせて碧が小さく手を振ると久世さんの目元が優しくなるのを見ると好きだなぁと毎日再認識してしまう。
 それでまた一日仕事がんばろうって思うんだからお手軽といえばお手軽なんだけど。
 
 「暇だな…」
 今日はお客さんの出足がよくなくて暇だった。天気がイマイチで今にも雨が降り出しそうなくらいに暗い。
 「ディスプレイかえますか?」
 「そうしようか。シーナやっといて」
 「は~い」

 店内からコーデを考えて品物を選び、通りのガラス張りのショースペースに入る。
 マネキンが着てたもの脱がせて…。
 ふっと通りから視線を感じて碧が振り向くとそこに由紀乃さんが立っていた。
 あ、と碧が口を形作ると由紀乃さんが小さく頭を下げた。
 そのまま通り過ぎていくのかと思ったらじっと碧を見て動かない。

 何だろう…?
 久世さんの相手が俺って知ってるの…?
 こくりと喉をならし、仕方なくショースペースを出て表に出た。
 忙しい日だったらこんな事できないけど、店内にはお客さんもいなくて暇だったんだ。よりにもよって…。

 「こんにちは…ごめんなさい…。お仕事の邪魔をしてしまって」
 「……いえ…今日は暇、だから…」
 由紀乃さんに向かって小さく頭を下げた。
 だから、どうして碧が由紀乃さんと話しなきゃないんだ?
 勘弁して欲しいと思ってしまう。どうにも後ろめたくて仕方ない。

 「あの!こんな事…あなたに聞くの間違ってる…とは思うんですけど…優眞さんの好いておられる方…知ってます、か…?」
 そんなの…どう答えろと!?
 まさか付き合ってるのは自分です、なんて言えるはずないじゃないか!
 ……女だったら胸張って言えたんだろうか?
 碧は顔を俯けた。
 
-------------------
続きに拍手コメお返事です^^
 
mm3様
 大王様捕獲しました(笑)
 店長さんは諦め~…ですね^^:
 そして大王様不器用で碧クン閉じ込めたくて
 大変です~(笑)
 でも碧はおKなんですけど^^;
 可愛いありがとうございます~(^m^)
 そしてコメントもいつもありがとうございます~^^/

SR様
 店長物分りいい人でした^^
 シャチョーは別ですか?(笑)
 碧おもちゃ扱いで遊んでますからねwwww
 久世はまったく余裕なしです^^;
 イラスト!
 是非~^^お待ちしてますね(^m^)
 ありがとうございます~^^

tsr様
 目のお疲れは大丈夫でしょうか?^^;
 まだまだ足りないですか~?(笑)
 百合じゃない…wwww
 おさらいも(笑)ありがとうございます~m(__)m
 嬉しいです^^
 仕事に家事、今日からですか…
 頑張って下さいね~(><)
 私はまだ休み満喫中でした^^;スミマセン…
 ありがとうございます~^^

okw様
 あけましておめでとうございます~^^
 ステキなお正月だったみたいでwwww
 ほも充電なったでしょうか~?(^m^)
 ベッドどうぞどうぞ(笑)
 本年もどうぞよろしくお願い致します~m(__)m
 ありがとうございます~^^

hrk様
 あけましておめでとうございます~^^
 今年もどうぞよろしくお願い致します~
 …私は軽く(笑)
 少ないですね~^^;なので嬉しいです~(^m^)
 社長は…なにげに後押ししてた形になってました~
 久世はもろに独占欲丸出しですね~^^;
 まぁ碧がそれでいいのでどっちもどっちですけど(笑)
 ありがとうございます~~~^^
 早起きはほどほどにでいいですよ~^^;

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク