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月からの甘い誘惑 番外編2

 明日は仕事が休みの金曜日。
 もうそろそろ終わりにしようかと思った所に受付から電話がかかってきた。
 「あの…社長…親戚の男の子が来ておりますけれど」
 「は?」
 「ユウキと言えば分かる、と…」
 「し……」

 知らん、と言おうとして先週の週末の事をあ!と洸生は思い出した。
 あのユウキか!?
 電話をガチャンと切り、急ぎ足でフロアに出た。
 …いや、何故急ぐ必要があるのか。
 慌てる自分に顔を顰め、途中で足を普通の闊歩に戻した。

 そして階下に降り、受付に行くと、あちらに、と受付嬢が視線を向けたのに洸生も視線を向ければ目が点になった。
 フロアに立って壁にかかっていた絵をじっと見ている姿。
 立っていたが…………制服を着ている…。
 ………まさか!高校生か!?
 顔は確かにユウキだ。酔っ払かっていたが、その綺麗な顔は覚えている。
 ……嘘だろう…と洸生は頭を押さえた。

 「あ!」
 そのユウキが洸生を見つけると顔に、ぱっと華やかな笑顔を浮べた。
 「ちょっとこい!」
 ユウキに何も口を開かせないうちに洸生はユウキの腕を捕まえ、そのままぐいぐいと引っ張り社長室に連れて行った。

 「どうしてここが分かった!?」
 社長室のドアを閉め声を出す。
 「え?名刺だけもらったから」
 あっけらかんとユウキが告げた。
 「金もなんも取ってないよ?」
 「分かっている!」
 はぁ、と溜息を吐き出して洸生は自分の椅子に座って頭を抱えた。
 「……高校生か?」
 「そう」
 にっこりとユウキが笑う。

 「立派な部屋だね。…コレ、学生証」
 はい、とユウキが出してきたのを受け取って目にする。
 結城 遼。高校2年生だ。
 「ユウキって苗字か…名前はりょう?」
 「そう。だいたいユウキって言えば名前だと思うでしょ?」
 「……高校2年?17…か?」
 学生証をユウキに返した。
 「そう。未成年淫行罪だね?」
 くすりと意味ありげな笑みを浮べられてまた洸生は頭を抱え込む。

 「何が望みだ?」
 「…う~ん……別に…?」
 「別に!?」
 こうして制服を着ている分にはユウキは確かに高校生に見える。だが私服だったら絶対に見えない位大人びていた。
 それに…制服でもやっぱり色気がある。
 まったくもってシーナとは反対だ。

 「シーナって誰?」
 「………は?」
 ふと勝手に洸生の中でシーナと比べたらユウキの口からシーナの名前が飛び出して洸生は目を見開いた。
 「この間、何回目かにイくときシーナって呼んでた」
 ユウキ、いや、結城 遼はすとんと社長室にある応接セットのソファに座った。
 「ふられたって言ってたのがシーナ?」

 洸生は眩暈がしてきそうだった。
 もう頭に副えた手が外せそうにない。
 「…………なんの事だ?」
 「シーナってどんな人?見たい。会わせて」
 しらばっくれようとした洸生だが結城 遼は洸生の言葉など全然聞いちゃいなかった。

 「何故?」
 「見てみたいから」
 だから!一体どうして見ず知らずのコイツにシーナを会わせなきゃないんだ!?
 「…………警察電話する?」
 にこぉと結城 遼が澄ました笑顔を向けた。……全然可愛い笑顔じゃない。
 ………嘘だろう……。

 「あ、それと、今日泊めて?」
 「はぁ!?高校生が何を言っている!?」
 「今更だけど?ウチどうせ帰っても親いないし、いても干渉されないから」
 洸生自身も高校時代はそんな感じだったし、高校の頃からもうモデルとして働いていたのでそこは突っ込まないが、普通はそうじゃないだろう。

 「俺は自宅には誰も入れない」
 「じゃ俺が初めて?」
 にっこりとまた結城 遼は悪魔の笑みを浮べた。
 「ついでに抱いてもいいよ?」
 「…………いらん」
 悪魔はいらない。
 「はい、まずはシーナの所。そして家に連れてって」
 コイツは全然人の話を聞いてないのか!?
 


 「うわ!綺麗な子だねぇ~!新しいモデル?」
 「………知り合いの子だ」
 シーナが結城 遼を見て驚嘆の声を上げていた。
 確かに見目はいい。だが中身は悪魔だ。
 「シーナさんってアイドル顔だ…。カワイイ…」
 シーナがむっとしている。
 確かにぱっと見ではシーナの方が高校生に見えそうだ。
 モデル…。確かにシーナとはタイプが違うが見目いい遼にはウチの服が似合いそうだ。つい洸生に仕事モードが入ってしまう。 

 「シーナ、遼にコーディネイトしてくれ。あとそれをお買い上げだ」
 「は~いっ!何着位?」
 「………2、3パターン」
 「了解です」
 「え?ちょ、ちょっと…」
 「こっちこっち」
 遼がシーナにフィッティングルームに連れられていった。

 ………遼につけたキスマークは先週だからもう消えているな…と変な所で洸生はほっとしてしまう。
 しかしなんでこんな事になっているんだ!?
 はぁ、と頭を抱えて大きく溜息を吐き出す。
 「社長?お疲れですか?」
 店長が苦笑しながら聞いて来たのに洸生は深く頷いた。
 「……ああ、疲れた」
 仕事では疲れないのに、なんで高校生ごときに疲れなきゃないのか。
 
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前記事の拍手コメお返事ですが、
後でここの記事のコメント欄開けてしますね~^^;
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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