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月からの甘い誘惑 番外編8

 遼の専属モデルの話はあっという間にまとまり、デザインやコンセプトも洸生の考えたもので進んでいった。
 新作発表に向けて急ピッチにプロジェクトが運んでいく。

 遼は学校が終わると洸生の会社にやってきてウォーキングのレッスン。
 誰に教わるより自分が教えたほうが早いと、わざわざ洸生が時間を作って見てやった。
 その他にも爪の手入れや髪の手入れなども店に連れて行く。
 元々自分がモデル時代からずっと使っているところで一流の所ばかりだ。
 見るからに遼は垢抜けていって傍で変貌を見ている洸生も満足する。
 
 遼は週末じゃなくとも週に何度か洸生の所に泊まっていくようになっていた。
 今まで誰も入れたことがなかった空間に誰かと一緒にいるなんて考えられなかった事だが、遼はすんなりと洸生のプライヴェートにまで入っていた。
 ここの所はもうずっと遼にかかりきりといっていい位だ。
 新作のプロジェクトとフォーマルブランドの立ち上げも兼ねているので大々的になっているのは間違いないのだが。

 …その出来が遼にかかっているからだ。
 その本人は楽しいのか楽しくないのかイマイチ分からないが嫌がってはいないらしく淡々と洸生の欲求を飲み込んでいた。
 食事も外に連れ出して立ち居振る舞いの勉強。どこもかしこも遼がいる時は遼を連れ歩いていた。
 
 「今日はシーナの店行くぞ」
 「……どうして?」
 「お前の普段に着る服選びに」
 車に乗ってから遼に告げると遼はあまり乗り気ではなさそうだ。
 「どうした?」
 「別に…」
 つんとして遼は車の窓から外を見ていた。

 「今日は?帰るのか?泊まるのか?」
 「……どっちでもいい。どうせ泊まったって泊まんなくたって同じだ」
 「同じ?何が?」
 「………別に」
 何か知らないが遼はかなり不機嫌らしい。

 洸生はシーナの店の前に車を停めて遼と一緒に店に入る。
 「遼、ちょっと店長と売り上げについて話があるから店内でも見ていろ。シーナ、ウチの専属モデルになるユウキだ。頼むぞ」
 「…分かった」
 「はぁい」
 二人の返事を聞いて店長とバックヤードへ。売上表や売れ筋、反応など。データは本社にも送られてはくるが、客の反応はやはり現場が一番だ。

 「社長!ユウキくんがっ」
 店長とあれこれと話しているとシーナが慌てた様子で飛び込んできたのに洸生はすぐに店内に向かう。
 遼を見つければ遼が若い男に腕を掴まれていたのに洸生は瞬時にかっときた。
 無言で二人に近づくと遼の腕を掴んでいた男の腕を振り払い背中に遼を庇う。

 「この子が何か?」
 「そいつがぶつかってきたのに謝りもしねぇから」
 背の高い洸生が睨みを効かせれば男がしどろもどろになる。
 「すみませんでした。これの代わりに謝りましょう。で?まだ何か?」
 「い、や…」
 威圧感を込めて洸生が睨めばそそくさと男は友人とだろうか、と連れ立って店を出て行った。

 「遼……一体何してるんだ?」
 「……別に。あっちがぶつかってきたんだ」
 「本当だよ?あいつからユウキくんに絡んでいったんだ。…きっとユウキくんが綺麗だからだろうけど」
 シーナが頷いている。
 洸生の後ろに立っていた遼はただ顔を俯けていた。
 「…俺、今日は帰る。送るのもいい。じゃ」
 そう言って遼は洸生の顔も見ずさっさと店を出て行こうとした。

 「遼!」
 そのまま遼が走って行こうとするのに洸生が後ろを追いかける。
 何だっていい年して走ってまで野郎の後ろを追いかけているんだ?
 「帰るにしたって送っていく。車に乗っていなさい。店長に挨拶だけしてくるから」
 遼の腕を掴み、ぐいと引っ張り助手席に無理やり乗せると大人しく遼が乗ったのに洸生はもう一度店に戻り店長にまた来ると告げ急いで車に戻った。

 車に戻ればちゃんと遼が乗っていたのにほっとし、そして運転席に乗り込み、無言で車を発車させた。
 「………どっかで遊んでくから途中で降ろして」
 「お前制服だろうが」
 「……………」
 今日は学校帰りでそのまま連れてきてたので遼は制服のままだった。店で何か買ってと思ったらその間もなく車に逆戻りだ。

 「ウチにいくか?」
 「いい」
 この間までは行く!だったのが返事が変わっていた。
 「遼?どうした?」
 「だって…洸生さんは俺の事…モノだと思ってるでしょ?」
 「は?」

 「…モデル…するって言わなければよかった…シーナさん…に勝てるとは思ってなかったけど…それでもまだ…ちゃんと見てくれてた…けど、今は…」
 「モノ?シーナ?何が?」
 「……分かってないんだよね?無意識だし。……洸生さんとこ泊まっても抱いてもくれない。だったら誰か別の…探す」
 「ふざけるな」
 「ふざけてないっ!」
 遼の家の方向に向かっていた車を洸生は急ブレーキをかけながらUターンさせ自分のマンションに向かわせた。
 
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続きに拍手コメお返事です^^
 
mm3様
 社長は全部にハマってるでしょう!どっぷりと(笑)
 あと二日分で終わりですけど(短かっ! 笑)
 ありがとうございます~^^

SR様
 時には小動物時には悪魔です~(笑)
 どんなんだ…?^^;
 社長、仕事はできるんですよ~!ただちょっと
 残念なだけで~~(笑)
 やはり年上の立派な家の方の所には転がり込まないとね(^m^)
 話が進まないので(笑)
 ありがとうございます~^^

kin様
 可愛くなってきましたか~?^^
 イメージはどぞどぞ…^^
 社長仕事してないイメージだったのかな?(笑)
 碧も一応(笑)仕事は真面目、って褒めてたんだけどな^^;
 ありがとうございます~^^

tsr様
 読み返しありがとうございます~^^
 コメントは飛ばしてください~~(笑)
 コメントも誤字脱字とか多くて~^^;
 記事なら直せるけど、コメントは直せない~(--;)
 ブログは本当に色々な人がいて大変です。
 いい方ばかりじゃなく、誹謗中傷でブログやめた方も
 少なくないです。今運営している方でも被害ない人はいないかも、です。
 リアでも凹みブログでもなんてね…
 そういう事はやめて欲しいですね↓
 こちらこそ!いつもお優しいお言葉ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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