マンションについて遼の腕を引っ張りながら部屋に連れて行く。
寝室に連れて行き遼の制服を脱がせていった。
「洸生さん?いいよ!別に!」
「何が別にだ?」
「だって…抱きたくもないのに…」
「誰がそんな事言った!?」
「だって!全然してくんない!」
はぁ、と洸生は溜息を吐いた。
「抱いたらお前身体がツラいだろう。ウォーキングの練習とか」
「そんなの我慢する」
「我慢してまでする事か?それにシーナの事も気にしすぎだ」
「…するに決まってる…。洸生さんが好きな人だ」
「好き~?気に入ってはいるがお前が思っているようなものではない」
「嘘だ!振られたって言った!…それに…一番初めに…シーナって言った…」
…ずっと遼はそれを気にしているのか?
「それにキスマークも…」
どうやら全部一番初めがまずかったらしいことに洸生は苦笑した。
「…まさか一番初めの時にまさか遼とこんな風になるとは思ってもいなかったからな」
シーナに本気になってみればと言われた事を思い出す。
本気?そんなの分からない。
でも…。
「シーナは火事で住んでいたアパートをなくした」
「え?」
「その時に厄介になったヤローが今シーナの嫉妬深い恋人だ。………俺は何年か前に一度シーナと酔っ払って寝た事がある。一度きりの関係のはずと思っていた相手だった。そしてその後シーナがウチの会社に入社してきたんだが、寝てない。火事で住むところなくしたと聞いた時だってここに入れようとは思いもしなかった。持っているマンションの一部屋でも貸してやるとは言ったが。キスマークは…悪い。それは少し前に一回つけた。逃げられたけど」
むぅっと遼が面白くなさそうな顔をする。
「俺のプライヴェートなんてシーナは何一つ知らないけど?」
「だって……俺は…高校生だって、…警察に…って、脅したから…」
「はっ!そんなの。どうって事ない。初めはちっとはどきりとはしたが。……お前は自分から俺の所に来たんだ。金目的かと思ったが…」
「違うっ!」
「分かっている。眠りこけてる俺のものも何一つ手をつけなかったしな。ああ、名刺だけか?」
「…だって…どこの誰か…分からなかったら困る」
「何で困る?」
「そんなの…カッコイイし!助けてくれたし……」
「…忘れられなくて?」
「…………イく時に他の人の名前を呼ぶヤツだったのに…忘れられなくて…」
「それで名刺からわざわざ会社に来た」
「だってずっと頭から離れなくて…高校生だなんて言ったら相手なんかしてもらえない。名刺には今人気のブランドの社長って書いてあるし、どうしようって…」
「それで脅し?」
くっと洸生が笑った。
「……マンションにも入れてもらって嬉しかったのに…シーナさんいるし…]
「シーナはいない!…ったく!ここに入れたのはお前だけだ。俺のテリトリー、行きつけの食事の場所もお前だけだ。二度以上寝たのもお前だけだ」
「え…?」
「ああ、ゴムつけないで中に出したのはお前が初めてだ」
かぁっと遼が真っ赤になっている。
……コレは可愛い。
「…さっきお前が男に腕を掴まれていた時は殴ってやろうかと思った」
「え?」
「さすがに店だったから抑えたけど。もし外だったら間違いなく殴り倒していた」
「嫌……だった…?」
「決まっている。おまけにお前は他の男を探しにいくと宣言するし?」
「……他の男となんて…できない、よ…」
「なんだ?あれは嘘か?」
「……………したことないし」
「は?」
遼の告白に目が点になった。
「何!?した事ない!?」
「ないよっ!男も女も…」
「ヴァージンで童貞だったのか!?」
「そんな大きな声でいう事じゃないだろ!」
「じゃあなんだ!?あの一番初めに誘ってきたのは!!」
「なんだ、って…だって!…洸生さん…かっこよかったんだ……誰も知らんふりで通り過ぎてくだけだったのに…颯爽と来て…助けてくれて…モデルか芸能人かってくらいカッコよくて…実際モデルだったけど」
「今は違う」
「そうだけど…」
「……………初めて…?」
遼をじっと見ながら自分のしたことを思い出す。
「………嘘だろ…」
「何が?」
「なんで言わない!?」
「言ったらやめたでしょ!?」
「当たり前だ!」
「だから言わなかったんじゃないか!」
「なんで!」
「好きになっちゃったからに決まってるだろ!」
好き?
洸生は頭を捻った。
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