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僕の好きな人 5

 結局学校では一言も世那と話す事も視線を合わせる事もなく週末になってしまった。

 母親が離婚したのは譲がまだ小さい頃で父親の事は何一つ譲はおぼえていなかった。
 それからずっと二人だった生活が劇的に変わろうとしていた。
 アパートはあまり物がなく、そして譲の物もベッドとか大きな物は新しいお父さんが揃えてくれていて着替えとか必要なものばかりを詰めて引越し業者に運んでもらった。
 お父さんが車でお迎えに来てくれて母親と譲も一緒に引越し。
 狭いアパート暮らしから立派な一軒家暮らしになるんだ。

 …ナニゲに玉の輿だ。
 なにしろ聞いたら小さいけれども会社の社長さんをやっているらしい。
 母親の仕事の関係で知り合ったらしいけど。
 譲の母親は早くに譲を生んでるのでまだ40にもなっていないし、若い、と息子ながら思う。
 幸せそうな母親によかったな、とも思うけど…。
 お父さんもすごく気を遣ってくれるし、優しいし、かっこいいし、いいんだけど…。

 問題は世那だ。
 すでに兄ではない、と言われて、おまけに視線も合わせてくれない。
 そんなんでうまくいくのだろうか…?
 「譲くん、世那は学校ではどんな感じかな?」
 「え…」
 「かっこいいからもてるでしょう~?」
 「あ、う…んっ。かっこいい…から」

 かっこいいはかっこいい。
 一部の女子が騒いでるって話だけど。
 男子の中でも一匹狼的な世那をかっこいいと憧れてるヤツもけっこういたりするらしい、けど…。
 「譲くんは可愛いからお姉さんとかにもてるかな~」
 きゃはは!と母親がないない!と笑っている。

 …はい。ありませんけどね。
 眼鏡のチビがもてるはずないでしょ。
 会長とか世那みたいなカッコイイ人がもてるんだ。
 別に今更自分がカッコイイ目指すなんて事はないけど。
 そのまま天間の家に着いて荷物を片付ける。
 譲の荷物は譲の部屋に運んでもらった。

 「あんたさっさと片付けちゃいなさいよ~」
 「あ、うん…」
 母親に言われて自分の新しい部屋に。
 隣の世那の部屋のドアは閉まっている。
 いるのかな…?それともいないのかな…?
 気にしながらもガタガタと音をたてながら譲は片付けを始めた。

 …ところが、全然片付かない!
 どうしてもあちこちが気になって新しい箱を開け、出して、また片付け終わらない内に新しい箱に手を出してと、フローリングの広い床の隙間がなくなっていく。
 片付けは苦手なんだ。
 だからあんまり余計な物は出さないようにするし、使った後は必ず元に戻す。
 そうしないともう何もかにもが散らかって大変な事になってしまうから。

 …どうしよう…と、譲が部屋を見渡して途方に暮れる。
 しかもまだダンボール箱があるのだ。
 その時ノックの音が聞こえて、ドアを開けに行こうとすると足元の荷物に引っかかって派手に転んだ。
 「…………なにしてんだ……?」
 呆れたような低い声。

 「え、と…あの……うるさくて…ごめんな、さい……」
 ガタガタとかなりうるさかったのは自覚していた。
 片付ける最中にもあっちにぶつかったり、転んだり。
 「いや、それは別にいいけど………。……片付いてる、のか…?」
 う……、と譲が言葉に詰まる。
 はぁ、と世那がまた呆れたため息だ。

 「…手伝ってやる」
 「え!?あっ!…で、でもっ!」
 「お前来てからすでに2時間経ってる。それでコレじゃ片付くはずねぇだろ。ほら、始めるぞ」
 世那が自分の足元に散らばっている譲の物を屈みながら手に取った。
 「これは?どこ置く?」
 「え、えと…机…?」
 「衣類はまとめてクローゼットにとりあえずぶっこめろ」
 わたわたと譲は言われた通りに動き始める。

 「あ、それケースが別の箱に…」
 世那の手に持った物を見て別の箱を開けようとした。
 「開けるな。どうせ後で出てくんだから。お前は目の前の事してろ」
 「あ……は、い…」
 世那の口調は怒ってはいないみたい。
 でもきっとイライラはしてるかも…。

 表情をちらっと見るけどいつもと同じようにむっとしたような顔だ。いつも変わらないから譲には怒っているのかいないのか分からないけれど、口調は呆れていても怒ってはいなさそうなのにほっとしてしまう。
 でもなんでこんなにトロくさいかな…と自分が嫌になってくる。
 てきぱきと世那が来てくれた途端に見る見る床が見えてきた。
 ホント…譲は自分で何も出来ないんだ…と自己嫌悪に陥ってしまう。
 
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続きに拍手コメお返事です^^
mm3様
 ビクビクされますね^^;
 臆病な小動物なので(笑)
 男前にするつもりだったのに~(><)
 なぜか崩れちゃう…(--;)
 やっぱただのバカップルかな…^^;
 いつもの事ですけど(笑)
 ありがとうございます~^^

tsr様
 はい、名前呼びでした^^
 最初から同居はシチュ考えなくていいので
 楽チンです(笑)
 ついたーも見ていただけてありがとうございます////
 自分で自分とこのはホントに描かないんですけどね^^;
 可愛い、綺麗ありがとうございます~…
 恥かしい…(><)
 今日もお目覚めすっきりでしょうか~?(^m^)
 いつもありがとうございます~^^
 あ、好きもありがとうございます////
 寒いですね~!体調にはお気をつけ下さいね~(><)

kin様
 鼻水が鼻血に…(笑)
 そして私一人の身体じゃないのですか!(笑)
 早め早めは好きな事だけね~(^m^)
 リアではいつもギリです^^;
 切羽詰らないと動けない(--;)
 ありがとうございます~^^

okw様
 お父さんとお母さんはあとしばらく帰ってきません~(笑)
 同居はいいのですが、親を追い出すのが面倒~でした^^;
 ありがとうございます~^^ 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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