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僕の好きな人 8

 道順を教わりながら一緒に世那と並んで駅まで行った。するとやはりちらちらと西高の生徒の姿がある。
 それでもまだ早い時間でまだ真面目そうな感じの生徒ばかりのようなのでほっとする。
 「帰り、昇降口近くで待ってる…ああ、携帯聞いておきゃよかったな。帰ってきてからだな」
 すでに電車の中で電車の中は通勤の人で混みあっている。
 「う、ん…」
 背の高い世那は頭が出てるけれど、平均に満たない譲は埋もれている。

 「譲」
 世那が譲の背中に手を回してぐいと身体を引っ張ってくれて手すりに近づけてくれ、その譲を守るように前に立ってくれた。
 はふと少し息がつけて顔を上げれば目の前に世那の顔があった。
 「あ…りがと…」
 いいから掴まってろ、と言わんばかりに世那が顎をしゃくるのに譲は顔を俯けた。
 俯けても混んでいる電車の中で目の前には世那の身体がある。
 胸幅が広い。

 そういえば昨日階段でも抱きかかえられるようにして掴まれたんだったと思い出せば恥ずかしくなってくる。
 きっと小さいとか、ガリ、とか子供みたいだとか思ったに違いない。
 そんな事を一人で悶々と考えていると降りるぞ、と世那の声がした。
 はっとして譲は世那に背中を押されながら電車を降りた。すでに電車の中には同じ制服の姿が見える。時間が早めだからまたいっぱいってほどじゃないけど…。
 降りた後は少し離れて歩く世那にちょっと心細くなった。

 いや、いつも毎日使っていた駅で一人で歩くのだってなんてことないはずなのに…。
 学校の生徒がずらずらと並んで登校している。
 …ああ、だから、だ。
 他の人に知られないように世那が譲から離れたんだ。
 「高橋くん、おはよう」
 「あ!会長っ!お、おはようございま、すっ」

 声をかけられたのは宮下会長で朝から声をかけられて思わず今日はいい日かも、なんて思ってしまう。
 いいけど、会長に気をつけろ、と言っていた世那は…?
 思わずきょろりと周りを見渡すと、すでにはるか先の方を歩いていた。
 家や、学校の駅につくまでは優しい、といっていい位だったのに、学校の近くになった途端に素っ気無くなる。
 見捨てられたように感じてしまうのはどうしてだろう。

 「高橋君?どうかした?」
 会長が譲を覗き込むようにしてきたのに譲は慌てて後ろに飛びのいた。
 綺麗な顔が目の前って!心臓に悪い!
 「な、なんでもない、です!」
 「そう?先週はご苦労様。あとしばらくは会議とか委員会になると思うけど。学園祭もあるし忙しくなるからね」
 「は、い。頑張ります」
 わざわざ会長から声をかけられて舞い上がりそうだ。

 「…ところで、今の電車に乗ってた?じゃあ一緒かな」
 「え?そうなんですか?」
 「そう。今度時間と車両合わせようか?」
 「い、い、いえっ!そ、そんなっ!……いいで、す…」
 「何故?」
 だって世那と一緒だから!…とは言えないので…。

 「会長となんて…恐れ多い…です…」
 「大げさだなぁ」
 ぷっと宮下会長が笑っている。
 その間もあちこちから挨拶の声が会長にかかっているのに、譲はいたたまれない。
 自分みたいなのが会長と一緒にいるなんて。
 やっぱり生徒会なんて場違いな所に入るんじゃなかったかも…。
 会長は少し茶色かかった髪も長い足も綺麗な整った顔も譲にはないもので思わず見惚れそうになってしまう。
 世那もかっこいいけど、会長はまた世那とは違うかっこよさだ。

 会長は優しそうだもんな。
 世那はぱっと見は怖いから…。睨まれているようにも感じてしまうし。
 でも今はそうは思わなくなった。
 世那は優しい。
 見た目は優しそうではないけれど、でも優しいんだ。
 先を歩く世那の背中を視線で追ってしまう。
 そういえば、時間が世那のいつも登校する時間より早い。

 先週はずっと予鈴ぎりぎりに登校だったのに…。
 譲に合わせてくれたんだ。いつも早く出てた譲の為ときっと時間が遅いと西高生が多くなるから…だ。多分…。
 思わず譲は顔を俯けた。
 「高橋くん?どうかした?」
 「あ!いいえっ!なんでもない、です」
 「そう?」
 会長がにっこりと笑って譲るを見ていたのにぽうっとなってしまう。

 「高橋くん」
 「はい」
 「眼鏡、やめてコンタクトとかしないの?」
 「ええと…コンタクト目に入れるのって…怖くないですか?」
 「は?」
 「だ、だ…だって」
 かぁっと子供っぽい事言ってしまった!と恥ずかしくなる。

 すると会長が声をたてて笑った。
 「怖いね!確かに!ははっ」
 「す、す、…すみません…」
 アホな事言ってしまった…。
 なんか今日は朝から世那と会長に動揺しまくりな日だ。

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続きに拍手コメお返事です^^
 
mm3様
 すっかり保護者でした(笑)
 勿論!格上げないと~話にならないです~(^m^)
 苦労しそうですか~?^^
 ありがとうございます~^^

SR様
 オトナっぽいですけど(今は 笑)
 おどおどした生き物にそりゃ世話やきたくなります~
 顔崩れ…あとは崩れまくり…^^;かな…どうだったっけ?^^;
 お似合いありがとうございます~////
 あ、シリーズ化ないです^^
 本編で終了でした~^^
 ありがとうございます~^^

tsr様
 身体拝み放題でした(^m^)
 保護欲刺激まくりですね~♪
 守ってやらないと~(笑)
 今日も寒いですぅ~(><)
 お気遣いありがとうございます~
 午後も頑張ってくださいね~^^b

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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