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僕の好きな人 9

 「じゃあな~」
 「また明日」
 挨拶をして教室を出る。
 世那は待っていてくれるのかな…。
 なんとなくうきうきとした気分で昇降口まで降りていくと、途中の廊下で世那が壁に寄りかかっていた。

 あ、いた!

 目が合って譲が口を開け声を出そうとしたら世那がすっと2年の下駄箱の方に行ってしまう。
 あ…声はかけるな、って事か…。
 自分みたいのなんかが世那の義理の弟になりましたと言われても世那はきっと嫌なのだろう。
 しゅんとしたまま譲も靴を替えて学校を出る。
 世那は…と後ろを振り返ると譲からちょっと離れて後ろを歩いていた。
 下校の生徒も多いし全然不審な所なんてないだろう。

 でも一緒の家に帰るのに…。
 最初は、譲だって話しかけられても困る、と思っていたはずなのに。
 とぼとぼと歩いて駅に向かうけれど後ろがどうしても気になってしまう。
 駅のホームで譲が並んだその後ろの2、3人後ろに世那が並んで電車を待っていた。
 「あれ高橋ってこっち?反対じゃなかったっけ?」
 「あ、うん。ちょっとウチ引っ越して」

 同じクラスのヤツがいたのでこれじゃ世那と近付けない。でもわりとすぐにじゃあまた明日、と電車から降りて行ったのでほっとしてしまう。
 次々と駅で同じ学校の生徒が降りていって少なくなってくるとほっとしてしまった。
 これなら世那に近づいてもいい?

 同じ車両にもう同じ学校の生徒はいなかった。
 でも世那はそのまま譲から離れている。
 やっぱ嫌なのかな…。
 ちょっとマイナスの方に考えが向かって顔を俯けていると何してる、降りるぞ、と世那が声をかけてきたのにはっとすればすでに降りる駅だった。

 世那の後ろを追いかけるように降りると、降りた途端ホームに西高の生徒がたくさんいた。
 朝は見なかったような見るからに髪を染めてたり、ピアスしたり、派手でちょっと譲にはついていけないような感じの人も多数。
 うわぁ…と譲は逃げ腰になりそうになる。
 「譲」
 世那の声にほっとして、世那の広い背中のすぐ後ろをついていく。

 「あ、眼鏡ちゃん初めて見る顔だな~。世那、何?その眼鏡ちゃん」
 頭を金髪にしてピアスを2こも3こもつけて女の子の肩に手を回した西高の生徒が声をかけてくると、ちっと世那の舌打ちが聞こえた。
 「うるせぇ。譲」
 来い、と世那が譲の背中に手を回した。
 「いいか、アレは相手にするなよ」
 「……知ってる、の?」
 「ああ。面倒なヤツに見られたな…」

 「メガネちゃ~ん!またね~」
 …ばかにしたような言い方でやな感じ。
 そして世那もはぁ、と溜息だ。
 「お前、…俺と一緒ならとりあえずは大丈夫だと思うけど、一人ではここ利用しない方いい」
 「う…ん…」
 とてもじゃないけど、あの西高の生徒の壁を一人では突破出来ないと思う。
 だって駅の中が西高の生徒で埋め尽くされている。
 世那にくっ付くようにしたまま駅の構内を出てもやっぱり西高の生徒がちらほらといる。

 「世那」
 通りを歩いているとまた西高の制服着た人から声がかかる。
 随分と西高に知り合いが多いらしい。
 「おう」
 アレ?でも今度は世那の態度が普通だ。
 「なに?お前も今帰り?…はいいけど…随分毛色の変わったの連れてるな」

 この人は髪染めたりとかはしてないけど、でも世那と同じ位でかい。
 怖いな、とますます世那に近寄り、世那の袖を掴んだ。
 「譲。こいつは大丈夫、俺のダチだ」
 友達?
 世那の影からそっとお友達を見てみる。
 「……何?世那……そんな趣味あったのかぁ?」

 「あほう。コレ義理の弟になったんだ」
 「ああ!親父さん再婚とか言ってたやつのか!」
 「そう。譲、コイツは大原だ。家も近所だから覚えとけ」
 「譲くん?よろしくね」
 ぺこんと小さく世那の影から頭を下げる。
 「メガネちゃんミニマムで可愛いね」

 「うるせぇぞ」
 「……アレ?」
 大原と世那から紹介された人が頭を傾げた。
 「……ま、いいや。でも…世那、ソレ気をつけないと」
 大原という人が譲を見ながら苦笑する。
 「わかってる」
 「…だろうけど~。カモにされちゃいそ」

 うわ~~~~…やっぱ怖い。
 譲はぎゅっと世那の袖を掴んでる手に力を入れた。
 どうなっちゃうんだろう?と、すごく前途多難な気がしてくる。
 「大丈夫だ」
 譲の不安を感じ取ったのか世那が小さい声で譲に向かって言ってくれて、譲は小さくこくんと頷いた。
 学校近くじゃないと世那が近い。
 それに優しいし、ちゃんと見てくれている。
 それが嬉しくて思わず世那の影に隠れるようにしながら譲ははにかんだ笑みを浮べた。

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続きに拍手コメお返事です~^^
 
tnt様
 そうなんです~!何もしなくても同じ屋根の下~♪(笑)
 会長の裏ですか?(笑)
 本当は悪いヤツにしようとしたんですけど!
 ならなかった…^^;どうも悪人が書けません(笑)
 困ったなぁ~^^;
 ありがとうございます~^^

hrk様
 世那の方でした~^^
 無口攻めキャラ私が好きなんだけど…
 どうしても進んでいくとおしゃべりになるぅ~(><)
 これも困ったものです^^;
 会長腹黒…かな?ってほどでもないかな???^^;
 磁石のは合う合わないあるみたいですからね~…(--;)
 私は今の所大丈夫そうだけど~^^
 hrkさんもお子様も落ち着いたみたいでよかったです♪
 お気遣いもありがとうございます~^^

tsr様
 みに●●サイズ…可愛い////私はデカサイズなので^^;
 高いヒール履くと男性平均超えるかな…(--;)
 思い出してドキドキ…ありがとうございます~!
 コメ見て私も悶えそうに…wwww
 会長お邪魔キャラですね~!でも社長と違って残念ではないんだな…^^;
 なぜだろう?(笑)
 ついたーも分かりましたか?////
 褒められるとつい調子ぶっこくので^^;
 ありがとうございます~^^
 喜んでいただけるとものすご~く嬉しいです(^m^)

mm3様
 要注意人物が小動物にwwww
 危険ですね~(笑)
 勿論!眼鏡とったらカワイコです♪(笑)
 本人だけ(見えないので)分からずですwwww
 ありがとうございます~^^

U様
 可愛いありがとうございます~^^
 あ~~~…私のは置いといてください~(><)
 恥かしい////
 そうそう!優しいんだけど、なにしろ小動物なので
 ビビります(笑)
 でも勿論喰われちゃいます~wwww
 ありがとうございます~^^

S様
 三角はちょっと続くかな~(笑)
 微妙な感じで…^^取り合いはじめるかな…(^m^)
 あちらは…
 本当に困ったもんです…(--;)
 やぁね…↓
 ありがとうございます~^^

 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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