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僕の好きな人 10

 世那の友達と別れて家に世那と一緒に帰ってきた。
 …一軒家に憧れていた譲は一軒家というだけでも帰ってくるのが楽しみで仕方がない。
 アパートとは比べられない広い家に、それに用意してもらった部屋も広いしおしゃれだ。
 …自分には似合いそうもないのはわかっているけど。 
 部屋の中は世那のおかげですっきり片付き、でもまだなんとなく落ち着かないが、自分の見慣れたものがあるので少しは自分の部屋と認識できる。
 さらに帰ってくれば世那と二人だけど、今ではそれも安心出来る。

 譲は着替えを済ませるとキッチンに向かって冷蔵庫の中身を確認して何作ろうかな、とメニューを考える。
 それはいつもの事で、母親と二人で母親から色々と小さい頃から教わり、家事はマスターしている。…はず。
 小さい頃は母親に誉められるのが嬉しくて。
 …今思えば母親は自分が楽したいから譲に仕込んだのだろうとは思うけど、別に譲も動くのは嫌いじゃないからいいのだ。

 「譲、ご馳走様」
 世那も着替えを済ませて弁当箱を手に持ってきた。
 味は大丈夫だったのだろうか…?
 聞きたい気もしたけれど世那がそれ以上何も言わないので自分からどうだった?とはなかなか聞けない。
 「あ、の…キライな食べ物って…あり、…ある?」
 ありますか、と聞こうとして言いなおす。
 「普通のだったら別にない」

 普通じゃないのってなんだろう?
 思わず首を傾げてしまう。
 「生牡蠣とかは苦手だ」
 譲の疑問に世那が答えてくれる。
 いいけど、世那はキッチンからよける気がないらしく、譲の背中に張り付くようにしているのに不思議に思う。
 キッチンは広いから別にいいんだけど…。

 「あの…何か…?」
 「え?ああ……なんとなく不安で…」
 不安?
 「譲が何かすんじゃないかと思って…」
 「……しないです。多分」
 どこまで信用がないのか、ちょっとムッとしてしまう。
 ここの家に来てからの譲を見ていたらそう思われても仕方ないのかもしれないけど!

 小さく溜息を吐いて、世那を気にしないようにしながら下準備を始めた。
 まだどこに何があるのか分からず色々とあちこち見ながら作業。
 鍋を探して吊り棚に入っているのを見つけたが譲では届きそうにない。
 「どれ?」
 悩んでいるとすかさず世那が声をかけてくれた。
 「あれ。両手鍋…」
 譲の脇に立って世那がひょいと取ってくれた。

 「…ありがと…」
 身長がそりゃあ譲と違いすぎるからそれも当然だ。
 「何かあったらすぐ言え」
 「……は、い…うん」
 言い直すと世那が小さく頷いて大丈夫だと思ったのかキッチンから出て行った。

 家と家の近くの駅からは世那はずっと譲についてきてくれて優しいのに…。
 そりゃ学校で譲みたいなのが弟になったなんて知れたら世那は恥ずかしいだろうけど…。
 そのギャップが大きすぎる。
 世那が会長に気をつけろ、と言われた事が気になって仕方ない。
 どういう意味だったんだろう…?
 でも別に会長とは生徒会で一緒だから話をちょっとする位で個人的に何を話するわけでもないしいいか、とわざわざ聞かなくていいだろうと自分の中で納得させた。

 ご飯の下準備を終えて時計を見ると夕方6時。ご飯何時がいいのかな…?
 世那はリビングのソファに横になってテレビを見ていた。
 「あの…」
 もう怖くはないけど…話しかけるのはどうしたって身構えてはしまう。
 「ああ?」
 「ご飯…何時がいい…?」
 「何時でも」
 「…7時…でも、いい?」
 「ああ」

 世那が頷いたのにほっとして今度はお風呂場にいって風呂の掃除。あとは明日ゴミの日って言ってたからゴミをまとめて…。
 明日の予習はご飯の後でも大丈夫だな。
 そんな事を考えながら風呂を洗っていたら世那が来た。
 「おい!」
 「は、はいっ」
 思わずびくっとしてしまった。だって声がちょっと大きかった。

 そんな譲を見てはぁ、とまた世那が溜息を吐き出している。
 なんでそんなに呆れたように溜息ばっか吐くんだろう…?
 なんか気に食わないとこあったのかな…?
 「あのな、別にお前が全部しなきゃないわけでもないだろう?風呂洗う位だったら俺でも出来る」
 「……え?」
 「え?じゃなくて」
 「あ、の…いい、です。俺…今までだって、してた、し…」
 「譲」

 名前を呼ばれてびくっと身体を竦ませるとまた溜息。
 「とにかく、明日からは風呂洗うのは俺がする。いいな?」
 「……は、い」
 強く言われちゃったら頷くしかないけど…。
 なんでいっつも怖い顔してるのかな…。あのちょっと柔らかくなった表情だったらいいのに…。
 睨まれるように言われちゃうと譲はどうしたって世那の事が怖いのではないけど反射的に小さくなってしまう。
 
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続きに拍手コメお返事です~^^
S様
 群れのおかげで可愛くくっつけます(笑)
 見た目で違和感なし^^
 ふふふ…ありがとうございます~^^

tsr様
 早いですね~(><)
 譲、キョドってたら目立ちますね~!
 制服違うだけでも目立つので~^^;
 娘さん~!すご~い!
 今頃は真っ最中でがんばっているでしょう~(><)
 幸運な娘さんはきっと大丈夫ですね~~~!すごい…^^
 声援を心の中で送りつつ…ありがとうございます~^^

mm3様
 家の近辺は危険地帯です~(><)
 世那いない時はアブナイですね~…
 それより世那の方がハラハラかな…^^;
 ありがとうございます~^^

SR様
 悶え…ありがとうございます~^^
 がぶ、っといきたくなりますねぇ~(笑)
 守ってもらえるのが羨ましいの分かります!
 私も長女で^^;
 友達には鉄の線が通ってる、とまで言われました…^^;
 どんだけ~…(--;)
 子ウサギなりたい気持ちよく分かります~!
 でもなれない…^^;
 がんばりましょうね(T^T)
 ありがとうございます~^^ 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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