はのんのBL部屋

　朝も思ったけど、ダイニングで世那と並んでご飯ってのがなんとなくおかしい。
　お母さんと、世那のお父さんがいれば普通に家族っぽいのに、二人だけだったらじゃあ何？って感じだ。
　だってちょっと前までは本当に赤の他人で学校で顔を見る位だけの人だったのに今は義理の兄弟のはず…。でも兄じゃないって言われたけど…。

　…なんかすごいそこに拘ってる気がする。兄弟なんて存在が初めてだったからだ。そりゃ世那だって譲みたいなのが急に兄弟って言われても困るだけだろうけど…。
　譲がもっとちゃんとしてたら世那も恥ずかしいとか思わないで兄弟になった、とか言えるんだろうか…？
　「おい？」
　「え？あ、な、何？」
　「さっきからずっとそのままだけど？食わねぇの？」
　「え？あ、た、食べま、す」

　すでに世那は食べ終わっていて、それなのに譲はまだ半分以上も残っている。ぼうっとして動きも止めて考え事してたらしい。
　譲は慌てて箸をつけた。
　「別に急がなくたっていいだろ」
　くっと世那が笑ったのにうわぁ～っと思わず見惚れ、そして譲も嬉しくなって笑った。
　「…うん」
　世那が驚いた顔してたのにどうしたのかな？と首を傾げると今度はふっと表情を緩めて背中をぽんと軽く叩かれた。

　心臓がどきんと跳ね上がる。
　すぐに世那の手が離れたのでほっとしたけど…。
　世那は食べ終わっているのに隣に座ったままで、顔だけをテレビの方に向けている。
　リビングに行って見ればいいのに、と思ったけど、余計な事は言わないにこしたことはないだろう。
　急がなくていい、と世那に言われたのでゆっくりと食べ終え、箸を置いて空になった皿を重ねると、世那が自分の分の皿を持って立ち上がった。

　「ごっそさん。朝も思ったけど…お前料理は普通に出来るんだな…」
　「う、うん…」
　よっぽど出来ないクンだと思われてた、のかな…？
　…確かに片付けとかは苦手だけど、使った分だけ戻す位なら出来るんだけどな。
　でも世那に迷惑かけたのは事実なので何も言えない。

　「うまかった。弁当も」
　え？本当に？
　誉められたのなんて久しぶりでかぁっと顔が熱くなって照れくさくなってくる。
　「よ、よ…よか…った…デス…」
　…嬉しい！
　料理を覚え始めの頃はお母さんもよく誉めてくれたけど、普通になってからは譲も作るのが普通になってたので、何も言われなくともなんとも思っていなかったけど、誉められるのが嬉しい。

　うわぁ、と熱くなった頬を手で押さえながら思わず笑顔になってしまう。
　「譲？」
　「え？あ、何？」
　世那に呼ばれて顔を上げるけどまだ顔が赤いと思う。それに嬉しくてどうしても顔が緩んでしまう。
　「…………しまらねぇ顔」
　ぷっと笑われた。
　だって！…嬉しいんだもん！

　あ……それにもしかして世那は譲が食べ終わるを待ってくれていたのだろうか…？
　今まで母親と二人で、母親が仕事で遅いときなんかは一人で食べるのが普通だったけど、一人じゃないんだ。
　食べ終わったのにわざわざ片付けもしないで隣に座っててくれた、ってそういう事だよね？
　譲も立ち上がって皿を持って片付ける。
　「あ、あ、の…」
　「ああ？」
　「…ありがとう…ござい、ます」

　「…………何が？」
　「色々…朝も道教えて貰ったし、帰りも…。おいしいも嬉しいし…俺、食べ終わるの待っててくれたのも…」
　「…………ああ」
　小さく世那が口角を上げたのにまた譲は嬉しくなる。
　嬉しくて気持ちがほわんほわんしてくる。
　手伝うという世那の背中を大丈夫！と押してキッチンから出し、ささっと皿を片付けて明日のご飯もセットする。
　冷蔵庫には色々食材が入っててしばらくは間に合いそうだ。

　世那の言葉が嬉しくてなんかもう気分はスキップしたい感じ。
　世那が喧嘩とかカツアゲとかしてるって嘘かな？
　だって全然そんな感じじゃない。
　西高生の前でもどちらかといえば、西高の生徒が世那に絡んできている感じだった。
　噂なんて誇張されて言われるけど…。

　……会長が気をつけて、って言ってたけど…。
　でも、今は全然世那はそんなんじゃなかった、って思う。だって、ずっと優しいんだ。
　それに勝手に譲がびくびくしてただけで、世那は怒ったり、声を荒たげる事も全然ない。
　会長の言葉よりも自分の見た世那の方がずっと信じられる。
　宮下会長もきっと世那の事を誤解してるのに違いない。
　でも世那も会長に気をつけろ、と言っていた。世那も何か会長の事誤解してるのかな？

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続きに拍手コメお返事です^^

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