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僕の好きな人 12

 部屋に行ってるね、とリビングの世那と離れで自分の部屋に。
 もう世那と一緒にいるのが三日目だけどまだなんとなく慣れない。
 それにお父さんが用意してくれたお洒落なフローリングにクローゼットに机にベッド、なんて部屋も譲には似合わない気がする。
 それでも憧れた生活って感じでやっぱり嬉しい。

 「勉強、勉強…」
 譲はそんなに頭がいい訳ではないのでちゃんと予習復習しないと頭の中に入ってこない。
 生徒会なんてしてるんだからせめて今の成績を落としてはいけないだろう。
 机に向かって最初は英語。英語を終えて、今度は数学の教科書とノートを広げる。
 今日やった所の復習。うん、大丈夫、かな?

 あれ…?
 答えが違う…。なんで???
 「う~~~ん…?」
 「譲っ」
 「う、あっ!はいっ!」
 びくっとして体が跳ね上がった。いつの間にか世那が部屋に入ってきてたのに全然気付いてなかった。

 「……何度か声かけたんだけど?」
 「あ!ごめんなさいっ!……っ!」
 世那は腰にバスタオル姿で半分髪が濡れたままだった。
 「シャワーでいいだろ?先に浴びちまったけど」
 「あ、う…はいっ」
 「お前も後適当に行けよ?…何?数学?」
 「あ、う、ん……答えが…合わなくて…」

 譲の手元を世那が覗き込んできた。
 その横顔を思わずじっと見てしまう。鼻高い!彫り深い!
 彫り深いから眉顰めると怖い顔に見えるのかな?
 前見た時も思ったけど、腕とかなんでこんなに筋肉あるんだろ?
 …かっこいい。……いいけど裸…だ…。
 一人で照れてかぁっと顔を赤くしてると世那がとんとんとノートを指で叩いた。

 「……ここ、途中でxが消えてる」
 「え?」
 世那が指差したところを見ると確かにxが消えてる。
 「そりゃ答え合わねぇだろ」
 くっと笑って世那が譲の部屋を出て行った。
 う~~~…再々ぽろっとあちこち取りこぼしするのが得意だから気をつけているのに…。
 それにも気付けないんだからがっくりしてしまう。

 ホントなんでこう自分はあちこち抜けてるんだろ…。
 はぁ、と溜息を吐き出して譲はお風呂の用意を持って一階に行った。
 脱衣所で服脱いで、洗濯機回してからシャワーに。
 風呂場の鏡で自分の体見て、今見た世那の腕を思い出しながら自分の腕にぐっと力入れて曲げてみた。
 ……棒切れのような腕。
 はぁとまた溜息が出る。

 世那みたいだったら西高のあんな集団の前でも何でもないのに。
 譲みたいなへなちょこはあの世那の友達も言ってたようにカモにされちゃうんだ。
 だって絡まれたって対抗も出来ないし、運動も得意じゃないから走って逃げる事だって出来ない。
 毎日ずっと世那に迷惑かける事になっちゃう…。
 どうにかなんないのかな…?

 何もない日ならいいけど、生徒会の集まりとかある日だったら、遅くなっちゃうし、世那を待たせるのも悪い。
 でも何もいい案なんか浮かばない。
 なんでよりによって西高の近くなんだろう…。
 お父さんも世那もお家もなんも文句ないけど、そこだけはちょっと譲にはキツイ。
 今から世那みたいに、なんてなれるはずもないし…。
 はぁ、と溜息を吐き出しながらシャワーを終えた。

 風呂から上がると丁度世那が二階から降りてきて冷蔵庫を開けていた。
 「おう、下電気消すか?」
 「あ、うん…はい……え!な、何飲んでるの!?」
 「ビール。たまにオヤジのいただいてる。………譲は飲んだ事ない?」
 「ない!」
 「飲んでみるか?ああ、でもちょっとだけだぞ?絶対お前酒弱そうだ…」

 いいのかな?
 世那から受け取ってちょっとだけ飲んでみた。
 「にが……」 
 べっと舌を出す。
 「でも、もちょっと」
 「おい?もういいだろ?」
 ビールをおいしいって思えたら少しオトナになった感じがするかな?

 こくこく、っと二口ほど飲んでみて、世那にビールを返した。
 「……大丈夫か?」
 「……やっぱ苦いよ?」
 「まぁ、甘くはないな……譲?…顔…真っ赤になってるけど…?」
 「え?何が?」
 体がぽわんとしてきた。
 それになんか…。

 「みんな…回ってる…よ…?」
 「おい…マジかよ?たった二口三口だぞ。……譲?」
 世那の焦った顔が見えた。
 何そんなに焦ってるんだろう?全然大丈夫なのに。
 「譲っ」
 あれ?世那の顔が近~い!
 いいなぁ~…世那みたいな背格好だったらきっと何も怖くないのに。

 「譲…?大丈夫…か?」
 「大丈夫?…なにがぁ~?」
 「…………」
 いいけど身体がくたくたして力が入らない。あれ?ぐんと視界が高くなった?世那が近い!
 「お姫様だっこ?」 
 「お前軽い」
 「どうせやせっぽっちですぅ」
 くすくすと意味もなく笑ってしまう。

 「………酔っ払いだ。三口で…」
 気分もぽわぽわしてる。 
 今階段上がってる?あ、自分の部屋だ。
 「もう寝ろ」
 「はぁ~い!」
 ぽわぽわといい気分のままベッドに体を下ろされる。
 ずっと心配そうな世那の顔が近かった。
 
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続きに拍手お返事です^^ 
tsr様
 人前だと素っ気無いから~
 余計にべたべたしたくなりますね~(笑)
 娘さんオーラあるんですね~!きっと!
 今日はお仕事ですか~(><)
 午後も頑張ってくださいね~^^/

mm3様
 世那見惚れてました~(^m^)
 可愛い…と思ってたはず(笑)
 そうですね~!とっとともらってやらないと~!
 でももう同居してるのでwwww
 ありがとうございます~^^

SR様
 子ウサギになれませんね~^^;
 私もなれない…どうしてもしっかり!の方が先ですね(笑)
 下の人は甘え上手ですけど、甘えるの苦手です…^^;
 世那と譲、会話も状況もすっかり夫婦ですけどね(笑)
 あ、いつでもお待ちしてますので~^^b
 ありがとうございます~^^

96z様
 初めまして!いらっしゃいませ~!
 電子書籍の方までありがとうございます~m(__)m
 嬉しいです////
 私も年の差好きなもので…(^m^)
 続きも!…ありがとうございます~~////
 続きもあるんですけどね~^^
 書いてはないですけど^^;
 ありがとうございます~~~//// 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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