2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕の好きな人 14

 授業が終わって帰り、昨日と同じように昇降口近くの廊下で世那が待っていてくれたけど、学校では話しかけちゃいけない。
 ……今日は世那に彼女ってのがずっと譲の頭の中をぐるぐるしていた。
 おかげで机に足をぶつけたり、廊下を歩けば人とぶつかったり。
 「あっ…」
 また靴を履き替えるのに段差に躓いて転びそうになった。

 何してんだろう…。
 譲がこんなだから世那はきっと嫌なんだろうに…。
 そうだ、初めに兄貴なんかじゃないって言われたじゃないか。
 でも書類上は義理の兄弟になっているはず。
 でもお母さんがもし離婚したら血が繋がっているわけじゃないからまた赤の他人だ。

 …彼女いるらしいし。
 いや、そこは関係ないでしょ…。

 譲は俯きながらとぼとぼと駅に向かって歩いていた。
 世那、いるのかな…?
 後ろ?
 きょろりと後ろを振り向いたら、前を歩いていた人にぶつかってしまった。
 「ああん?なんだ?」 
 「あ、す、すみません…」
 2年か3年だろう。
 背が譲より大きい二人組だった。
 二人組も話しながらゆっくり歩いていたのだろう。そうじゃなきゃ譲より歩くのが遅いはずないのでぶつかるはずないと思う。

 「よ、余所見しちゃって…」
 「アレ?コイツ生徒会入ってる1年だろ?」
 うわぁ…どうしよう…。
 上から二人に見下ろすようにされて、譲は鞄で顔を隠すようにして小さくなる。
 「…何してんだ?」
 「あ!天間!…いや?別に。……おい、行こうぜ」
 譲に突っかかってきた二人組が慌てて駅の方に走っていった。

 「…お前はさっきから何してんだ?ふらふらして」
 「ご、ごめんなさい…」
 「いい、行くぞ」
 「…はい」
 世那が譲のちょっと先を歩いてくれ、少し距離を空けて譲がついていく。

 世那が助けてくれた…。
 今も世那の足が視界の端に入るのに安心してしまう。
 あれ…?
 譲ははっきり言って歩くのも遅い。そして朝学校近くではすたすたと歩いていく世那は足の長さも違うからなのか、早い。
 でも朝、家を出て駅に向かう時も、今も、世那はすごくゆっくり歩いてくれている。

 なに…?
 ぐわっと譲の顔が熱くなってきた。
 だってきっと世那は譲の為だけにそんな事してくれているんだ。
 世那の心の中ではトロくせぇな、とか思ってるのかもしれないけど、でも世那は譲を急かす事もしない。
 昨日の晩御飯の時も焦らなくていいって言ってくれたし、片付けの時だって早くしろ、とは言わなかった。

 急かされると余計にいっぱいいっぱいになってわたわたになるのに、世那はそんな事言わないから…いつも譲は普通に出来てた。
 ちろ、と世那が時折振り向いてちゃんと譲がいるのか確認してくれる。
 どうしよう…それが嬉しいなんて。
 今は学校に近いから世那とちょっと距離があるけど、下りる駅ではぴったり後ろにくっ付けるんだ。
 西高生の集団は怖くていやだけど、世那と距離が近付けるのは嬉しい……なんて思ってしまう。
 学校の駅では学校の生徒が多数で世那がちょっと離れるんだけど、それが寂しく感じてしまうなんて…。

 「おう、高橋」
 「あ…」
 昨日もいた同じクラスの奴だ。
 なんでもないような事を一緒に話しながら電車に乗る。
 「お前駅どこ?」
 西高利用の駅を告げるとえ?とそいつが驚いたようにした。
 「………お前…大丈夫なの?」
 「何が?」

 「そこ西高多くね?」
 「そうなんだ…怖いけど…」
 でも世那がいてくれるから…。 
 ちらと世那の姿を探す。
 世那は譲に背を向けて窓から外を見ていた。こっち見ないかな…と思ってたらちら、と世那が譲の方に顔を向けた。
 見てくれた!とぱっと譲の顔が笑顔になる。
 世那に気にしてもらえるのが嬉しい。
 お母さんとお父さんが結婚して冴えない譲が必然的にくっ付いていって同居するハメになっただけなのに、世那は優しくしてくれる。

 「…大丈夫そうなんだ?」
 「え?あ、うん。大丈夫」
 「ならいいけど。じゃ、また明日」
 「うん。バイバイ」
 クラスの友達が下りる駅になって手を振って分かれた。
 駅を過ぎるたびに同じ制服の姿は減っていき、譲たちが下りる駅ではもう同じ制服はほとんどいない。きっと西高を避けているんだとは思うけど。

 「譲」
 そしてそうすると世那が譲の傍に来てくれる。
 世那が譲の背中を守るように触ってくれて西高の生徒の山になっている駅に降りた。
 …やっぱり怖くて世那に擦り寄ってしまう。
 「大丈夫だ」
 世那の声が頭の上から聞こえるとほっとして、そして嬉しくて顔を俯けた。
 
----------------
続きに拍手コメお返事です~^^
tsr様
 お酒…私も顔色変わりません^^;
 テンションはあがるけどあんまり変わりませんね~(笑)
 あとは二日酔いしたくないので抑えちゃうし。可愛いは無理^^;
 会長お邪魔でした~^^
 世那はおりこうさんに運んだだけでした(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 コントか?…と思ってたでしょう~(笑)
 Jrは…(笑)うっ…ですね!(大笑)
 米はあとから変えました(笑)
 会長ね~…本当はヤンチャにしようとしたんだけど、
 ならんかった^^;学校でたら…ってするつもりだったのに↓^^;
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 真っ赤になっちゃうと可愛いですよね~! 
 私も変わらないので^^;
 テンションはあがるんですけど、ほぼ普通と変わらずです(笑)
 可愛いありがとうございます~^^

mm3様
 世那はイタズラは必死に我慢だったことでしょう~(笑)
 そして譲は転がって…腕はもちょっと~(^m^)
 ありがとうございます~^^

匿名ちゃん様
 譲の日記…みたいになってます(笑)
 世那っていっぱい心の中では言ってるんですけどね~
 まだちゃんと呼べてない^^
 かわいいもありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク