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僕の好きな人 16

 次の日の登校の時もやっぱり世那は同じように途中でふっと譲から離れた。
 そして代わりに宮下会長が乗ってくると譲の前に立った。
 「おはよう、高橋くん」
 「あ…おはようございます」
 なんで会長と一緒の時間なんだろう?邪魔…と思わず思ってしまったのにアレ?と譲は頭を傾げた。

 「どうしたの?」
 「あ!いえ!なんでもない、ですっ!」
 あわわわと慌てて手を振るとがくんと電車がカーブにさしかかって譲は大きく体勢を崩した。
 「うわっ」
 「おっと…」
 よろけた譲を会長が支えてくれる。
 「あ、すみませんっ」
 「いいえ?」
 くすっと笑われた。

 ………でも、なんか…それほど嬉しくない…。
 世那だったらよかったのに…って思ってしまった。
 以前だったらきっと舞い上がってしまうほど嬉しい事だったはずなのに今は全然…。
 混んでいる電車は満員でカーブで体がよろけてしまったせいで手すりから離れてしまった。
 もぞもぞと人とぶつかる。
 世那がいてくれるときは手すりの所に譲を立たせて、あとは世那が守るようにして立ってくれていたから分からなかったけれど、人とかなり密接している。

 お尻に何か当たっているのにもぞ、と譲が動いた。
 ぴったり後ろに誰か立っているらしい。
 やだな…と思い、ちょっと体をずらそうとするけれど上手くいかない。
 顔を横に向けて後ろをみたけど、背が高いのかスーツ着てる人っていうのしか確認できなかった。
 こんなに混んでるんじゃ人がくっ付いてしまうのも仕方ないけど…。
 でもさっきからずっとお尻の辺りがなんか……触られてる…?

 え?
 ……勘違い?そんな、まさか…だよね?
 心臓が怖くてドキドキしてきた。
 「高橋くん?どうかした?」
 目の前にいた会長が聞いてきたけど小さく首を振る。
 制服着てるし、身長はチビだけど、一応男って分かるよな…?
 でもなんか…電車ががたんと揺れる度に触れる程度だけだったのがなんかずっと触られてる…?

 男なのに?みっともない…。
 でも…、キモチワルイ…。どうしよう…勘違いじゃない…!
 世那…どこにいる…?
 世那って呼んでいいって言われていたけど、まだ名前で呼んだ事はなかった。
 …でも…。

 「せ、な……」
 「高橋くん?」
 怪訝な顔をした宮下会長が譲を見ている。
 分かってる、会長が目の前にいて、きっと言えば助けてくれるかもしれない。でも…。
 「世那……世那…っ!」
 ひくっと声をひくつかせながら世那を呼んだ。
 助けて…。
 声は大きくなかったはず。
 でも人が混みあっているのに無理に世那がすみません、と人をかき分けて譲の傍まで来てくれた。

 「世那…世那……っ」
 「どうした?」
 電車が次の駅に着いてドアが開くと人がどっと降りていく。
 学校の駅まではまだ先で、譲と世那を避ける様に人が流れる。
 「譲?」
 来てくれた世那の制服の胸の辺りを掴んでしがみついた。
 「どうした?」
 なんでもないと譲が顔を伏せたままぶんぶんと首を横に振り、世那の片手が譲の背中を抱きしめてくれたのにほっと安心した。

 「宮下ぁ…何をした…?」
 世那の恐ろしく低い声が響いた。
 「何が?誤解だ。僕は何もしていない」
 「譲…どうしたんだ?宮下か?」
 人がどっと降りたので少し空間に余裕ができて世那が譲の顔を覗きこんだ。
 「え?…会長?」
 「人聞きの悪い」

 なんで会長?
 譲がきょとんとすると違うのか?と世那が眉根を寄せた。
 でもまさか痴漢に遭いましたなんて…男なのに恥ずかしいだろう。
 「宮下」
 「……高橋くんの後ろにいたのはスーツ来たオッサンだった。今の駅で降りた」
 やっ!
 ぎゅうっと世那の胸に顔を押し付けるようにすると世那の譲の背中に回されていた手に力が籠もった。
 「…………なるほど」

 世那の声が怒っているように低い。
 怒ってるの?
 譲が不安に思って世那の胸に縋ったままぱっと顔を上げると世那と目が合った。
 眼鏡の下で顔が泣きそうに歪んでいるのは自分でも分かってたけど…。
 「…大丈夫だ」
 世那がそう声をかけてくれた。
 あ、れ…?怒ってないのか、な…?
 そして譲の背中を安心させるように優しく撫でてくれるのに譲はほっとした。

 「世、那…」 
 「いてやる…大丈夫だ」
 …譲が名前を呼ぶと世那が優しい声で譲の耳元で返事してくれる。
 それだけで安心出来て今あった事なんて嘘のようだ。
 「高橋くん?天間?どういうこと?」
 あれ?
 ……そういえば、まだ電車の中でした。それに目の前に宮下会長がいたんだ。
 そして…。
 こくんと喉を鳴らしながらそっと世那の胸から顔を上げて電車の中を窺った。
 同じ制服を着ている奴もそうじゃない人も皆譲達に注目していた。
  
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続きに拍手コメお返事です~^^
tsr様
 大人はね~!すぐもアリだけど~(^m^)
 親達はまだ~(笑)
 帰ってくると進まないので!
 (私の都合で帰ってきません 笑)
 受け認識はばっちりだと思われます^^b
 今日もお仕事なのですね~!午後もがんばです~^^b
 ありがとうございます~^^

S様
 立派な(?)ナイトwwww
 私に崩されちゃいますね~…崩すつもりなかったのに…(--;)
 親のいぬ間に…(^m^)
 受けの活用形!(笑)
 受けきる!(爆)
 ありがとうございます~^^

MR様
 学校のバス停とか山になってますよね?(笑)
 用心棒!wwww
 きっと睨みきかせているのだろうかと…^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 ナイトでしたね~(^m^)
 わたわた見てる分には可愛いですけど~^^
 私だとイラっとするかも^^;
 でも最近は私がノロノロなので(笑)
 イラっとされるかも~…年々鈍くささが増してるwwww
 ありがとうございます~^^

mm3様
 勘違い~!(笑)
 そして得意の一人ぐるぐる^^b
 なでなでだけじゃダメですかね?(笑)
 ありがとうございます~^^

SR様
 かっこいい、ありがとうございます~////
 かっこいいまんまでいられればいいんだけど…^^;
 勿論、キレても優しくです!^^b
 目がギンギン!(笑)
 今日はお楽しみ~ですね!お天気今日はいくらか暖かいかな?
 楽しんできてくださいね~~~^^/
 私はもうしばらく行ってないな…^^;
 お忙しいのにありがとうございます~^^

96z様
 私もポンやなでなでが好きなので~(^m^)
 どうしても多くなります(笑)
 ふふふ…いくらか距離近くなったでしょうか?^^
 ありがとうございます~^^
  
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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