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僕の好きな人 21

 朝起きたら天気がかなり悪い。
 もう今にも雨が降り出しそうな感じだ。
 「買い物とかいいのか?」
 「え?うん。冷凍庫にも色々入ってるし。お母さんいっぱい買っておいてくれたみたいで大丈夫。野菜はちょっと欲しいかなとも思うけどない、ってほどじゃないから今日じゃなくても大丈夫」
 「…そうか?…午後から雷に暴風に大雨って言ってたぞ」

 まだ降ってはないけど、世那も譲も手には傘を勿論持っている。
 「雷も…」
 やだなぁ…、とちょっと憂鬱になる。
 雷は恐怖ってほどではないけど、小さい頃から一人で家で待ってる事が多かったのでどうしても小さい頃の怖かった思いが払拭されないのだ。
 電車に乗ってそして会長もやっぱり途中で乗ってきた。
 「おはよう高橋くん」
 「…おはようございます」

 こんなどんよりした日でも会長は爽やかだ。
 1年生の時から自ら生徒会長に立候補ってすごいよな…と譲には考えられない事だけど、1年から剣道でインターハイとかにも行っている位だからそれも分かるかな。
 今日は会長が乗ってきても譲の後ろには世那がいてくれた。
 後ろに立っている世那を見上げてふふ、と嬉しくて笑みが零れる。

 「…なんだ?」
 「………ううん?」
 「高橋くん、今日はもしかして授業早く終わるかも、だよ?午後から嵐だそうだから」
 世那を見上げていた譲に会長が話しかけてきて視線を会長に向ける。その会長は世那がいるのに譲だけ見ていた。
 「え?そうですか?」
 「多分ね。今にも降り出しそうだしねぇ…明日には晴れてくれるといいけど」
 「そうですね」

 会長は世那を完全に無視するらしい。
 世那の事を見もしないし。声もかけない。……やっぱりお友達ではないのかな?でもそのわりにはよく知っているような口調だったけど…。
 ついちらちらと会長よりも世那の顔を見てしまう。
 「なんだ?落ち着かないのか?」
 世那が譲の耳元に小さく囁いてきて譲は慌てて頭を横に振った。
 「そうじゃない…。世那いるから平気…」
 顔は見なかったけれどくす、と世那が笑った雰囲気は感じ取った。

 「………なんなの?天間?」
 「何が?」
 今の今まで会長と世那はお互いに無視してたのに急に話し始めた。
 「お前はただの義理の兄弟なんだろ?」
 「ああ?だから?………ああ……ただの義理の兄弟ですけど?」
 ただの、の所を強調して世那が言い、そこに譲は密かにショックを受けてしまう。

 ただの義理の兄弟。勿論そうだけど…。でも兄貴じゃないって譲には言ってるのに。ただの義理の兄弟…。
 何にショックなのか…自分でも分からない。
 ただのじゃない義理の兄弟ってなんだ?
 ……自分でもどこが引っかかってショックなのか、訳分かんなくて頭がくるくるする。
 「お前はただ、生徒会で一緒なだけだろ」

 ん?
 目の前の会長が譲の頭の上の世那を睨んでいる。
 そして世那も。
 「世那ぁ?どうしたの…?」
 どうやら二人が仲良くないというのはよく分かったけれど…。
 「何でもない…。…ほら、お前はちゃんと掴まっていろ」
 がたんと電車がカーブにかかってくらりと譲が体勢を崩しそうになると世那が鞄と傘を持ったままの腕で支えてくれる。 
 「うん…」

 世那がいると気が抜けるのかもしれない。
 なんか前よりさらにぽうっとしている気がする。
 そしてやっぱりこんなほんのちょっとが嬉しくて、ドキドキして会長の存在を忘れてしまって世那ばかりに意識が向いてしまう。会長を好きなんだと思ってたけど、…譲がなりたいなと思っていた存在としての憧れだったんだと思う。

 会長に話しかけられても緊張してドキドキしてた。でも世那の時のように心臓を掴まれるように苦しくなる事はなかった。ただ幸せに舞い上がってただけだった。
 彼女もきっといるんだ、と普通にそう思ってた。
 でも世那の時は違う。
 優しくされて嬉しいけど、苦しい。
 彼女いるらしいって聞いた時は気分はもう真っ暗だった。
 会長にはすぐ確かめられたのに世那には怖くて未だに聞けない。
 いる、って答えられるのが嫌だから。

 幸い、譲と一緒にいる時に世那に女の人から電話がかかって来た事も世那からかけている様子も今の所見た事はなかったけど…。
 世那が自分の部屋に入ってからは知らない。
 そういえば譲はまだ世那の部屋を見てもいなかった。
 いっつも来るのは世那ばっかりだ。
 ……だって用事もないのに行けないし…。
 世那の部屋ってどんななのかな…?
 なんか急に興味が出てきた。
 あ、問題で分からないとこあるから教えて、とかって言ったら部屋に入れてくれるかな…?

 「譲?何してる?着いたぞ?」
 「え!?あっ…」
 わたわたとしそうになると世那が腕で譲の体を押さえた。
 「慌てるな」
 「………うん」
 慌てるとドジふむの…世那は知ってる?
 世那を見上げると降りるぞ、と世那がくすと口端を緩めた。

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続きに拍手コメお返事です~^^ 
 
tsr様
 昨日はお仕事頑張ったですか~?(><)
 お昼うp分に頑張って入れたかったのですが、
 ネットが繋がらなくて↓
 スマホからうpだったので入れられませんでした…(T-T)
 ぐるぐる譲くん(笑)
 あれ?そういやこの子あんま泣いてないかも^^;
 そのうち啼かせられますけどwwww
 ありがとうございます~^^

nc様
 ですよね?cかな?kかな?って^^;
 はい、大丈夫です~^^
 日々凹む事が多いですね~^^;
 チキンなもので…www
 いつでも去るのは簡単なんですけど。
 でもncさんみたいに言っていただけると
 やっぱり書こうかな、とも思います~^^
 ありがたいです(T^T)
 嬉しいお言葉ありがとうございます~m(__)m

S様
 気付きました~^^
 男受けいいでしょうね~!こういうの!男って好きですよね!
 女の演技にもころっと騙されるし(--;)ばっかじゃねぇのぉ~って(笑)
 私も同じくイライラキーーーですよ^^;
 男ならしゃんとしろ!!!って…喝入れる…wwww
 見習って……無理無理…^^;(私は)
 寒気走りますwwww
 ありがとうございます~^^
 もし見習ったら報告お願いします(笑)

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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