はのんのBL部屋

　落ち着かない気分のままご飯も食べて、いつもだったらその後自分の部屋に行っちゃうんだけど、一人もやだな、と今日は世那とリビングに一緒にいてテレビを見てた。
　風はますます強くなってきて窓や家が揺れるような感じがする。
　おまけに雷までも鳴ってきた。
　やだなぁ、と世那にすりよって世那の服の裾を掴んでいた。

　「………お前雷こえぇの？」
　「…ってほどでもないけど。好きでもない」
　「もう寝たら？寝て起きれば朝になってるだろ」
　「………そうかも」
　でも世那と離れたくもないなぁ…。
　…そう思ってるのはきっと譲だけで世那は譲の事が邪魔なのかもしれないけど…。
　「…じゃ、寝よっかな」
　譲が小さく言うと世那がテレビを消して立ち上がった。

　「え？いいよ？見てて」
　「自分の部屋行って見るからいい」
　……世那は譲のためにわざわざ付き合ってくれてたのだろうか？
　ゴロゴロと大きめの音がして思わず世那の背中にしがみつく。
　「ほら」
　苦笑しながら譲の手を掴んで、一階の電気を消して二階に上がった。
　「ホントに大丈夫かぁ？」
　くくっと笑いながら世那に言われるけどなんかダメかも、とも思う。

　今までは母親いなければ一人だったししっかりしなきゃ、と思ってた所があったけど、なんか今は全部世那に頼ってしまいたくなってるから…臆病な所が強くなってる気がしてならない。
　だっていつでもなんでも世那が助けてくれるから…。
　いやいや、世那に迷惑でしょ…。

　「だいじょぶ、です」
　…多分。
　「おやすみなさい」
　部屋の前で別れてそれぞれ自分の部屋へ。
　ベッドに入って、さっきの女子が貸してくれた本をちょっと開いて見てみた。
　本当に…こんな事するの…？
　ええ～……？
　頭の中で世那と自分に置き換えてしまう。
　でもビジュアル的に自分では釣り合わない…。

　本を閉じてちょっと熱を持ってしまった身体を気にしないようにしながら目を閉じた。
　電気消したら怖そうなので消さないまま。
　「ひゃ…」
　雷がますます近くなってきてやっぱりもちょっと世那といた方よかったかも、なんて思ってしまう。
　布団をかぶってしまえば電気つけてる意味もないんだけど、布団をかぶって小さく丸まった。
　ひっきりなしに雷が鳴っている。それに稲妻も。

　どうしよう…？
　もちょっと傍にいて欲しいって行こうか？
　でもきっと邪魔だよな…？
　だってなんかずっとへばりついてる気がする。学校いる時と自分の部屋いる時以外はずっと世那にくっついてる状態だ。
　世那は絶対譲の事は邪魔だって思ってるはず。…我慢だ。
　寝ちゃえば平気！

　そう思ってるのに目が冴えてくるんだ。神経がさらに近づいてくる雷に向かってしまう。
　そっと布団から目を出したらピカっと光って一際大きな雷と、そして電気がちかちかと一瞬点滅したのに声も出さないで震えた。
　「せなぁ…」
　隣の部屋にいるんだけど…。
　コンとノックの音がしてドアがそっと開いた。
　「譲？」
　世那だ～…。
　ベッドに近づいてきて脇に座った時また大きく雷がなって思わず抱きついた。

　「う～～～…」
　「大丈夫だって」
　分かってる。分かってるんだけど！
　世那の手が譲を抱きしめてよしよしと背中を摩ってくれる。
　「怖いなら我慢しないで来ればよかったのに」
　「……だって…邪魔、かな…と思って」
　ひゃっ！とまた光ったのに世那の胸の中に隠れるように顔を埋めた。
　「譲は邪魔なんかじゃねぇよ」

　…ホント？
　自分でももうずっと世那ばっかにくっついてる気がするのに…。
　でもどうしよう…やっぱり安心する。
　好き、なの…？でもどうなんだろう…？
　譲がまだ小さい頃に母親が離婚したせいでほとんど父親の存在は記憶にない。ずっとお母さんと二人で一応譲だって男だから、と思ってた所もあったのだろうけど…それが急に頼りになる人がお兄さんになっちゃって甘えてるだけ？
　でもドキドキする。
　世那じゃなかったらこんな風にするのも…しないかもしれない。
　世那だから…。　

　「譲」
　名前を呼んでくれるのが嬉しい。
　ぎゅうっとさらに世那の胸元を掴むと世那も譲を守って包んでくれるようにしてくれた。
　気持ちいい。嬉しい。安心する。
　…そしてドキドキする。
　「しばらくこうしてるか？」
　世那が聞いてくれたのでいいのかな？と思いつつも甘えてこくこくと譲が小さく頷いた。
　世那の声が近い…。
　……そして微かに譲の頭に世那が触れた。

　……え？
　……今……世那…何した…？
　譲の頭に…キス…した？ような…？…気のせい…？
　
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続きに拍手コメお返事です^^　

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学