はのんのBL部屋

　ホームルームの時間に学園祭について、クラスの出し物を決める事になった。
　譲は生徒会役員だけれど、ここはクラス委員と学園祭の委員が仕切る。
　はーい！と手を挙げたのは女子。
　「コスプレカフェでいーでーすっ」
　女子がキャーと手を叩く。
　「でもなんのコスプレ？」

　「男子がお姫様！」
　は？
　冗談じゃない！と男子が立ち上がる。
　「男子全員じゃないよぉ？何人かちんまいこ。ウチのクラスの男子カッコイイ系いないんだもん。化粧はメイクアップアーティストなりたい伊藤ちゃん担当で～、他の女子はメイド服。男子は裏方と表出る人はギャルソン服でいいでしょ。メインは男子のお姫様」

　たら…と譲は冷や汗が流れる。
　間違いなくちんまい男子の中に入ってる気がする。
　似たような背の何人かの男子と視線を合わせた。
　やだやだ、と目で会話するけど、女子には勝てそうにない。
　「え～～～！キモくね？」
　背の高い男子がやる気なさそうに言った。
　そうだ！もっと言って！…と応援する。

　じゃあ何かいい案でもあんの？
　出してみなさいよ！
　誰もアンタみたいなのにはお姫さまなれなんて言わないよ！
　…と女子に総スカンに合って席で小さくなる姿にダメかも、と半分諦めた。
　どうやらクラスの女子は全員すでに結託しているらしい。

　もう女子の独壇場で勝手に決められていく。何か一言でも余計な事を言ったら100倍になって返って来る言葉に男子は黙ることしか出来なかった。
　世那みたいだったら睨みを利かせられるのかもしれないけれど、残念ながらうちのクラスにはそんな勇気ある男子はいなかった。
　衣装担当、裏方担当、接客担当など流れるように決まっていく。
　そしてお姫様担当に勿論譲が入ってないわけがなかった。
　「…裏方でいいんだけど…」
　小さく呟いても誰の耳にも聞こえなかった。


　「譲のクラスは？何に決まった？…しかしなんで女子はあんなにこだわるんだか…」
　帰りに世那が迎えに来てくれてはぁ、と世那が疲れたように溜息を吐き出した。
　「…世那でも女子に負ける…の？」
　「勝てるわきゃねぇな。集団になったら無理だ」
　雑踏とした廊下を歩いていく。
　皆学園祭の話で持ちきりらしく、クラスの違う人が顔を合わせては何するんだ？とあちこちで話題だ。
　「メイドカフェ…？かな…」

　「だろうな。それ系多いしな…」
　「世那のクラスも？」
　「そう。…お前は裏方？」
　「……う、ん……」
　女子にはお姫様はメインなんだからよそのクラスには喋っちゃダメ！と口外禁止令が出されてた。出されてなくたって自分から言いたくなんかない。

　「大体制服着てるかコスプレ着てるかがうちのガッコに奴だ。普通のかっこの奴は他校のやつ」
　「……そうなんだ…人っていっぱい来るの…？」
　「けっこう来る。ウチのガッコわりと出し物とか自由だから派手になるしな…」
　不特定多数に自分の情けない姿を晒すのは避けたいけど…。
　「どうした？」
　俯いた譲に世那が顔を覗き込んできた。
　「あ、ううんっ！世那は何するの？」

　「執事」
　「…………するの？」
　「…………………したくねぇ」
　むすっとして世那が面白くなさそうなのに思わず笑ってしまう。
　「でも似合いそう！世那カッコイイから…」
　きっともてそうだ…。
　……それはちょっとやだな…。

　「…サボってやる。ああ、お前もサボれ」
　「ええ？……そんなの出来るかな…」
　女子の目が光ってそうでコワイけど…。
　「お前が裏方じゃないならお前のクラスに遊びに行くけど」
　「来なくていいよっっ！」
　「ん？」
　あ、でも世那の執事姿とかって見てみたい！…でもお姫様の格好は見られたくない。
　葛藤してしまう。

　「世那うちのクラス来ちゃったら女子が凄いことなりそうだし！僕はどうせ裏だしっ」
　「そうか？」
　そうそう！とこくこくと頷く。
　ふぅん、と世那はあまり学園祭に興味なさそうなのはほっとする。
　ちら、と隣をゆっくり歩いてくれる世那を見上げた。
　背高いし、きりっとしてるしカッコイイ。

　そういえばキス…何回も昨日したんだ。
　こうして学校にいるとまるで夢みたいで本当にキスしたなんて信じられない位だけど…。
　また今日も…してくれるかな…？
　期待してしまいそうになって、自分がそんな事思うなんて、と顔を俯けた。
　キスとか世那には似合うけど、自分にそんなの似合わない。
　けど…世那にされるのは好き。
　そんな事思ってしまって自分で慌てる。
　とにかく何したって世那の事ばっかり考えちゃうんだ…。
　
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続きに拍手コメお返事です～^^　

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