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熱吐息 accelerando~急速に~5

 まだ眠くないなんて言ったけど、こんなにゆっくりした時間なんて何年かぶりで、疲れの溜まった瑞希の身体が眠気を訴えてくる。
 「おい、眠いんだろ?何そんなに意識してんだ?」
 「別にそんなんじゃっ」
 思わず声が上擦りそうになる。
 そんな事言われてむっとして瑞希は立ち上がると暖房を消して電気を豆電球にした。
 「いいぞ、別に消して」
 宗が言ったので、じゃ、と消す。
 全部消してしまえば電気代だってかからない。
 そして自分のベッドなのにそろそろと近づいた。

 「っ!」
 ぐいと腰をつかまれた。
 「狭いから我慢しろ」
 我が物にような言い方だ。
 「……俺のベッドなのに」
 背中に宗の体温を感じる。
 どうしよう…。
 人と密着なんて生まれて初めての事だ。
 温かい。
 でも落ち着かない。
 宗の手がベッドから瑞希が落ちないようにとおなかを押さえていた。
 瑞希よりも広い胸で包まれるようにされれば何故か安心感を覚えてしまう。

 いや、違うから。
 宗は男に興味などないって言っていただろ。
 でも、瑞希は落ち着かない。
 さっきまでは眠気を訴えていた目が今は冴え渡ってしまって暗い中で視線が彷徨ってしまう。
 いつもと同じ部屋なのに。
 落ち着かなくて身体を動かさないようにと息を詰めるようにじっとして動けない。
 「…なにそんなに緊張してんの?」
 うわっ!!
 耳元に宗の声が響いてきた。
 ぞくりと身体に痺れが走ってしまう。
 答えられなくてただ瑞希は首を振った。

 やばいっ!やばい!
 思わずいけないことを想像してしまいそうになる。
 だってこんな事初めてだ。
 「ふぅん…」
 宗に耳元に息を吹きかけられているような感覚になってしまう。
 ずくりと下半身に熱が集まってきて頭の中がパニックになりそうだ。
 別な事考えろ!
 そう、生活!明日はバイトに行かないと!だって暮らしていけなくなる。
 車なんて買うからこんな事になってしまったのか。
 贅沢な事をしたからバチが当たったのか。

 「何考えてんの?」
 「せ、生活のことっ」
 思わず正直に答えてしまう。
 「バイト休んだしっ…きついからっ」
 「……俺いる間は俺が払ってやるよ」
 「はい~?」
 今、何を言った?
 「ちゃんと生活費払うから。しばらく置いてね?」
 「いや、だからそれは…足、怪我させたしっ」
 「それだって本来瑞希の生活と関係ないだろ?」
 だから耳元で囁くのはやめて欲しい。

 しまった。しばらく忙しくて自分で処理してなかったから。
 もず、と瑞希が身体を動かした。
 すると掛け布団の中で宗の手がゆっくりと動き出して瑞希のパジャマ代わりのトレーナーの中に手が入ってこようとしていた。
 「ちょ、ちょっ…な、なに…」
 そしてその手が下の方に向かっていこうとしてるのにパニックに陥りそうになる。
 さらに宗が身体を密着させてくると瑞希のお尻の辺りに固い物があたって…。
 「な、何っ!な、何でっ!」
 「欲情したらしい。おかしいな…男に欲情した事ないんだけど」
 何でもないようにさらりと宗が言って耳を食んできて下をずり下げられた。
 「ひ、ぁ……」
 思わず声が出てしまう。
 嘘だ!

 「なぁ、あんた慣れてるの?」
 「な、な、何がっ!?」
 「男とするの」
 「し、した事なんかないっ!!」
 「………なんだ、じゃだめか」
 「何が、だめ…?」
 「いや、足がアレだから上に乗ってもらおうかと思ったんだが…。した事ないなら無理か…」
 「う、上っ!?……む、む、無理っ!!」
 「…仕方ないな」
 するりと宗の手が瑞希のスウェットの下を下げた。
 「流石に足痛くて自由にならねぇな…」
 「な、何して…」
 「俺も出したいし」
 宗の物が瑞希の足の間に入ってきた。
 「ちょ、ちょっ…っとっ!!」
 「んん?何?」
 「なに、じゃなくて、何、してんのっ!?」
 足の間…に!
 「…いきなり入れるほど鬼畜じゃないよ。ほぐさなきゃ無理でしょ。俺自由きくならするけど。動くのキツイから仕方ない。あんたのもしてやるから。ほら、感じてるじゃん」

 宗の手が瑞希の起ち上がっているものにかかった。
 「これ、使ったことないんだ?自分だけ?女のなし?」
 「うぁ……」 
 人の手による強烈な快感が襲ってきた。思わず何回もこくこくと頷く。
 「ふぅん…」
 宗は瑞希の足の間に己を挟めて腰を動かし、手は瑞希のものを追い上げていった。
 「や、だめ…壁、薄いから…声、聞こえちゃう…」
 すると宗は何も言わないで空いている手で瑞希の顎をすくい、唇を自分のそれで覆うと、さらに瑞希のものにかかってる手を激しく動かし、自分の腰を動かした。
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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