はのんのBL部屋

　「はい！さっさと着替えて！化粧や髪のセットもあるんだから！」
　女子はすでに着替え終了。姫役の男子以外は皆開店の準備でばたばただ。
　姫役は5人。背の小さい順かと思ってたらそうでもないらしく、女子の基準はよく分からない。
　「着替えた順に化粧と髪セットしてくから！」
　仕方なく男子5人は情けなさそうにお着替え。

　「彼女呼べなかったよ…」
　ポツリと一人が呟く。他校に彼女持ちだったらしい。
　他校ならいいけど！譲なんか同じ学校に彼氏だ！しかも兄弟だし。
　……ってそんなの言えないけど。
　着替えを終えて化粧され、髪もセットされる。
　中にはウィッグとカラコンまで入れさせられた奴もいた。
　譲は白雪姫が一応コンセプトだったので、髪も目もそのままでいいらしいけど。
　けど、髪はブローされて、ぎっちりとスプレーでセットさせられて頭にでかいリボンまでつけさせられる。
　はぁ～…と出来上がってく男子のお互いの姿に溜息だ。

　「高橋はお客さん入ってきたら眼鏡禁止ね」
　女子からお達しが出された。
　「…それじゃ何も見えないよ」
　「ウチのクラスの時は何もしなくて座って笑顔作ってるだけでいいよ。あとはちゃんとエスコート役つけるから大丈夫」
　……あとは、って何？
　「……でも高橋はマジかわいくね？」
　「そこいらの女子より…」
　「やめてよね！」

　こそこそと出来上がったお互いの姿を見ながら変な気持ちになってくる。
　だって自分の姿は見えないけど、確かに制服姿からは想像もつかない位に可愛いと綺麗が出来上がっている。
　「俺、結構いけてね？」
　一人が鏡見ながら満足そうなのに頷きかけ、あれ？と感覚が麻痺してきたかも、とおかしな気分になってくる。
　教室は飾り付けやらで派手になって、いったいどこから何を持ってきてこうなったのかと言わんばかりに見えるけど、テーブルクロスをかけても見える机の脚や、椅子は変えようがないのでアンバランスだ。
　学園祭なんでそんなものだろうけど。

　女子はメイドの格好で男子はギャルソンの格好。裏方さんは制服。裏方といっても一から作ったりするわけじゃなくて冷凍のホットケーキに飾りつけとかそんな程度だ。
　「高橋、眼鏡！はいこっち」
　眼鏡を取られちゃったら周りはもうぼやけてしか見えない。
　物があるとか人がいるのは分かるけど、顔とかも分からなくなっちゃう。

　「ココ座って大人しくしてるだけでいいから」
　大人しく言われるまま用意された椅子に座る。
　…座ってるだけ？
　譲は何がどうされるかよく分かってなかった。とにかく今までも大人しく座ってるだけでいいからと言われてただけだ。
　…なんかよく分からないけど。
　廊下から他のクラスのやつらが覗きにきて口笛を鳴らされる。
　「誰っ！アレっ！」

　「まだだめ～～～！」
　女子が追い返している。
　なんにしても譲は眼鏡がなくて全然見えなくて何がどうなっているのか分からないので、はぁ、と溜息を吐き出しつつ諦める。
　「いいよぉ！高橋！そのままね！」
　何がいいのか、分からない。
　椅子もいつも使ってる教室の椅子なんだけどなんかキラキラに装飾されてる。
　「というか！一応白雪姫なんだから寝せておいた方よかったかな？」

　「キャーーー！だよね！王子サマのキスないと目覚められないじゃーん！」
　「いい！…けど、寝せるのは邪魔だからできない」
　う～ん…と悩んでいる。
　教室はそれでなくとも布を引いて教室を裏方分に分断してたりしてるから狭くなっている。
　「どうせもう白雪姫かけ離れちゃってるからいいでしょ」
　結局は寝せるのは場所をとるので邪魔、という事らしい。
　…もうどうぞ勝手に決めてください、と投げやりな気分だ。

　「他の姫はちゃんとテーブルに一人ついてるようにね！」
　「ねぇ…僕だけ午後自由時間でいいの？」
　他の姫役の男子はほとんどずっとここで接客の予定で譲だけが午後はいいよ、とお役ごめんを言い渡されていたのだ。
　「いいの。宣伝役だから。それに生徒会の方にも行かないといけないでしょ？」
　「それはそうだけど…宣伝？」
　宣伝ってなんだ？

　「僕だけいいのかな？」
　他の姫役男子に聞けばいいよ、と頷いてくれる。
　「俺達はこのカッコで出歩きたくない」
　…まぁ、それは確かに…。
　生徒会入っててよかったかも。
　思わずそんな所に感謝してしまった。

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おかげさまで大分今日はよくなりました～^^;
続きに拍手コメお返事です～^^

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