はのんのBL部屋

　他のクラスで買い食いしたり、出し物見て回ったり、と世那とくっ付いたままあちこち見て回る。
　いいけど、ほんと眼鏡なくてひどい！
　あっちこっちつまづいたり人とぶつかりそうになったり。
　全部勿論その度に世那が回避させてくれるけど、毎回周りから悲鳴やらシャッター音とかが聞こえる。
　「世那…」
　世那の背中に触れた時に紙の感触があり、世那の背中に目を近付けた。
　そういえば譲もなんか背中に貼られたんだ。

　「あ、それ取れ」
　「え？いいの…？」
　「いいよ。やってられるか」
　書かれてたのはミスターコンよろしくと世那のクラスの執事喫茶の宣伝だった。…という事は譲のも同じ事？
　「僕の…なんて書かれてるの？」
　「白雪姫ですよろしく、と1-2よろしくだ」
　「……僕も外したいけど…」
　女子に文句言われたら怖い…。

　「よぉ、世那」
　世那に連れ回してもらってあちこちの教室を覗いてたりしてたら世那が声をかけられていた。
　誰かな？目が見えないので全然分からない…。
　「石川…」　
　チッと世那が舌打ちする。
　石川？聞いた事ないな。それに制服でもないみたいだし、仮装とも違う感じ。ぼんやりとした視界で雰囲気でしか譲は分からないけど…。
　「酔狂な格好だな？いいけど、今日は片手にメガネちゃんじゃないんだ？」
　くっくっと馬鹿にしたような笑い。

　あ！コレ！西高の！人だ…多分。
　いっつも世那に声かけてくる人。
　「え～！石川～！誰？友達？かっこいいんだけどぉ」
　女の子連れらしい。そういやいっつも電車の駅でも隣に女の子いる！
　「世那、可愛いの連れてんじゃん…お前趣味変わった？眼鏡ちゃんも可愛い系だしなぁ……」

　やだなぁ、と世那の腕にぎゅっと抱きつくと世那も譲の肩を抱き寄せてくれる。
　「ねぇ、世那やめて俺にしねぇ？」
　譲の方に手を伸ばしてきたのにコワイ！と譲は頭を横に振って世那に隠れるようにしがみつく。
　「やめろ」
　その世那が呼んだ石川という人の手を世那が追い払う。
　「あ、れ……？」
　追い払われてもその人は全然こたえていないのかさらにずいと近づいて譲の前に立つとまた手を伸ばしてこようとした。

　「やっ」
　「あ！やっぱり！コレ、メガネちゃんか！？…まじかよ」
　「石川うぜぇ」
　「ああん？世那まじかよ？いくら可愛くたって男だろ？」
　「そういうんじゃない。これは義理の弟だ」
　「……は？」
　「コイツの母親とウチのオヤジが再婚したんだ。だから義理の弟」
　「ああ～！なるほど。だからいっつも一緒なんだ？へぇ…でも本当にそれだけかぁ？」
　声に揶揄が含まれているのが分かる。

　「……しっかしマジ可愛いな…血迷うのもこれなら分かる…普段はアレだけどな～」
　むぅっと譲は口を尖らせた。
　普段がアレって何？……いや、そんなの自分でもよく分かってるけど！
　でも人に言われれば譲だって傷つく。世那に似合わないって分かってるけど！
　「譲…行くぞ」
　世那が譲を守るようにしてぐいと肩を抱いたまま石川、って呼んだ人の脇を通り過ぎる。
　「石川？トモダチ？紹介してよ」
　「ダチ～？ちげぇし！世那にはちょっと恨みあんだよなぁ」

　恨み？
　通り過ぎた時の会話に譲はちらと視線を向ける。…とはいっても見えてないんだけど。
　「……くそっ」
　チッ、と舌打ちしながら世那がイライラしていた。
　どうしたのかな？と譲が世那の腕に腕に掴まりながら見上げる。
　譲が邪魔なのかな…？
　「譲、階段だ。気をつけろ」
　「……うん」
　世那が譲の腰に手を回してくれる。
　「…あの…僕…眼鏡もらってくる…よ？」
　「ああ？別にいい」

　「……だ、って……ほら、面倒でしょ…？」
　「面倒？何が？」
　「…僕、目見えないから…世那の顔位しか見えないし…いちいち世那、こうして…」
　「それでいいだろ。………譲が俺にべたべたされるのが嫌なら眼鏡かけていいけど」
　「嫌じゃないよ！それは…嬉しい…世那が…嫌かな…って…」
　「嫌なはずあるか。…苛立ってんのは譲にじゃねぇ。周りにだ」

　周り？
　「……お前生徒会室集まるの何時だ？」
　「ええと…3時半」
　「……ちょっと撒くか…」
　「まく…？」
　世那が譲の腰をぐいと引いた。

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続きに拍手コメお返事です～^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学