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僕の好きな人 61

 「世那?どこいくの?」
 「んん?ちょっとな」
 ぐいぐいと譲を引っ張っていく。
 「ずっと追いかけられてるだろ?ゆっくりもできねぇから」
 譲は眼鏡をかけていなかったから状況がイマイチ分かっていなかったけれど、確かにあちこちからシャッター音が聞こえてきている。

 「世那いっぱい撮られてるんだ」
 「は?」
 「だって…ほら…かっこいいし…」
 王子サマみたいだ。
 髪もあげててちょっといつもよりもさらに大人っぽいし。
 「正確には俺とお前だ」
 「なんで?」
 きょとんとすると世那が呆れたように譲を見た。

 「…ま、いいや」
 なんだろ???
 そして世那が保健室に入っていく。
 「シツレイシマス」
 「世那…?…ぶ、あはははははははは~~~!!!」
 保健の先生が世那を指差して大笑いした。
 「ぎゃはは!写メ撮らせろ!お姉に送ってやる!」
 「やめろ、あの人はこんなの興味ないだろ。それよりちょっと通り抜けさせろ。譲こっち」

 「譲…?そのカワイコちゃんは譲クンか!?」
 また保健の先生が世那と譲を指差して笑い出す。
 「うるせぇ」
 「ミスコンとミスターコン入れてやるよ!」
 「やめろ」
 そのまま保健室からテラスに出られるドアを出て外に出た。

 …保健の先生、綺麗なのに思い切り大きい声立てて大声で笑ってた…。
 綺麗なのも世那の叔母さんというのなら納得する所もある。お姉に、って言ってた…。世那が言ってたの本当…?…って、別に疑ってたわけじゃないけど…。
 世那が人気のない校舎脇を通って、体育館の脇を通って行き、陰に隣接する体育館倉庫のドアを開けた。
 「世那…?」
 「ちょっと休もう。譲」
 世那が譲の手を引っ張りマットに横になるとそのまま抱きかかえられる。

 「……疲れる」
 はぁ、と世那が溜息を吐き出してるけど…。
 「あの……いいの…?こんなとこ…」
 「別にいいだろ?……しかし……」
 世那が譲の頬に手をかけてじっと見ていた。
 そしてまたはぁ、と溜息。
 「……変?…あ、と…変なのは分かるけど…」

 「いや?全然違和感ない」
 「……………変って言われるのもちょっとだけど、それもちょっと…」
 ぷっと世那が笑う。
 「可愛いぞ?」
 嬉しいような、嬉しくないような…。
 複雑になっているとまた世那が笑った。
 「一応譲だって男の子だからな」
 「一応!?」

 「ああ、わりわり。別に俺は譲がどんなカッコしてても関係ないけどな……いつでも可愛い」
 「世那は…かっこいいよ」
 「…アホだろ」
 「ううん!王子サマみたいでかっこいいよ」
 「……あのな…どこのオトメだ?お前は…」
 「だって、カッコいいのはカッコいいだもん…」

 「…………なぁ?俺の事はいいけど…スカート捲っていい?」
 「は?」
 世那が半身起き上がる。
 「パンツ何はいてるの?女モン?」
 「ま!まさかっ!」
 「な~んだ」
 くっくっと笑っているのでからかっただけらしい、と思ったら世那がホントにスカートに手をかけてきた。

 「ちょっ!世那っ」
 譲は顔を真っ赤にしてひらひらレースが下から覗くスカートを両手で押さえる。
 けど裾の広がるスカートの横から簡単に捲られた。
 「あ、ホントだ」
 「もうっ!」
 別にわざわざ確認しなくたっていいのに!
 くっくっと世那が笑いながら…でもスカートから手を離さない。
 「世那…?」
 なんか髪を上げているからかいつもよりもさらに大人ぽくて男らしい感じがするのにちょっとどきっとしてしまう。

 「手よけろ」
 「…何するの?」
 世那が譲の手を除けさせるとスカートの下からパンツに触る。
 「せ、せ、せ、なっ」
 「お前…まだ自分で後ろいじってた?」
 「してないっ!」
 世那から逃げようとして身体を捩る。
 「…触られるのいやなのか?」
 「やじゃないけど……学校で、とか」
 「さすがにここじゃ最後までしねぇよ。帰ってからゆっくりする」

 …なんだ。びっくりした。
 「下のマットも汚ねぇよな…お前ちょっと壁際立って?」
 世那が手を離したので言われた通りに壁際に立った。
 すると世那がべろっとスカートの裾を持ち上げた。
 「ちょっ…っ!」
 「裾持っとけ」

 「へ?」
 「汚しちゃまずいからな」
 汚しちゃ、って……。
 「なに…するの?」
 「譲の出すだけ」
 …だけ、じゃないと思うんだけど……っ!

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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