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熱吐息 accelerando~急速に~6

 もう一度シャワーする事態になってしまった。
 なんでこんな事になってしまったのか。
 考えない、と頭を振りながら下半身を流した。
 そしてすっかり瑞希は目が覚めてしまった。
 「おい。電気消して来いよ」
 シャワーから戻ると声をかけられて思わずびくっと身構えてしまう。
 「もうしねぇから」
 宗が苦笑してた。
 触られて、キスまでされて、出されて、かけられて…。
 何がどうなってこうなってしまったのか。
 ぐるぐると頭の中が回っている。

 「来いよ」
 その声に抗えなくて…。
 でも恥かしすぎるだろう。
 そっと自分のベッドなのに伺う様に近づいた。
 また腰をつかまれてベッドに引きずり込まれる。
 「すっきりしたろ?」
 それはそうだけど…。
 背中越しの体温が熱く感じる。
 「俺…。お前とならできるかも」
 そんな事言われても…。
 なんかむなしく感じてくる。
 「…誰かと眠るなんて初めてだな…」
 え…?
 振り向きたかったけれど出来ない。
 そのまま後ろからすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。

 もう寝たの?早っ!
 こっちはまだ動揺して目が冴えきってるのに。
 車で引っ掛けて怪我させて、思わず家に誰もいないって言うから連れて帰って来てしまったけれど。
 どこに住んでるのか何も知らない。
 二階堂 宗、って名前だけ。
 これだって本当かどうかなんて知らないのだ。
 年も、何してる人なのかも何も知らない。
 男に興味ないって言ったのに、なんでこんな事したんだろうか。
 こんな事されたら期待してしまう。
 今まで誰とも付き合った事も何もしたことなかったのに。
 初めて他人に与えられた快感は強烈で、思わず思い出したらまた熱が籠もってきそうになる。

 キスだって初めてなのに。
 そういえば慣れてる?って聞かれた。
 宗は瑞希が男の方を好きだという事に気付いていた?
 それなのに、手を…?
 宗の手が瑞希のお腹を抱きかかえていた。
 じゃないとベッドが狭いから身体が落ちそうになる。
 規則正しい音が繰り返されているのにそっと瑞希はお腹の宗の手に触れた。
 大きい手だ。
 この手が…。
 いや、だから考えないっ!
 すぅすぅという宗の息に集中しているうちに瑞希も眠くなってきた。



 はっと瑞希が目を開けると朝になっていたが、寝た時と同じ格好のまま宗に抱きかかえられていた。
 まだ寝ているんだろうか?
 身じろぎしたら起きてしまうかも、と身体をじっとしてるとくくっと笑い声が聞こえた。
 起きてるんじゃんっ!
 「…あんた、可愛いね」
 宗が瑞希の身体を離したので瑞希はベッドから降りた。
 可愛い!?
 綺麗は言われた事あるけど、可愛いはないぞ!
 それは聞こえなかった事にしよう。
 「…朝ご飯ないよ?」
 「別にいい」
 よくないだろう…。
 どうしようか…。
 「パンでも買ってくる」
 「……いいから」
 「あっ!足、足は?」
 「ん?ああ、大分いい」

 ベッドから宗が起き出した。
 「捻ったんじゃなくて打撲かな?」
 ベッドに腰かけたのに足をみた。
 「湿布、取り替えよう」
 瑞希は宗の買った袋から湿布を取り出して貼り返る。うん、腫れも大分引いていてほっとした。
 「今日はバイトあるの?」
 「あるよ。コンビニ、と…」
 「コンビニ?」
 「掛け持ちしてるから」
 「…何時から何時?」
 「コンビニが11時から夜7時。ホストが夜8時から2時位、かな」
 「………コンビニはいいけどホストはやめろ」
 瑞希はむっとした。
 辞めるつもりではいたけどまだ辞められない。
 「金必要だから無理」
 「いいから」
 「よくない。なんでそんな事言われなきゃないわけ?俺には俺の生活あって、バイトしなきゃ食っていかれないんだよ」
 宗がむっと黙った。

 「…俺が出してやる」
 「はぁっ?馬鹿にしてんの?なんで宗に出されなきゃないわけ?結構です」
 宗が立ち上がって瑞希の身体をベッドに引き戻した。
 「な、何するの!?」
 瑞希の身体の上に宗が乗っかった。
 「ナニするんだ」
 「や、やめ…」
 「なんで?お前だって欲情したんだ。いいだろ」
 そりゃ昨日はしたけど!
 「別に!そんなんじゃっ」
 「大人しくしてろ」
 響くいい声で耳元に囁かれれ、瑞希はぞくりと身体が反応してしまった。
 そうじゃなくて、だめだ、というのに!
 「や、っ…だ、って…ば…」
 ぐいっと宗の顔を押し戻したけど全然敵わない。
 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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