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2014.02.14(金)
莉央の用意してくれたホテルでワインを燻らし、ディナーを食べ、綾世のバレンタイン用のケーキを食べ、現実なのにどこか夢の世界のようだ。
教会での厳かな雰囲気の下での莉央の言葉と指輪には思い出しただけで何度も感激してぐっと涙ぐんでしまう。
一緒に風呂に入り、浴槽の中で莉央に後ろから抱かれながら綾世は指輪を眺めて手で触って確かめる。
「綾世さん…嬉しい?」
後ろから莉央に囁かれて綾世はこくりと頷いた。
「……ホント可愛いんだから…」
「……30なったけど?」
「年の事じゃないです」
ざっと莉央が綾世の身体を抱きしめたまま風呂を上がった。
「綾世さんは明日も仕事ありますけど、俺手伝いますんで、今日は許してね?」
「………そんなの…」
気にしなくていい…。こんなに特別な夜に…無粋な事…。
「莉央」
綾世の身体もタオルで拭いている莉央の髪を撫で綾世からキスする。
「莉央が…ほしい」
「勿論…いくらでも」
莉央の唇が重なって舌が絡まる。
もうずっと身体には熱が籠もっていてじんじんと心と身体が震えっぱなしだ。たったちょっとの事なのに…。虹を莉央が忘れたんじゃいかと思った時は悲しかったのに…そうじゃなくて、やっぱり莉央は綾世の全部を分かってくれているんだ。
抱き上げられベッドに運ばれればもう莉央を離したくはない。こんなに…莉央は自分を…。こんな自分に惜しみなく莉央はありとあらゆるものを与えてくれる。
愛情、抱擁、平安、安心、安寧…。
綾世の心の中に住み着いていた自分を卑下する思いも、今までの培われてきた淀みも全部莉央が溶かして浄化してくれる。
「莉央、莉央…愛している…どうして僕なんだろう…?いつもいつも莉央にはもっと相応しい人がいるはず、…そう思っても…ごめん…莉央が欲しい…」
「俺に相応しい?なんですかそれ。それ言ったら綾世さんに相応しい人なんかもっといっぱいいるでしょう?俺なんてただの平社員で地位だって名声だってなんもないのに」
「そんなのいらない!莉央だけが欲しいんだ…」
「俺だってそうですけど?俺がこんなに欲しいと思うのも大事なのも綾世さんだけです。教会で言ったでしょ?これからもずっと一緒にいて下さい」
「ん!…莉央…」
嬉しくて、幸せで泣けるなんて…。
莉央に会ってからずっと莉央には貰ってばかりだ。
「もう一年以上も付き合ってるのに…いつもがっついててすみません。だって綾世さんが綺麗で可愛いのが悪い」
「悪くない…っ…ん、んっ…いい…滅茶苦茶にして…」
全部全部莉央で埋まればいいのに。
「綾世さん…そんな事言ったら…」
莉央が焦燥感を浮べながら性急に中に入ってくる。莉央も感じている…?
「う…綾世さん…」
ずっと熱が治まらない。
「り、お…う…」
「綾世さん……綾世」
「あ、ぁっ」
莉央の声が耳に響き綾世を呼びながら抽送を激しく繰り返す。
綾世も莉央に抱きつき身体を揺さぶられる。
虹が指し示して導いてくれた人だ。……綾世の為に。
道を指し示し、一緒に生きてくれる人まで虹は綾世に与えてくれたんだ。勝手に綾世がそう思っているだけ。でも間違ってはない。
いつでも虹は綾世の為に姿を見せてくれた。こっちだよ、と正しい道を指し示してくれたんだ。そして今があるのだから…。
「綾世さん…一緒に…」
「ん…」
何があっても信じられる。
莉央の首に回した手の指に指輪の存在があった。そして莉央の指にも。
「莉央…手…」
手を握って欲しい。首から腕を解き莉央に手を伸ばすと莉央が手を握ってくれる。その莉央の指にも指輪が光っていた。
ぎゅっと莉央の手を握り締め、莉央も返してくれる。キスを繰り返し、身体を結び、莉央を感じる。
熱も汗も全部が溶け合って一つに…。
「綾世…も…う…」
「ん…っ」
莉央の切羽詰った声。
そしてキスしながら互いの息が混じり溶け合ったまま絶頂を迎える。
荒い息遣いも全部が交じり合っているみたいだ…。
何度軽いキスを繰り返し…そしてまた莉央が綾世の中を穿ってくる。
「僕の…全部…を莉央に…」
「俺の全ても綾世に」
誓いの言葉の様に莉央が返してくれ、そしてキスしてくれる。
幸せだ…。幸せだなんて思える日が来るなんて…。それもこれも全部莉央がいてくれるおかげだ。
莉央に抱きつきながら綾世は静かに涙を零した。
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