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僕の好きな人 63

 譲が生徒会室に集まる時間まで世那にくっ付きながら体育館倉庫で休んでいた。
 時間になって体育館倉庫を出て、今度は普通に表に回って昇降口から廊下を歩いていくと、また悲鳴からシャッター音からが追いかけてきた。
 「な?休んでて正解だろ?」
 「……うーん?見えないからよく分かんない。世那隣にいるからどうでもいいかなぁ」
 「………何気にお前の方がやっぱ大物だよな」
 ぷっと世那が笑う。

 「そお?」
 だってよく見えないし状況が分からないもん。
 歩くのに世那の腕に抱きつくようにしてもいいなんてかえっていつもよりもいいかも。
 そのまま世那にぶら下がるようにして生徒会室に連れて行ってもらう。
 「高橋くん!?」
 「はい?」
 会長に大きな声で呼ばれてきょとんとする。
 「その頭のリボンに衣装…もしかして白雪姫って高橋くんか!?」

 「ええと…多分?」
 「………なんなんだ?その天間にべったりは?」
 「だって眼鏡ないから見えなくて…」
 そう言いながら譲は世那の顔を見上げる。譲が見えるのはここまで。くっ付いている世那の顔位までであとは視界が全部ぼやけてるんだから仕方ない。
 「僕…ホントにど近眼だから全然見えなくて…」
 はぁ、と会長の溜息が聞こえた。

 「高橋くんのおかげて僕は今年のミスターの位置を本当に奪われたよ…」
 「え?」
 譲の所為?どうして?
 「天間が急上昇だ」
 「いらねぇ」
 「そんな事言われてもね。仕方ない。高橋くんといる時の天間が崩れているからねぇ」
 崩れている?
 ちらと世那をまた見上げると世那は肩を竦めていた。

 「高橋くんはこのまま今日は生徒会の方で待機だけど、特別天間もいていいよ?」
 チッと世那が舌打ちをする。
 「高橋くん後夜祭の準備だけど…」
 「……女子に眼鏡取られてて目見えないです」
 「うん。変わりに天間が動いてくれるだろ?」
 あ、そういう事…?だから舌打ち?
 「俺だけだったらバックれるのに…」

 「世那…ごめんなさい…」
 「…………いいよ。もう諦めてる…」
 はぁ、と世那が溜息を吐き出す。
 「女子の票総取りだからなぁ…女子怖いしねぇ。さすがの天間も無視出来ないだろ」
 「………会長も女子怖い…?」
 「そりゃあ!集団になったらどんな男だって敵う筈ないでしょ」
 「………………」
 世那も同じ事言ってた…。やっぱり譲は早々に諦めて正解だったらしい。

 「ん?世那がミスターコンテストで一位なの?ミスは誰だろう?あ、僕入れてない!目見えてなかったからいっか!」
 「…………天間?高橋くんは真面目に言ってる…?」
 「勿論真面目だ」
 「……………前から思っていたんだけど…もしかして天然?」
 「もしかしなくても」
 世那が断言した。
 「…そりゃあ、格好の餌食なわけだ…」
 「そういう事」
 はぁ、と世那がまた溜息。

 「世那疲れた…?」
 「女子に振り回されるのにはな」
 ぐりと世那が譲の頭を撫でてくれて自分に疲れたんじゃなくてよかったと譲は胸を撫で下ろす。
 「しかしホント可愛いねぇ…」
 「……ああ、そういや石川に会った」
 「来てたんだ?あいつも暇だな」
 石川って西高の人…だよね。会長も知ってるんだ?

 世那は会長と仲良くないって言ってたけど、なんだかんだ言っても譲には世那と会長はやっぱり仲いいかも、と思ってしまう。
 友達…というよりかは悪友とか、そんな感じ?
 なんかいいな…と譲は羨ましくなってしまう。
 「高橋くんといたとこ見られた?」
 「まぁ。学校帰りも会ったのは何回もあったからな」
 「今日のその格好で天間にべったりだと…」
 世那と会長がじっと譲と見ていたのが分かった。

 「?」
 「朝も帰りも天間が一緒なら問題ないが…ああ、何かの時には僕を頼ってもいいよ」
 「誰が頼むか!お前も危険だ」
 「なんだかんだ言っても石川は卑怯なまねはしないからまだいいけど…。他にもお前がノした奴、いるだろう?」
 「………」
 「自分の撒いた種だな」
 「俺が蒔いたんじゃねぇ」
 「まぁ、確かに…」
 ……何だろう?何かあったのかな?

 会長と世那の会話が全然譲には分からない。
 「天間が離れないのが一番だな」
 「分かってる」
 世那が頷いていたのに譲はただ首を傾げた。
 「……お前は気にするな」
 何だろう?何か譲は邪魔なのだろうか?
 気にするな、と言われても全然何がなんだか分からないので気にしようもないんだけど…。 

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昨日コメントいただいた分昨日の5の記事のコメント欄あけて
お返事させていただいてます~^^
お心当たりの方確認してくださいませ~^^

テーマ : 自作BL小説
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