はのんのBL部屋

　「………なんか純香さんから別れ話切り出されたらしいけど。……俺も詳しい話は知らねぇけどな。…ワケワカンネ、って世那言ってた…」
　世那もあの人の事が好きだったのかな…？
　ずきずきと心が痛む。
　「でも今はホントにただの先輩後輩になってるはずだけど…」
　大原さんと顔を合わせ、そして二人ではぁと溜息を吐き出した。

　「………というか、譲ってちゃんと恋愛の意味で世那の事好きなの？」
　「え！…あ、…わ…」
　「世那は？」
　「あ、…ぅ…」
　目が回りそう！
　「ん？」
　「あ、の…だって…僕、男……だし…世那、とは…義理だけど…兄弟…だし…」
　「親の再婚同士なんて他人だろ。親が離婚しちゃえばまた他人だ」

　そうだけど！

　「世那は譲に甘そうだな…」
　……甘いです…。
　思わずかぁっと顔を赤くして譲は俯いた。
　「あいつ怖そうだけど弱いのとか可愛いのとかには優しいから」
　はい…すんごく優しいデス。
　テレテレと譲が照れているとだろ？と大原さんが確認してきたので小さく頷く。
　頷いたけど、それは譲が弱いって事？…確かにそうかも、だけど。

　「だろ？……で？」
　「う……」
　大原さんが尚も確認するように聞いてきた。
　なんでそんなに気にする…って世那がその純香さんと、って事を考えれば当然か…。
　でも世那の友達なのに譲が言っていいの…？
　どうしたらいいんだろう？と譲が悩んでいると大原さんが笑った。
　「世那には知らんふりしとく。でも、あいつは譲の事好きだろ？」

　「え？」
　なんで？
　「一回道で会った時の世那の態度見りゃ分かるって。で？譲も？…付き合ってる？」
　「…付き合ってる……？」
　思わず頭を傾げた。
　「…のかな…？え、と…僕は世那好きだけど…。でも、一緒の家だし…、朝も帰りも学校行くのも一緒だし…」
　「休みの日も一緒か」
　ははっと大原さんが笑った。

　「じゃあやっぱり純香さんとはなんでもないよな」
　大原さんが安心したように笑った。
　安心…できるのかな…？
　譲の脳裏にはどうしてもさっきの二人のお似合いな感じが強く残ってしまった。
　大原さんが危なっかしいからと家までついてきてくれてお礼をいって家の中に入った。
　好きって世那は言ってくれるんだし、大丈夫！
　…と自分に言い聞かせる。
　


　「わりい、譲。やっぱ男だし、可愛くもねぇのと付き合えない」
　「え！？」
　「やっぱ女の方がいいに決まってる」
　「え！？」
　やだ！
　世那が純香さんって人の事を抱きしめてた。
　「やだっ！やだっ！世那ぁっ！」
　

　「……譲……譲っ？」
　身体を揺すられて起こされた。
　「……え？…アレ？」
　目の前には世那の顔で、当たりを見回すと、どうやら譲は机で突っ伏してうたた寝してたらしい。
　「何？夢でも見てたのか？」
　「……ん…。世那ぁ…」
　譲の顔を覗きこんできた世那の首に腕をかけて抱きついた。
　日中見たのが譲の中に燻っていて夢に見ちゃったんだ。

　「何がヤダなんだ？」
　「……わかんない。…忘れたみたい…」
　世那は譲の背中に手を回して抱きしめてくれ、なだめてくれるのに甘えてしまう。
　…違うよね？夢の事なんてただ、譲が勝手に気にしてるだけだよね？
　確認したいけど出来ない。
　こうして世那が優しくしてくれればそれでいい。

　「頬っぺたに教科書の痕ついてるぞ？」
　「え！ホントっ！？」
　くっと世那に笑われた。
　…みっともない！！！
　こんなことばっかりしてたら世那に呆れられる！……ってそんなの今更だけど…。ホントに世那はいったい譲なんかのどこがいいんだろ…？
　「世那…」
　「ん？」

　「僕…なんかのどこ…いい、の……？」
　「ん～～～～？……どこ……」
　じっと世那を見つめた。
　世那は譲を抱きしめたまま譲を見て頭を傾げている。
　「………放っておけないとこ…？」
　むぅっと譲は口を尖らせた。

　「…そんなとこ？」
　「勿論それだけじゃないけど」
　ぷっと世那が笑って譲の尖らせた唇を指で摘んだ。
　「じゃあ譲は？俺なんかのどこがいい？」
　「え！だって世那はかっこいいし！優しいし！頼りになるし！守ってくれるし！頭もいいし！なんでも出来るし！」
　「……誉めすぎだろ？」
　「ううん！」

　それに比べて自分は…。
　また軽く凹んでしまう。
　「お前はかわいいよ」
　世那が軽くキスしてくれる。
　嘘でもそう言ってもらえるのはやっぱり嬉しい…。


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続きに拍手コメお返事です～^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学