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僕の好きな人 80

 「世那はあなたが好きだそうだけど?」
 「………」
 それに対してなんて譲は答えればいいの?
 心臓が口から飛び出してきそうだ。緊張で具合も悪くなりそう。

 「男同士でなんて、そんなデメリット抱え込むくらいあなたの何が魅力的なの?」
 そんなの譲だって知らない!
 世那が言ったのは放っとけないだ。そんなの世那の迷惑でしかない事でデメリットだけじゃないか。
 思わず譲は俯いてしまう。

 「………堂々と顔も上げられないのなら世那から離れてちょうだい」
 ちらと世那のお母さんに視線を向けたらにっこりとした笑みを浮べながらそう言われた。
 堂々と、なんて…できるはずない…。
 世那の事は好きだけど、自分に自信なんかないし、メリットなんかあるはずもない。

 「世那のこれからの将来を奪わないでくれる?でもこれは世那だけじゃなくてあなたもでしょ?世の中の目なんて冷たいものよ?」
 将来……。
 譲は顔を俯けて唇を噛んだ。
 堂々とできない自分。自信なんてない自分。
 「話はそれだけ。……私の言っている事、分かるわよね?」

 譲は顔を俯けたまま小さく頷いた。
 話は終わったと言わんばかりに世那のお母さんが席を立ち、そして譲を残してそのままトレイを手に店を出て行ってしまう。
 譲は少しじっとして潤んでくる瞳を小さく震えながら我慢した。
 我慢して落ち着いた頃店を出ると偶然にもまた大原さんと会った。

 「あれ?譲?…一人?」
 「え…?あ…」
 のほほんとした雰囲気の大原さんに話しかけられ、知った顔に会ったのに今までの緊張が解けて譲の顔が歪んでくる。
 「ど、ど、どうした?」
 大原さんが慌てた。
 
 缶コーヒーを買ってきてくれてそれを手に道の街路樹の囲いに並んで腰かけた。
 「…すみません」
 さすがに泣くのは我慢したけど潤んでた目はいくら分厚い眼鏡の奥でも見えてしまっただろう。
 「どうした?…世那か…?」
 「……ちがう…。世那のお母さんと…会って…でもこんなの世那に言えない」
 世那に言っても仕方ない。これは譲の問題だ。

 「世那のお母さん?…キッツイからなぁ~…俺もかつてダメ出し喰らった」
 「え?」
 「勉強の妨げになるから来ないでって。…小学校低学年の時」
 くすっと大原さんが笑った。
 「んでもなぁ~。ガキンチョだったから隠れてこそこそ遊んで未だに縁切れてないみたいだけど」

 「小学校から?」
 「そ」
 世那の小学校の時ってどんなだったんだろう?
 思わず想像してみて譲が笑ってしまう。
 世那に言えないのにこうして関係ない大原さんに話してるなんて…。だから自分は弱いんだ。
 ぐっと譲は拳を握った。

 どうしたらいい?
 いつでも世那に守ってもらって、迷惑かけて。
 それで満足してたんだ。
 でもそれじゃダメなんだ…きっと。
 自分の自信もなくて。外見だけじゃなくて中身もだ。
 でも何をどうしたらいいのだろう…?
 どうやったら変われる?
 どうしたら自信なんてつくの?

 ……そんなの知らない。
 今まで自分が何かを自信持ってしてきた事なんてなかった。
 だから…生徒会に入ったのだって自分が変わりたいと思ったからじゃないか。それなのにやっぱりどこも何も譲は変わっていないんだ。
 堂々と出来ない自分に恥かしくて世那の隣に立てない。
 好きなんて…。世那がよくしてくれるのに全部任せきってるようなものだ。
 与えてくれるのは全部世那で譲はもらうだけ。
 フィフティフィフティにもなりえない。

 やっぱりそんなの違う。
 でも…どうしたらいい…?
 「譲?世那のお母さんのいう事きかなくていいんだぞ?」
 「ううん……だって言われてること…分かる」
 堂々と出来ない自分。
 きっと世那は顔を背ける事なく言ったのだろう。
 でも譲にはそれが出来ない。

 好き。世那が好きなのは本当。こんなに苦しいのも世那だからだ。
 世那のお母さんにあんな風に言われたってやっぱり世那の事は好きだ。でも…将来…とか言われちゃうと譲は顔を俯けてしまう。
 世那に依存してちゃダメなんだ。
 「……お母さんに会ったって世那に言った方いいと思うけど?」

 「言わない」
 譲は頭を横に振った。
 「でもさぁ~~…」
 「言わない。大原さんも世那に言わないでね」
 もし今度世那のお母さんに会う事があったらちゃんと堂々と顔を上げて世那が好きだし大事だと言いたい。
 …自分で自分に自信が持てるようになりたい。

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続きに拍手コメお返事です~^^
tsr様
 私も~!絶対ダメですね~^^;近くにいるの無理!
 すぱっと切れないとひきずりますよねぇ~
 桜ちゃんイケイケなのでwwww嬉しいです////
 保険の先生とは全然違いますね~^^;
 にゃーの目緑です~^^
 体型も太っ腹!(大笑)
 下の子はホント怒らないです^^シャー聞いた事ないですから~
 えへへ~////ありがとうございます~^^

mm3様
 嫁いびり…ですかね?^^;
 譲ちゃんおろおろでした~
 何も言えず…
 世那は残念ながら気付けない~^^;
 ダメですね~(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 やはり嫁いびり…?(笑)
 二階堂母はどうなんでしょうね~?^^;
 嫁と3人で…嫁二人振り回されそうだわ…
 ありがとうございます~^^

SR様
 お母さんキツイです^^
 譲はなかなか行動派wwww
 それもこれも世那限定でしょうけど~(笑)
 後半に詰め込んでみました^^;
 でもたいした事ないですけどね~^^
 ニャーはね~…
 凹んでる時とかぐりぐりして癒されます^^
 でもいやーん!ってすぐ逃げられるけど^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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