あんなに世那のお母さんに言われた事も、世那の先輩の人の事もぐるぐるなってたのに、蓋を開けてちゃんと世那と話したらなんでもないような事に思えてきてしまう。
世那が好きなのにはやっぱり変わりはないから。
世那が譲でいい、と言ってくれるなら。
学校に朝一緒に行く時間と学校の帰りの一緒の時間が好き。
特に帰りは駅につくと西高校の集団がいるから世那が余計に譲を守るようにして近づいてくれるし。
テスト期間に入って世那はバイトも休み。テスト勉強も譲はしなくちゃいけないけど!それよりももう学校が早く終わってそのあとずっと世那と一緒にいられるのが嬉しくてテスト期間中だというのについ顔がにやけてしまう。
勉強を世那に見てもらって教えてもらって、その合間にキスとか…。
ずっと毎日そんなのなかったからそれだけで嬉しくて…。
世那に甘えて世那も甘やかしてくれて。
でもちゃんとしなきゃない事とか…勉強とかは甘やかしてくれない。
全部が全部なし崩しじゃないから、だから譲は世那に頼り切ってしまうんだ。
「ここは出る。覚えとけ」
「うん…ね、世那…」
世那の部屋でお勉強。譲が世那の机に座らせられて世那に出そうなところや間違えやすいところを教えてもらっている。その世那は教科書眺める位しかしてないけど、それでも成績上位者にいるんだからホント頭の出来が違うんだよな…。
「僕、頑張る!」
「…頑張ってるだろ?」
「もっと!……って勉強は結局世那に教えてもらってるけど…。それ以外も!やっぱり自分で自信もって世那の隣にいたいなぁ…って思うし…」
世那がくすと笑って譲の頭にキスする。
「お前は俺を買いかぶりすぎだけど。…そうだな…俺も譲にカッコイイってずっと思ってもらえるようにしてないと。捨てられたら大変だ」
「ないよっ!世那はずっとカッコイイもん」
本当はバイト先だって行きたいんだ。だって仕事してる時とかやっぱりカッコイイって見える。でも自分だけが置いてきぼりな感じもするからちょっと複雑なんだけど。
「別にお前はそのままでいいんんだけどな…」
世那がそう言ってくれるから。今のままでもいいって言ってくれるから。
「…大好き」
譲の教科書を覗き込んでいた世那の首に抱きつくと世那がすぐにキスしてくれるのが幸せすぎる。
先週はずっと別々だったのに!
「譲……親帰ってくるまで時間あるし、する?」
「しない!ダメ!」
「なんでぇ?」
「だって……世那でいっぱいなると…勉強手につかなくなるもん」
「………………………シカタネェな」
夜もこっそり一緒に寝たり。
譲は早起きだし、二階にお母さん達が来るわけでもないので出来る事だ。
あんなに遠かったドアと壁だったけど…今は何かあっても世那に言えると思う。
言って、話して向き合えて…。
まだ自分に自信を持つなんて事は出来ないけれど、世那だって譲に対して不安なんかに思う事もあるんだと分かったのが嬉しい。
「…なんだ?締まりない顔して」
世那が譲の頬っぺたをぎゅっと引っ張った。
「僕…自分でこんなに誰か好きになるなんて思った事なかった」
「…俺もだよ。大事すぎてどこにも出したくなくてしまっておきたいくらいだ」
「………それは言いすぎだと思う。僕なんか誰も見向きもしないよ?」
「アホか。だったら宮下がキスなんかするか!まったく腹立つ!お前の初めてをのうのうと奪われたのがムカツク」
「………カウントしないって世那言ったもん!それに会長はからかっただけでしょ」
「…………はぁ」
世那が譲を見て溜息を吐き出した。
「…そうだな。それでいい」
諦めたように世那が言う。
「わかっちゃねぇよな」
「何が?」
「いや、譲はそれでいい」
なんか何しても世那は譲にそれでいい、ってばっかり言う。
「それでいい、ばっかり!」
「いいからいいんだ。俺としてはあんまりしっかりしてほしくないなぁ~と。俺がいなきゃダメって譲がずっと思ってればいいと思ってるし」
「だって!僕がそう思ってたって世那はバイト行っちゃうもん!行かないで!って言ったら……行かない?」
「うーーーん…悩むな。……行きたくはないけど、でもやっぱ自由にできる金欲しいしなぁ…ラブホも行きたいし?譲と思いっきりえっちぃ事したい」
「し、し、してる、でしょっ」
「え?もっと。アレとかコレとか…」
アレとかコレってなぁにぃ~?
エロい事考えてるのか世那がにやりと笑っているのに譲は顔を赤くしてちょっと身構えてしまった。
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