はのんのBL部屋

　テストも終わってまた普通の日がやってきた。
　世那はバイトへ。そこはちょっと寂しいけど…。
　自分も変わりたいけど変わるにはどうすればいい。…なんて何もいい案があるわけでもない。
　いくらか自信とまではいかなくとも、世那がこんな譲でも好きと言ってくれて、いいと言ってくれた所には少しばかり長所なのかな？と思えるように少しはなったかもしれない。

　自分では普通の事でも世那がそう思ってくれるのなら。
　世那は全部自分だけに頼って欲しいと言っているけど、こんなに譲は世那に頼り切ってるのに、と思うんだけど…。
　「あれ…？醤油ない…？」
　そういや買い忘れたってお母さんが言ってたような…？
　何か足りないものとかある時とか買っていいよと随時食費の分のお金は置いてもらってるのでそのお金を持って近くのスーパーに向かった。

　ついでにちょっと世那の姿を見に行っちゃおうかな…と思って何も考えずに駅に向かった。
　お店の中に一人で入るのは出来ないけど、外からちょっと世那に目配せとか出来たらいいかな…と一人で譲は笑みを浮べた。
　ちらほらと西高生がいたけど、集団じゃないし大丈夫そう。
　そそくさと駅の構内を横切って裏に向かい、世那の店の中をちょっと伺った。
　隠れてじゃなくて今度はちゃんと。

　どっちにしたってお店の中に入るわけじゃないけど。
　ガラスにへばりついたらさすがに目立っちゃうのでオープンテラスの方から。
　あ、いた！
　世那をじっと見ていたら世那が気付いて外に出てきてくれた。
　「どうした？」
　「うん。醤油なかったから買い物に来たんだけど…世那見たいな、と思って」
　「気をつけて帰れよ？」

　世那が譲の頬を軽く叩くようにして撫でてくれたのにうん、と譲が頷く。
　やっぱり家に一緒にいるのもいいけど、外でこういう風に会えるのもいいかも。
　すぐに世那はお店の中に戻っちゃってちょっと残念だけれど譲は小さく手を振って世那の店から離れた。
　ほんのちょっと世那と会えただけで心の中がぽわんとする。毎日朝も晩も家でもずっと会ってるのに！

　そしてやっぱり世那のギャルソン姿がカッコイイ！
　譲にはどうしたって似合わないだろうけど！
　でも…ラブホ行く為って…。　
　だったら！譲もバイトした方いい…？
　世那だけ働いてって違うと思うんだけど…。

　ただ譲は勉強もいっぱいいっぱいで追いつかないのにバイトなんかしたらますます勉強が出来なくなってしまう。
　ご飯の用意してくれているから、ってお父さんがおまけで、とお母さんに内緒で譲にはお小遣いプラスして貰ってる。
　…けど、それでラブホは確かにちょっと…。世那がバイトって言った意味は分かるけど…。
　はっ、と自分もすっかりラブホに行く気になってたのに思わず自分で照れる。

　行かなきゃいいんだ！そしたら世那だって折角働いてもらったお金を使わなくていいし！
　何自分も普通に行く気になってたのか！
　だいたい高校生でラブホって！
　いや！その前に男同士だってば！
　だからこそ世那のお母さんに堂々と出来ないなら離れて、って言われたのに。

　……堂々とラブホ行ければいい？
　いや、違うでしょ！と自分で突っ込んでおく。
　どうも変な方向に考えが行くのに譲は苦笑した。
　分かっている。そうじゃない。
　遊びの気分でもないしちゃんとずっと世那といたいと思っている。
　遊びだったら親も家に一緒にいるのにそんな風にならないと思う。
　世那は譲が親がいると、と思っているらしいけど、実際は譲は最悪バレても世那と離れる気はない。
　そんな事を思うなら世那を最初から選びはしないはず。

　世那も言ってたけど、真面目ではあると思う。
　母親にもこれまでずっと二人で生活してきたし迷惑かけたくはないと思う。新しいお父さんになった世那のお父さんだって優しいし好きだ。
　嫌われたくはない。
　でも、それ以上に世那と離れるというのは考えられないんだ。

　「……あれ？なんだ…」
　そういう事を思ってなら顔を上げて言う事は出来る、と思う。
　メリット、って言われた事が譲を悩ませていたのか？
　世那が譲といていい事ってなんだろう？
　譲は世那といると安心出来る。守ってもらえる。嬉しい気持ちになる。
　………世那は？どうなんだろう？
　なんか譲と一緒にいていい事ってあるの？

　「うーーーん？」
　思わず頭を捻ってしまう。
　…………ない気がする。
　だからきっと譲は自分に自信が持てないんだ。

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続きに拍手コメお返事です^^

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