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熱視線 間奏2~怜視点~

 朝目覚めるとまた腕を明羅の身体にまわしていた。
 暑くてエアコンをつけっぱなしにしているのがいけないのか?
 昨日も明羅の身体に腕を回していたが、またらしい。
 そっと起こさないように怜は手を外す。
 眠っている明羅の顔を観察した。
 睫毛ながっ!
 目もでかいけど。
 色が白い。
 でもちゃんと男だ。
 それは分かる。
 なのに…。

 ヤロー二人でベッドなんて絶対に耐えられないと思うのに、相手が明羅だと平気だった。
 生方で考えてみると怖気が走る。いくらでかいベッドでも生方と隣に寝るくらいなら床の方がましだ。
 それを言ったら基本自分のテリトリーに人がいる事自体が怜には耐えられないはずなのだ。
 それなのに明羅に関しては全然気にならない。
 ピアノの練習など誰にも見せたこともない。
 それもやっぱり平気だった。
 空気みたいにそこにいる。
 いるのが分かっても気にならないってどういう事なのだろうか?
 毎年のコンサートではあんなに神経質になる位に明羅の存在を気にしていたのに、いざ自分のテリトリーに入れてしまえば空気のようで。
 首を捻るしかない。

 昨日の午後ピアノを弾いてその後ずっとPCの前から動かない明羅にちょっかいをかけに行っても全然反応しなくて。
 つまらんと思いながら明羅を眺めていた。
 かちかちとキーボードを操り、シンセを弾いてマウスでなにやらしている。
 全然やっている事の意味は分からなくて、つくづく自分がアナログな人間だとげんなりした。
 なにやら曲を作っているようなのでシンセの鍵盤の音は読まずに明羅の指だけを見ていた。
 右も左もスムーズに鍵盤を動く指。早弾きも突っかかる所はない。
 これはかなり弾けるはず。
 それなのにどうして?
 怜は頭を捻った。
 怜の音を欲しいと言った。
 怜の音のなにがいいのか、どこがいいのか、分からないが、とにかくどうやら明羅の中で怜は特別らしい。
  
 しかし、あの告白もどきにはどきりとさせられる。
 いや、男なんだからどきも何もないのだが、…。
 でもコレくらい美人だったら…。
 いやいや、と怜は頭を振る。
 一人で頭の中を勝手にループしていた。
 明羅が好きなのは怜のピアノであって怜ではない。
 
 ……自分で思って自分で落ち込んだ。
 そう、明羅は二階堂 怜の、音が、好きなのだ。
 はぁ、と小さく嘆息する。
 なんか落ち込んできそうだ…と怜はベッドから起き上がった。

 「ん…」
 ベッドが軋んで明羅が声を漏らした。
 「…怜、さん?」
 「ああ、寝てていいぞ?」
 思わず明羅のさらさらの髪を撫でた。
 女にだってこんな事した事がない。
 相手は子供だ、と自分に言い聞かせる。
 あのコンサートに初めてきてた時の姿を思い出す。小さい子なのにスーツ姿だった。
 今ここにいるのはTシャツにハーフパンツ。ハーフパンツから伸びる足は真っ白ですね毛などない。
 本当に男か?
 いや分かっているけど。
 「…起きるよ」
 気だるげそうに明羅が半身を起こした。
 それが妙に艶めかしく見えたのは欲求不満だからなのだろうか?
 いかんいかん、と怜は頭を振った。

 「じゃ、手伝え」
 「うん」
 明羅の目がぱっちりと開いた。
 色素が全体的に薄いのか。
 髪も少し茶色かかっているし瞳もそうだ。
 肌も白いし、そういやひげもない。
 自分の顎を摩ってみるとぞりぞりと下ろし金のようだ。
 思わず明羅の顎をさすって確認すればやはりそんな感触はない。
 「…何してんの?」
 「いや、ひげなんぞないなぁと思って」
 「……うち父親も薄いから」
 「あ、そう?」
 「でも…そのうちに…」
 「………………いや、どうやったって無理だろ」
 一応コンプレックスはあったらしい。怜は思わず噴き出した。
 明羅はむっとした表情をしている。
 そんな顔でも可愛い以外は当てはまらない。
 「そんなこたどうでもいいな。ほら起きろ」
 怜は明羅の手を引っ張って体を起こした。
 「細いな」
 「………それもそのうち」
 「いや、だから無理だろ。俺なんか高校位からずっと今と変わらん位だ」
 「………そうだね。ガラコンサートの時17だもんね」
 「そう。明羅は諦めるこったな」
 むっとした顔にまた怜は噴き出した。
 
 

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