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月に酔って 10

 いいクライアントで本当によかった!

 彰吾は毎日が楽しかった。お城の庭を手がけられるだけでも舞い上がりそうだったのに、そこの家主と来たらほとんど彰吾に任せきりだ。
 もうずっと頭の中はどう作ろうかでいっぱいだった。

 家主の唯一の希望がガゼボでそこで庭を見ながら夜に酒と誘われたのに即座に彰吾は頷いていた。
 果たして仕上がった後に本当に誘われるかなんて分かりはしないが、自分が好意的に思われているのは感じる。
 初めは若い男だったのに怪訝に思った。しかも働きもしないでふらふらとして、親の遺産でも入ってそれで暮らしてでもいるのか?と思っていたが違ったらしい。

 綺麗な垢抜けた男だ。
 栗色の髪に整った顔、細い体は雑誌やテレビで見るようなモデルのようだ。こんな田舎には似合わなさそうなお高くとまっているような雰囲気でもおかしくないのに葉っぱをいっぱいつけてるような自分にも普通にどうぞ、と家の中に招きいれ、あげく同い年と分かれば名前呼びだ。

 なぜわざわざこんな田舎に…?
 ウェブクリエイターとかデザイナーなんて職業で…パソコンがあれば勿論どこででも出来るのだろうが…。それにどうやらここに住んでいたおばあさんの身内なのか?孫?どうも話しぶりからそんな感じだ。
 色々と聞いてみたい気もするが詮索して臍を曲げられたら困る。とにかく今、彰吾はは家主よりも庭が重要だ。
 いくらでも案が浮かんできて仕方ない。
 一応出来上がった案を見せていいな、と言葉は貰ったがもっと、とまた別の配置が浮かんだりしてしまう。
 どうやら手入れも任せてくれるらしいのに彰吾は自分のパソコンに向かって色々と庭のシュミレイトを入れて遊んでいた。

 「彰兄、お風呂」
 「ああ」
 ノックもせずに部屋に入ってくる妹に眉を顰める。
 妹とは言っても勿論血の繋がりはない。ないが、どうしたってエリカは彰吾にとって妹でしかなかった。
 彰吾がパソコンを閉じて立ち上がるとまだエリカがいた。
 「彰兄」
 部屋を出ようとした彰吾に触れてこようとするのを彰吾は避けた。
 「身体が冷える。寝なさい」

 ぷっと顔を膨らませてばたんと隣の自分の部屋にエリカが戻ったのに彰吾はほっとした。
 目がオンナの目をしている…。
 気づいたのはいつだったか。ずっと兄と妹でしかなかったはずなのに…。
 はぁ、と彰吾は溜息を吐き出した。
 高校生にもなれば色恋に目覚めるのも勿論分かる。だがどうしてそれを自分に向けるのか…。

 家を出た方がいいのかもしれない。だが、ここまで育ててくれたお父さんとお母さんにそれは申し訳ない。やっといくらか仕事の手伝い程度には使えるようになってきたのに…。
 エリカが妹でさえいてくれればいいのに…。
 いや、それにしたって彰吾は家業を継ぐわけでもないのだ。ゆくゆくはエリカに婿を取って…とお父さん達も思っているはず。

 …そして本当はお父さん達も彰吾がエリカと、と密かに考えているのは分かっていた。
 だがさすがに彰吾の中でそれは無理だった。
 どうしたって女には見られない。
 …仕事は順調なのに…。
 彰吾も自由であったならば…。

 人を羨むではないが、あの庭の持ち主の同い年の男が少々妬ましくなってくる。
 あんな広い家であの庭を眺めて一人暮らし…。どう逆立ちしても自分には望めない事だ。
 彰吾には羨ましい事であってもあの長澤 千聖にとって望んだ事なのか?と問えば否という返事が返ってくるかもしれないが、今の彰吾にとっては羨ましいにしか思えない。

 人にはそれぞれ事情があるだろう。あの男が望んであそこにいるわけではないという可能性があるにしたって、選択肢は彰吾よりはもっとたくさんあるだろう。
 自分が不幸だだとは思ってもいない。たがほんの少し小さいな頃の家族の形が狂ってしまっただけだ。なぜエリカは女だったのか。弟だったらこんな風にはならなかっただろうに…。

 そんな事を思ったって仕方のない事だと分かっている。
 さっきまでのパソコンを眺めて西洋式の庭園の事を考えていたうきうきした気分が一気に冷めてしまった。
 「…めんどくせぇな…」
 シャワーを捻りながら思わず呟いてしまう。

 このまま何もなくエリカに他に好きなやつが出来ればいいのに…。
 自分はただここで働けるだけでいい。結婚など考えた事もない。ただ育ててくれたお父さんとお母さんに恩返しがしたいだけだ。それだけでいいのに…。

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続きに拍手コメお返事です~^^
mm3様
 千聖可愛くなってましたか?^^
 もちろん落ちちゃってます~(笑)
 桜ちゃんですか~!
 ………その内機会があれば~^^;
 でもそう言っていただけると嬉しいです////
 ありがとうございます~^^

SR様
 千聖は逃しませんな雰囲気ですかね?(笑)
 まだ想像できないですかwwww
 いかに安く!は主婦の鑑ですよ~^^b
 お子様には…そうですね(笑)
 ガゼボでとか…いいですよねぇ~…別世界だ^^;
 ありがとうございます~^^

tsr様
 ちゃんときてましたよ~^^
 千聖攻めます!受けなのにwwww
 飲み友達から~…鋭い!(笑)
 6はそうですね~!でかいですね^^
 幸せと言っていただけて私の方が
 幸せです~/////
 感想じゃなくても全然おKです(^m^)楽しいです♪
 ありがとうございます~^^

U様
 丁度彰吾視点でした~^^b
 まだお庭の方が重要らしいです(笑)…多分^^;
 まだまだこれから…ふふふ(^m^)
 ありがとうございます~^^

匿名ちゃん様
 そうなんですね~お手入れは勿論千聖しません(笑)
 千聖の攻略!wwww
 お花お好きなんですね~^^
 私も見るのは好きなのですが、自分で手入れが出来ません(><)
 嬉しいもありがとうございます~^^
  

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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