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月に酔って 11

 鋏の音で目を覚ました。
 いいけど…なんかだるいような…?昨日の朝もだるいな、と思ったが寝不足の所為かと思っていたのだが…。
 寝起きがいいとは元々言えないが起き上がれなくてぐだぐだとベッドで千聖は時間を過ごした。
 だがそんな事していても仕方ない、とのろのろと身体を起こし着替えをするがやはり身体が重い。
 
 「はぁ……」
 着替えするのにも自由が利かない感じ。
 「…熱でもあるのか…?」
 足をふらつかせながら階下に降りた。
 「おはようございます」
 「あ、おはようございます。いつもありがとうございます」

 家政婦のおばちゃんがすでに来て掃除をしてくれていた。頼んでいるのは一階だけで二階には基本上がってきて欲しくないと言ってあるので千聖が寝ててもおばちゃんが邪魔してくることはない。
 少しよろよろしながらもリビングでコーヒーをセットして、彰吾に挨拶するため外に向かった。
 「おはようございます」
 他の職人からも声がかかるのに挨拶しながら彰吾の所に向かえば薔薇の手入れをしていたらしい。
 アーチ型になっている所に脚立を組んで上に乗っていた彰吾が千聖の姿を見て脚立から降りてきた。

 「おはようございます。昨日も遅くまで…?」
 「おはよう…いや…そうじゃない…んだが」
 ふと上を見上げた瞬間に太陽の眩しい光に眩暈がしてくらっと身体がふらついた。
 「長澤さん…?どうか…」
 「いや…」
 彰吾が手を伸ばして千聖の身体に触れたのにぞくりとしてしまう。
 そういやしばらく誰とも触れた事なかったな…と思ったら彰吾がぐっと千聖の肩を掴んだ。

 「長澤さん!」
 「あ!?」
 そして額に手を置いた。
 「熱あるじゃないですか!」
 「え?…ああ、やっぱり?」
 「やっぱり、って……分かってるなら寝ててください」
 「……そうしよう…」
 「体温計は?」

 「ない。いいよ。昨日ソファで寝てしまったからだろう。それと疲れもかな…ずっとばたばたしてたから」
 「……多分、そうですね。病院は」
 「いいよ。……寝てる事にする」
 くるりと千聖が身体の向きを変えたらふらりとよろけた。
 「長澤さん!」
 彰吾が倒れそうになった千聖を抱きとめた。
 「……仕方ないですね。ちょっと我慢して下さい」

 我慢?……………っ!!!

 「ちょ…大丈夫っ…」
 「いいから。そんなふらふらして。部屋まで辿り着くまでに途中で倒れそうです」
 事もあろうか彰吾は千聖をお姫様抱っこした。
 男の自分をお姫様抱っこって!
 「力持ちだな…」
 思わず感心してしまった。
 「仕事で鍛えられてますからね」
 いいけど…こんな事されたのは初めてだ!
 
 「うーん……庭がもうちょっと綺麗になってたらウェディングベール被るんだけど」
 彰吾の首に腕を回してそんな事を言ってみる。
 「………そんな冗談言える位なら病院行かなくとも平気ですね」
 呆れたように言われたが、どうやらこんな事をしても彰吾に嫌悪感が見えないのにほっとした。
 「寝室は?」
 「二階の昨日の部屋の隣」

 いいよ、大丈夫だ、とは言わないでそのまま彰吾に連れて行って貰う事にした。
 ちょっと特別な感じに思えて千聖は思わず笑ってしまう。
 「お姫様抱っこいいな」
 「………それはよかった」
 千聖の言葉に微妙な顔つきになった彰吾にさらにまた笑ってしまった。
 「…後でまた来てみますが…誰かこの辺に親戚とか」
 「いないよ。いい。寝てれば治る。ありがとう」

 ベッドまで運んでもらったのに礼を言って千聖は大人しくベッドに入った。
 さっき着替えたばかりなのにまだベッドに逆戻りとは…。
 寝るのに服を脱ぎたいところだが彰吾の前でさすがにそれは引かれるだろうと一応やめておく。後でまた来るって言ってくれてるし。
 「………家政婦さんに一応言っておきますね」
 「ああ。けど、いいよ。大丈夫だ」

 そう言いながらも千聖の目が熱でだろう、とろんとしてくる。
 「では、大人しく寝ててください」
 「……ああ。…彰吾…ありがとう…」
 「………………いえ」
 小さく彰吾が答えて部屋を出て行った。
 本来千聖は風邪をひいたり熱出したりという事が滅多にないので自分でも少し驚いた。これじゃ朝にベッドから出られないのも当然だ。
 そんな事を思っているうちにもう瞼は閉じられようとしていた。

 うーん…まさか自分が熱出して寝込むなんて思いもしなかった。今までどんなに夜遊びしててもそんな事なかったのに…。
 ベッドに沈んでいくように千聖の意識が遠のいていった。

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続きに拍手コメお返事です~^^
S様
 まだお仕事かなぁ~?(笑)
 震災…そうなんですよね…
 もう3年です。早いような遅いような…ですね(--;)
 ありがとうございます~^^

mm3様
 問題に彰吾は頭抱えてます~^^;
 そうですね~!恋の線引きはどこでしょうねぇ?^^
 桜とともに花開く…素敵です~(^m^)
 ウチの方だとまだまだなので話終わっちゃいます(笑)
 ありがとうございます~^^

tsr様
 本当に普通の日に感謝です(><)
 あんなに電気って素晴らしい!(T-T)と思ってたのに
 今はまた普通に^^;
 彰吾は千聖のですか!(笑)そうですけどwwww
 お仕事頑張ってくださいね~(><)
 ありがとうございます~^^

SR様
 彰吾視点ありました^^
 複雑なんです~(笑)じゃないと話の都合上ww
 男の人って好きな仕事だと夢中ですからね~^^;
 子供だし(--;)
 千聖は嫌われたら嫌なのでじっくりさぐりさぐりです(笑)
 そうなんですよ~
 田舎で男二人はねぇ~^^;
 いずれwwww
 体調は無理せずですよ~~~(><)
 お大事にしてくださいね!ありがとうございます~^^

akm様
 大人な感じなってるでしょうか~?(^m^)
 女性の登場にハラハラ(笑)
 ドキドキハラハラありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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