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月に酔って 16

 誰かが額を触っている…。
 誰…?
 「………ん……?」
 「千聖?」
 彰吾の声…?…あ、そういえば泊まったんだった…。隣にいるのか…?
 目を開けようとしたけどなかなか開けられない…。

 「…いいですよ。まだ寝てて。時間も早いから」
 落ち着いた低くそして優しく耳に響く声にふわりと気分がよくなった。
 「熱も下がったようだし…」
 ぎし、とベッドが揺れたのに隣で寝てたんだ!と心の中で全然気付けなかった自分に残念がる。
 そんな事を思っているうちにまた千聖の意識が遠くなった。
 
 はっと次に千聖の目が覚めれば外からすでにパチンパチンという毎朝のなじみの音が聞こえてきた。
 「…………勿体無い!」
 折角昨日は隣に寝ていたはずなのに何もできなかったなんて!こんなチャンスないのに!
 …いや、下手に手を出して避けられるのも嫌だな…と真面目な事まで考えてしまう。
 今まではその場でよければ後はどうなってもよかったのに…。違う、きっとこうして毎日来ているから!毎日顔を合わせるからそう思うだけだ。

 …手が優しかった…。
 昨夜の千聖の頬に触る彰吾の手の感触を思い出してかっと顔が熱くなる。
 「………なにウブい反応してんだよ」
 自分に突っ込みを入れてから千聖はベッドから起き出した。
 ……今日も具合悪かったら泊まってくれないかな…?
 ふとそんな悪知恵まで浮かんでくるのに千聖は小さく首を振った。

 うん…身体に少しばかりだるさは残っているが昨日よりはずっといい。
 いいけど…返す返すも勿体無い事をした…といっても彰吾が自分に気があるわけでもないのに誘ったにしたって男だという時点で相手にされるはずなどないだろうが。
 まかり間違って彰吾が血迷わないかな、と希望的観測を思ってしまう。
 「……着替えよ」

 アホな事考えてないで昨夜は迷惑をかけたのだから礼を言わないと。
 しかしまた寝ているうちに汗をかいたのか身体がべたべただ。
 「……シャワーしてこよ」
 せめて小奇麗にしとけば間違ってキスしたいとか思ってくれないかな、とかまるで10代の頃のような事を思ってしまうのに自分で頭を抱えた。

 「頭冷やした方いいかも…」
 はぁ、と小さく溜息を吐きながらシャワーに向かった。
 今日は家政婦のおばちゃんが休みだから何か食い物買いにいかないと、とか思いながらシャワーを浴び、すっきりしたところでシャワーを止めると声が聞こえた。
 「長澤さん!…いるんですか?…千聖!?」
 二階から声が聞こえた。きっと千聖の様子を見に来てくれたんだろうけど、いなかったのに声を張り上げていたらしい。

 「彰吾!」
 風呂場から顔を出して名前を呼んだ。そして慌てて下を穿いて着替え脱衣所を出た。
 「…何をしてるんですか!」
 「え?だって汗かいたみたいでべたべたしてたから」
 「髪!濡れてます!」
 そりゃ慌てて着替えたから…と思ったら彰吾の手が千聖の持っていたタオルを取り上げるとごしごしと頭を拭き始めた。

 「やっと熱下がったばかりなのに!」
 「……平気だって。俺そんな風邪ひいたりとか熱なんか出たことない」
 「昨夜高熱出ていた人が何言ってるんですか!」
 「…………」
 そりゃそうだ。
 「けど、もうよくなった」
 「…千聖」
 何があったわけじゃなかったが、一晩一緒に過ごしたからか、彰吾の口調がだいぶ砕けているのに千聖は笑みが浮かんだ。

 髪を拭かれるなんて…。野朗同士でそれはないんじゃ…?と思うが黙っておく。
 構ってもらえるのは嬉しい。
 「今日家政婦のおばちゃん来てませんけど?」
 「休み。買い物いかないと…」
 はぁ~…と彰吾が大きく溜息を吐き出した。
 「あのね。俺に言えばいいでしょ?後で行ってきます。あなたはとにかく今日はまだゆっくり休んでいて下さい」
 「…………ありがとう」
 なんだかすごく親切だ。急にぐっと距離が近づいた感じ…。

 「何か食べ物…昨日の雑炊少し残ってますけど」
 「朝はいらない」
 「そういう事言ってるから熱なんて出すんです。…とはいっても時間も中途半端ですね…」
 時計を見れば10時を過ぎた所だ。
 「…お昼休みに買い物に行ってきます。欲しい物書いといてください」
 「……なんか…ごめん」
 「いいですよ。気にしないで。とにかくあなたは大人しくしててください」
 千聖が分かった、と小さく頷くと彰吾がくすっと笑って仕事の続きに外に出て行った。

 …頼りきってしまってる感じになってるのに…いいのか?と疑問符が浮かぶが、彰吾から言い出してくるのだからいいのだろう…。
 …多分。

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続きに拍手コメお返事です~^^
遅くなってすみませんm(__)m
mm3様
 千聖弱ってました~(><)
 折角のチャンスいかせませんでした^^;
 でも結構堕ちてますでしょ?(笑)
 神様困りますね~wwでも勿論大丈夫です^^b
 あ!なんか地震あったみたいですけど…
 大丈夫でしょうか…?心配です(><)
 ありがとうございます~^^

tsr様
 お泊りはベッドでした~(笑)
 ちゃんと千聖寝てました^^;本当にしんどかったらしいです(笑)
 多分お色気ありまくりなんでしょうね~…羨ましい…ww
 私だから簡単じゃないって…どんだけぇ~^^;
 わんこもありがとうございます~(><)
 すみません5と6が重複してたみたいで^^;直しました(><)
 サプライズ大好きなんでしょうねぇ~wwww
 そして誕生日!そうなんですか!あらま!(笑)
 喜んでいただけてよかったです♪
 投げちゅういただきました(笑)
 ありがとうございます~^^
 
SR様
 今から合言葉ありがとうございますww
 そして庭以下でした~^^;
 でも大分彰吾の中での位置づけはおかしくなってます(笑)
 覗かせて、に笑ってしまいました~(^m^)
 一緒に寝ました!残念ながらチャンス逃しましたけどww
 そして二人共欲求不満です(笑)
 悶えていただけてよかったです////
 わんこもありがとうございます~^^
 耳とシッポ見えましたか(^m^)
 あっちもこっちも一緒に住んじゃえ!なんですけどね(笑)
 記事重複してたみたいですみませんでした~m(__)m
 ありがとうございます~^^

S様
 はい、おベッドで一緒でした(笑)
 あ、アレルギーなんですね(><)
 サインですか~?(笑)恥かしいのでしませんwwww
 若さんにはお伝えしておきます~(^m^)
 ありがとうございます~^^
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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