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月に酔って 19

 「長澤さんとこ行ってくる」
 「また今日も~!?」
 玄関までついてきたエリカに彰吾は苦笑する。
 「…話が合うんだ」

 家に帰ってくると付きまとってくるエリカに辟易し、千聖に誘われるのが正直ものすごく助かっている。
 一度千聖が熱を出して泊まった次の日はエリカに泣いて騒がれ大変だった。
 そうされればされるほど彰吾の中でエリカが煩わしい存在になってくる。
 それに比べ、本当に千聖といるのは苦じゃない。
 育った土地も環境も違っているが同じ年で話も合うし、無駄に詮索をしてくるわけでもない。ただ自然にそこにいる、という感じ。 

 うっすらと綺麗な顔に仄かに笑みを湛えながら酒をかたむける。
 綺麗になってくる庭を眺めながらそんな贅沢な時間を過ごせるのがはっきり言って彰吾は楽しかった。
 かえって自分の事を何も知らないのがいいのかもしれない。ここは田舎で、誰もが彰吾の境遇の事を知っている。そのせいかどうも彰吾も友人達にもどこか遠慮したような所があったのかもしれない。

 でも千聖は何も知らない。彰吾を彰吾としか見ていないのだ。
 それが嬉しいのかもしれない。
 可哀相な子、というような哀れみの目や親もいない子というような蔑みの目を向けられる事もあった。彰吾の気の所為ばかりでもないはず。

 ゆっくりと歩いてお城と呼ばれている千聖の家へ向かう。
 あんなに鬱蒼としていた木々はあとかたももう見当たらなく、綺麗にすっきりとしていた。
 門扉からの薔薇のアーチも来年にはきっと綺麗に花が咲くだろう。石畳を覆うような雑草もなくなって芝生と石畳が綺麗に並んでいる。広い庭の植え込みをカットして綺麗に花壇のように形作って…まだ途中だが、それが出来上がっていくのが楽しい。お化け屋敷だったようなレンガの家も明るくなったように思える。

 あとはガゼボが届けば設置だ。
 インターホンを鳴らすと千聖が出てきた。
 「やぁ、どうぞ」
 「どうも」
 綺麗な人だと思う。…男なのに。
 抱き上げた時もあまりの軽さに驚いた。そしてちょっとした表情や仕草に見惚れる時がある。…男なのに。

 「庭…見違えるようになってきたな!」
 嬉々とした様子で千聖が彰吾を突きながら言った。
 「小さい頃見たような感じになってきた」
 「…それ、なんですが…」
 「言葉」
 千聖は仕事じゃない時はタメで話せといつも言う。
 「千聖は小さい頃ここに来た事がある…?」

 「ああ、一度だけな。ばあさんの持ち物だったけど俺が相続でここをもらったんだ。しばらく放置してたけどな」
 やっぱり血縁者だったんだ。それで、どうしてこっちに?…と聞きたかったが個人の事だし、そこまで突っ込んで聞く事でもないだろう。
 リビングで酒を傾け、千聖の家に来る家政婦さんが作ってくれたものをいただきながら庭を眺める。
 「…なんか…いつもお邪魔してすみません」

 「言葉!…別に気にしなくていいよ。俺も彰吾といるのは楽しいし。嫌だったら声もかけない」
 くすっと千聖が冷笑を浮べるのにどきりとする。こういう、時に冷たい表情を千聖は見せるのだが、自分に対しては全然そういう所がないので彰吾も安心するのだ。

 安心って…。
 ちらと千聖に視線を向けると千聖が、ん?何?と頭を傾げたのがちょっと可愛く見えて少々慌てた。同性の25歳の男を可愛いって…。
 いや、見た目はもっと若く見えるから…いや、そういう問題でもない。
 何を考えてるんだ?と彰吾は頭を抱えたくなった。

 「こっちに来てからこんな風に声かける事できるのも彰吾だけだから、俺も頻繁に声かけちゃってるけど…彰吾の方が迷惑じゃないか?」
 「全然…むしろ助かっている…前にも言いましたけど…。それに…ここの庭を見ながらはやっぱり俺にとっては特別な事で嬉しいですしね」
 「…そう?それならいいけど」
 千聖が嬉しそうにはにかむのに彰吾はどきりとする。

 ……どうしてか、さっきからやけに可愛く見えるのは気のせいか…?

 「千聖…聞こうと思ってたんだけど…全然家から出ていないんじゃ?」
 「え?…出てないね。出かける用事もなくなったし…最近は日中にパソコンに向かってるから」
 夜はこうして自分の相手をするためか…?…なんて考えすぎだろうか?
 「日曜日…もう山間のほうは紅葉が綺麗になっているんですが…行ってみますか?この辺の事まだよく知らないでしょう?…この辺といっても車がないとほとんど行けない所ばかりですけど…滝もあるし…」
 「行く!」
 顔を紅潮させて千聖がこくんと頷いたけど…これ…やっぱ可愛いよな…?

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月曜日まで拍手コメントにお返事できません~(><)
……多分^^;もしできればしますが…
月曜日もちょっと出来るか分かりません…
(疲れてダウンすると思われます 笑)
すみませんm(__)m

あ、upは予約でしていきますのでいつもと変わりないです^^/
続きに拍手コメお返事です~^^
U様
 起きてたんですね~^^;
 そうそう、ただの遊びと本気なので(笑)
 受けだけど攻めるww
 これうpしたあとでます~^^b
 ありがとうございます~^^

SR様
 欲求不満ダダ漏れ(笑)
 千聖遊んできたけどお子チャマでした(^m^)
 一人で悶えてます(笑)そして彰吾の方がクールですねぇ~
 さて?wwww
 …で彰吾視点でした(笑)
 ありがとうございます~^^

tsr様
 そうなんです~!飲み友だったのですよ~(笑)
 珍しく受けも酒強いですww
 お店いたらガン見ですよね~(^m^)
 これうpしたら出発です♪
 楽しみにしてますね(^m^)ドキドキ…
 お仕事頑張ってくださいね~^^/

mm3様
 本気で溺れちゃいます~(笑)
 千聖の味方ですか~?(^m^)
 でも彰吾もおかしくなってきてましたww
 今日は寒いですねぇ~(><)
 雪はもういいです~(T-T)って感じです^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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