「じゃあ…話してきます。時間…どれ位かかるか分かりませんけど…」
「……うん」
千聖が見送る玄関で不安そうに瞳を揺らしていた。
何が不安なのだろうか…?
「千聖…俺の車持ってきてもいいですか?」
「勿論。駐車場いっぱい空いてるだろ。…じゃ、待ってる…」
千聖は嫌そうな顔一つしないでただ心配そうに彰吾をじっと見つめてきて、そしてその心細そうな千聖にキスしたくなってくる。
…もう何度キスしたのだろう?
玄関先に立つ千聖の顔に夕日が当たってオレンジ色に染まり、元が茶色の髪も鮮やかに輝くオレンジ色になっていた。
それが綺麗だ…と見惚れそうになる。
「では、後で」
「…うん」
男とセックスなんて考えた事もなかったはずだったのに…。昨夜の千聖の告白に何故か暴走した。
男に…誰か知らない男に千聖を抱かせる位なら、と…。
違う…。彰吾が千聖を離したくなかったんだと分かったのは千聖の中に入ってからだ。
滅茶苦茶にしたくて…大事にしたくて…。
家に住まわせるから相手しろなんてそんなの自分以外には向けて欲しくないと…。
彰吾が抱かなかったら千聖は抱いてくれる男を捜しに行くのか?
………昨夜からエリカの事よりも千聖の事ばかりを考えている。だが今はまずお父さんとの話だ…。
「すみませんお待たせしました」
待たせていた職人と一緒にトラックに乗り込んで家に戻った。育った家に帰るのはこれが最後かもしれない。いや、職人でいれば帰ることはあるか?でも家に帰るのではなくなるのだ。
今朝千聖のベッドから起きて家に戻り、今日の仕事の準備をしている時にお父さんには帰ってきたら話しがあると告げておいた。うすうすとは分かっているのか、お父さんは彰吾を見て頷いただけ。
「ただいま戻りました。お疲れ様です」
お父さんは千聖の庭には関与しないで別な家での仕事を請け負っていたがもう帰ってきて道具の片付けをしていた。
彰吾達も片付けをそ、そして職人達が帰っていくとお父さんと二人になった。
「彰吾」
呼ばれて、家の方ではなく事務所の方のプレハブの建物の中で椅子に腰掛けお父さんと向き合った。
「…………エリカだな?」
「……………はい」
夜中に彰吾が出て行ったのは分かっているはず。
「…俺…家…出ます」
「…どうしても、ダメか?」
お父さんの搾り出すような声に小さく苦渋の表情で彰吾は頷いた。
「……それで?どこに?」
「とりあえず…長澤さんの所に居候させていただきます」
「……そうか。向こうさんは?」
「いい、と言ってくれてます」
近しくなっていたのも話していたのでお父さんは頷くだけだ。
「彰吾…考えていたんだが…お前は何も造園業じゃなくていいんだ」
「何を!?」
「お前がお城の庭に打ち込んでいたのは分かっている…。西洋庭園の方を手がけたいのも」
「俺は!造園だって好きです!」
「分かっている。でも彰吾が本当に造りたいのは?」
「…………」
「毎日俺も朝起きてお城の庭を見に行ってた。お前がよおく考え大事に作っているのも見て分かる。西洋式だけでなく和も入れているのもな…。……分かる…。お前はまだ若い。………お前は本当の俺の息子でもない。それでもずっと俺の後ろを追いかけてきた。追いかけるばかりが男じゃないだろう?」
「……いらない、と…?」
「そうじゃない!」
分かっている。お父さんは恩義で雁字搦めになっている彰吾を解放してくれようとしているんだ。…でも何故、こんなに見捨てられたように思えてくるのだろう?
「彰吾は本当の息子じゃない。でも俺の息子だ。ずっと、ずっと…な…」
「…そうです…。ずっと…お父さんの背中を追って来ました…大きい背中を…」
「今じゃお前の方がデカいだろう!」
かかっとお父さんが笑うが目元が赤くなっている。
「彰吾」
お父さんが立ち上がって彰吾の頭を抱えた。
「お前は俺の息子だ。いくつになっても…。でも…本当の息子だったら…よかったのに………。すまない…」
「あ…やまらない、で…ください…」
ぐっと涙がせり上がってきた。
「あのお城の仕事を元に独り立ちしろ」
「…………はい」
「いつでも…帰ってきていい…ここはお前の家だ」
「………………は、い…」
もう後戻り出来ない。
家をただ単に家を出るとだけしか考えてなかった彰吾に甘い、と現実をつきつけてきたお父さんに必死に彰吾は涙を我慢した。
「お父さん………今まで…ありがとうございます…」
「ばぁか!礼なんていいんだよ!そんなのは成功してからの話だ!自分で食えるようになって一人前になってからだ!」
「………はい」
彰吾は唇を噛み締め顔を歪めた。
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続きに拍手コメお返事です^^
nkmm様
どちらも素直に言えばなんてことないのですが^^;
なかなか言えず変になってます(--;)
まぁ、春なのですぐです(笑)
花粉症ですか~(><)私はまだ大丈夫みたいですけど…(多分)
お気をつけくださいね~(><)ありがとうございます~^^
tsr様
さくっと言っちゃえば済む事なのに~^^;
大人って!なかなかねぇ~素直に、は難しいから~
契約って言葉さえなければ~
…なんですけどね(笑)
風邪はちょっと咳が…(T-T)
お腹も背中も筋肉痛でした↓大人しく寝てます…
tsrさんも喉が…(-o-;)
お気をつけくださいね~~~(><)
ありがとうございます~^^
mm3様
勿論ぐるぐる大好きなので(笑)
でも千聖ちゃんはそれほどでもないかな…^^;
やっぱり強い受け子かな…ww
勿論幸せが待ってます~(^m^)
お気遣いありがとうございます~(><)
mm3さんもお気をつけくださいね~
ありがとうございます~^^
mmsmm様
大変だったのですね~(><)
そういう時は無理しないでください~
ビッグサイトも…なんてタイミング^^;
残念でした~(T-T)
また機会あれば行きたいと思いますのでその時は是非~^^
ありがとうございます~^^
テーマ : 自作BL小説
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